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「ルンバ」日本正規総代理店マーケティング部長徳丸氏インタビュー【第2回】大人気ロボット掃除機「ルンバ」の仕掛人、"セールス・オンデマンド"社が目指すデジタルマーケティングとは?

ロボット掃除機の本家本元である米国アイロボット社の「ルンバ」。日本では2004年に発売され、今や知らない人はいないほどの高い知名度を持ち、売上も好調だ。そのルンバの日本国内での事業戦略からマーケティング、販売施策までを一手に引き受けるのがアイロボット社の日本正規総代理店セールス・オンデマンド社である。

大手広告会社出身者が主軸となって設立された同社がどのような戦略を用いて、ロボット掃除機という新たな市場を切り開いてきたのか? 取締役マーケティング部部長 徳丸氏にお話をお聞きした。

ルンバ 徳丸 順一
セールス・オンデマンド株式会社
取締役 第一事業本部マーケティング部 部長 徳丸 順一様

前回は、セールス・オンデマンド社の設立の経緯や、ルンバ、およびブラーバが生み出した「ロボット掃除機」という新市場の現状や今後の展望について語っていただいた。今回は、デジタルマーケティング戦略の基本的な枠組みや、データ分析・活用に当たっての課題について深く掘り下げている。


【第2回】大人気ロボット掃除機「ルンバ」の仕掛人、”セールス・オンデマンド”社が目指すデジタルマーケティングとは?

■マーケティング展開における3つのレイヤーにおいて重要性を増すデジタルマーケティング

■全体的な視点でどのようにデータを統合・分析し、どうやって新しい価値を見出していくかという課題に直面


マーケティング展開における3つのレイヤーにおいて重要性を増すデジタルマーケティング

-では、御社にとってのデジタルマーケティングの位置づけや、戦略的な重点はどのようになりますでしょうか。

徳丸氏:これまでは、とにかくルンバの知名度を上げることの優先順位が高かったため、主にテレビコマーシャルなどのいわゆるマスマーケティングに注力してきました。しかし、認知率が9割を超えるようになった今、より幅の広いコミュニケーションを行っていこうとデジタルを活用した施策にも積極的に取り組んでいます。

全体的な枠組みをお話しすると、当社の場合はコミュニケーションのレイヤーを3つに分けて考えるようにしています。

最上位は、「ブランディング」のレイヤーです。年に数回の需要期に合わせ、プロモーションやキャンペーンを掛けていくような時に、テレビCMやデジタル広告を行います。その活動はアイロボットと共に行っているグローバルブランディングと連動して展開します。

ファンを育てる

次のミドルレイヤーは、「差別化や価値創造」を目的とするコミュニケーションです。このレイヤーでは、デジタルマーケティングが中心となります。具体的には、自社WEBを中心としたオウンドメディアの中で、ブランドサイトとは別に、コンテンツマーケティングとしての「iRobot style」と、お客様発のさまざまな情報を発信する場としての「iRobot FAN PROGRAM」とを展開しています。加えて、Facebook、twitter、YouTubeなどのソーシャルメディアの公式アカウントを運用しています。

当社では、上記の「iRobot Style」、「iRobot FAN PROGRAM」、「ソーシャルメディア」にCRMを加えた基盤をユーザーとのコミュニケーションを行うためのデジタル基盤、すなわち「デジタルプラットフォーム」と位置付けています。

そして、一番下層のレイヤーがプロモーションのレイヤーになります。最上位のブランディングレイヤ-でのキャンペーン広告などと連動し、量販店店頭などでの各種販促施策を行う部分です。

-販促については、やはり量販店などと組んでやっていらっしゃるのでしょうか。

徳丸氏:そうですね。販促施策としては、主に新規顧客を獲得するための体験型展示などをやっています。また、既存のお客さま向けのCRMプログラムのようなものも走っていて、MGM(メンバーゲットメンバー)プログラムですとか、買い替え促進施策などが同時進行しています。

