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マーケティング心理学 AIやテクノロジーをサイトに活用する(前編)

AIをはじめとするテクノロジーは日々進化し、自社サイトの運用にはツールを使いこなすテクニカルな部分と顧客心理への洞察力も強く求められています。デジタルマーケターに必須なスキル、テクノロジーとサイコロジー。今回のマーケティング心理学は、まずテクノロジーの話題から入らさせてください。

目次

オンラインモール退店は開発費軽減が理由?

このところ、大手オンラインショッピングモールを退店し自社ECサイトに力を入れるオンラインショップが増えています。

オンラインモールは圧倒的な集客力があるため、出店するテナントとしては集客の努力をあまり必要としないのが魅力です。しかしオリジナル商品の販売ならともかく、メーカーから仕入れて売るだけの小売店の場合だと、競合他店との安売り競争にならざるを得ず、派手なデザインで「安さ」を前面に打ち出さざるを得ないという現状があります。

また、独自開発のオリジナル商品を販売しているとしても、オンラインモールを訪問する消費者は基本的に「低価格」を期待していることから、自社商品の「独自性」や「品質」などを訴求する効果があまり高くありません。

そもそもモール内への出店ではモール規定のサイトテンプレートに準拠せざるを得ないため、品質の良さやデザイン性の高さを訴えることが難しく、「ブランド」を構築するためのオリジナリティの高いサイトデザインができません。したがって、ブランドイメージが向上するような優れたサイトデザインを実装し、価格競争を避けてより高価格で販売することで利益率の改善を狙うのは、モール上では構造的に難しいのです。

薄利多売のモールから離脱するECサイト運営者が増えてきている

しかも、自社ショップ訪問者・購入者についての詳細な情報を任意に収集することや、購入後のフォローコミュニケーションにもモール運営者から一定の制約がかけられています。リピート率を高め、顧客ロイヤルティを向上させるCRM(Customer Relationship Management)施策も自由に行えません。このため、多くは商品情報満載のワンパターンなメルマガを多発するしかないのが現状。

退店するショップの本音としては、

「安売り競争で利幅が薄いのに、出店手数料も取られる。数はさばけるが全然儲からない。もうやってられない!自社ECサイトで勝負するしかない…。」

といったところではないでしょうか。

さて、オンラインモールを退店するかどうかはさておき、自社独自のECサイトを開発・運営し、独自のマーケティング施策を展開してサイト集客を行い、さらに顧客化・ロイヤル顧客育成を図りたいとき、以前であれば莫大な予算や運営ノウハウが必要でした。

しかし近年はMA(マーケティングオートメーション)をはじめとした各種クラウドサービスの登場により、ゼロベースで自社独自システムを開発する必要が減りました。おかげで最低限の初期投資を行えば、あとは月々の運用費で最先端のマーケティングテクノロジーの導入が可能となっています。ですから大手オンラインモールに過度に依存することなく、自社ECサイトでも高度なマーケティングテクノロジーを駆使したマーケティング施策が展開できる環境が整ってきたのです

本日は、自社ECサイトにおいて最先端のマーケティングテクノロジーを導入することの本質は何か、またマーケティングテクノロジーを最大限活用するために企業がECサイトにおいて取り組むべきことは何かについて解説いたします。

マーケティングテクノロジーの進化

マーケティングテクノロジーのツールは毎日のように新しいものが登場しています。その数を数えたら数百本以上に上ることでしょう。ツールを採用する側としては、どれが自社の要件に最適なのかを比較検討するのが大変な作業になっていますね。

では、そもそもこれらのツールが目指している、また可能にするものは何でしょうか。もちろん、それぞれのツールには固有の特長や便益があるものの、基本的には「個客対応」を目指していると言えるでしょう。

個客対応とはユーザー個々に合わせた対応を行うこと

「個客対応」とは、誰に対しても同じ提案・同じコンテンツ・同じコミュニケーションを行うのではなく、ユーザー一人ひとりの基本プロフィールや興味関心・嗜好・行動履歴・購買履歴などに基づいて、最適な提案やコンテンツを最適なクリエイティブ・最適なメディアやデバイス・最適なタイミングで提示すること。

マーケティングテクノロジーツールが目指しているのはこれです。ひとことで言えば、究極のパーソナリゼーション、すなわち「One-to-One Marketing」を実現するのが、マーケティングテクノロジー採用の一番の目的だと言えます。

例えば今、マーケティングテクノロジーの分野で、最も注目されているのは「AI(人口知能)」でしょう。AIはマーケティング分野を含めて様々な分野での応用が始まっています。では、AIが人間の代わりにやってくれる仕事は何でしょうか。

それは、まず「予測すること」です。さらには、その予測に基づいて適切な「打ち手」を打つこと。すなわち、コンピュータによる膨大なデータ解析に基づいて「予測→打ち手の流れ」を自動化してくれるのがAIです。

具体例としてわかりやすいのは囲碁や将棋のAIでしょう。Googleが開発した「AlphaGo」は、プロトップレベルの囲碁棋士に3連勝し、2017年5月に引退を表明しています。もはや、AlphaGoは、人間を大幅に上回る実力を身につけたというわけです。

囲碁だけでなく、将棋のAIソフトも基本的に同じことが言えますが、AIが行っているのは、「相手の打ち手に続く自分の打ち手に対して、次に相手が何を打ってくるか」という予測→打ち手の連鎖の膨大な選択肢を高速で予測した上で、現時点での最善手を選択するという処理です。

ここで重要なのは、次に相手がどんな手を打つかという予測の精度です。予測の精度が高ければ高いほど、より適切なこちらの打ち手がわかり勝率が向上するからです。

マーケティング分野でのAIの活用の意義

AIの主な役割は学習し「予測」すること

同様に、マーケティングの分野においても、AIが行う基本的な仕事は「予測」(あるいは「推測」)することです。つまり対象顧客が今どんな欲求を抱えているのか、なにをしたいと考えているのか、どんな商品を求めているのか、といったことを様々なデータに基づいて予測(推測)します。

欲しい商品が決まっていて、顧客が勝手に検索して探し出してくれるのであれば予測は必要ありませんね。しかし、解決したい問題があるけれど、どんな製品やサービスが解決してくれるかよくわからない場合や、そもそも自分でも何が欲しいのかよくわかっていない時に「こんなのどうですか」と提案できれば、「そうそう、そんなの欲しかった」と喜んで購入してくれるかもしれません。

あるいはなんらかの契約を解約しようかなと顧客がぼんやり考えていたときに、解約を踏みとどまりたくなるような魅力的な提案をすることで、解約率を低下させることが可能になります。

このように、顧客の将来の欲求や行動を予測して先回り、あるいは先取りして適切なコミュニケーションを行うことがAIを活用する意義であり、これからのデジタルマーケティングにおける中心的な役割を果たす可能性があると言えるでしょう。

以上、AIを例に取ってデジタルマーケティングの本質ともいえる「予測」について説明してきました。AIは予測のためのテクノロジーの最終進化形と言えますが、これまで活用されてきた「多変量解析」などの統計分析手法も依然として有効です。マーケターとしては様々な分析手法に精通し、適切に適用することが求められます。

次回は・・・顧客についての予測に基づいて、企業側がどのようなコンテンツを提示すべきか、ということに考えてみましょう。

▼後編目次
顧客の行動・心理を予測する
男女の性差を考える
人が購買行動に対して抱くリスク感情
まとめ

2017/6/21に公開した記事を再編集してお送りしました。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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