レンタルして使用感を試してもらう
レンタルして使用感を試してもらう

少し観点は変わるのですが、購入に至る意思決定プロセス、すなわち「パーチェスファネル」の検討段階で、「やはり一度使ってみたい」「購入前にお金を払ってでもいいから使ってみたい」というニーズがあるため、レンタルのスキームを組んでそのニーズも刈り取れるようにしています。

1年ほど前からこのレンタルスキームをテスト的に行っていますが、「ルンバってどうなんだろう・・・」と、ちょっと懐疑的だった方でも、実際しばらく使用していただくと、9割ぐらいの方が「ぜひ使ってみたい」というように気持ちが変わっていくことが分かりました。ルンバはお掃除ロボットという新しいジャンルの製品であなるため、「お試し」という概念が非常に効果的なのだなと強く感じているところです。

-デジタルマーケティングを進められる上でどのようなツールやテクノロジーを使われているのでしょうか。

徳丸氏:具体的なツール名などは申し上げられないのですが、使い勝手などの観点から、基本的にクラウドベースのツールを中心に活用しています。顧客データベースもクラウド系のシステムにマスターとして置いていますし、その他MA系のツールやECのエンジンなども活用しています。

全体的な視点でどのようにデータを統合・分析し、どうやって新しい価値を見出していくかという課題に直面

-今後、Webサイト上でユーザーごとにコンテンツをダイナミックに変えるようなパーソナライゼーションが進んでいくと思われますが、そういったことを推進していく上で課題となるのはどのようなこととお考えでしょうか。

徳丸氏:パーチェスファネルの前段の新規顧客獲得はうまくいっているのですが、既存顧客の維持を目的とするコミュニケーションについては、もっとできることがあるというのが率直な感想です。現在利用しているツールに機能上の制約があるのですが、もう少しスピード感を早めていきたいですね。

また、根本的な問題なのですが、当社としては、家電ビジネスをやるうえで、基本的にチャネルニュートラル、お客さまがどこで買っていただいても構わない、という形に持っていきたいんですよね。無理にダイレクトで販売するということは考えていなくて、要はお客さまの便利なチャネル、購入しやすいお店で買っていただくのが一番良いと考えています。したがって、これまで以上に量販店さんと一緒にどういう取り組みをやっていけるか、というところがますます重要になっていくと考えています。

-今後導入してみたいツールや、検討したいものなどはありますでしょうか。

徳丸氏

徳丸氏:年間通しての施策という観点で考えた時に、透明性を担保する意味合いもあり、やはり広告はDMPをベースに、スリーパス(3PAS/第三者配信)で配信していくような流れに最終的にはなっていくのかな、とは思っています。コストが発生する分、より効果的に運用でき、コストをカバーできるだけの売上増加が見込めるという大前提の上でですが。

またリアルタイムダッシュボードは当たり前の世界になりつつあります。最終的にはそこで可視化しながらPDCAを回していく、というようなことになると思っています。

それと当社の場合は、顧客情報とPOSデータ(販売データ)も一部保有していますから、将来的にはプライベートDMPとして統合し、運用していくことが今後のデジタルマーケティングの課題の1つです。

ただし、データの分析・活用についていうと、データが増えれば増えるほど、どうやってそれを検証して、次のアクションプランに落とし込んでいくのかというプロセスと運用体制をちゃんと構築しなければならないという課題もあります。

-そこはよく「社内にデータサイエンティストが必要だ」というような話しになりますが、データを分析するだけではなく、そこからどういうインサイトを取り出すかというのは、ビジネスが分かっていないとできないからですよね。

徳丸氏:そうなんです。例えば普通のデータをクロスで見て何かを導き出すというようなことは既に私たちもできているのです。しかし、まったく違う相関から新たな気づきを得て、その上で施策上の新しい一手を打っていく、というのはまだまだこれからです。全体感の中でデータ統合した上で、どう新しい価値を見出していくか、というのがやはり課題ですね。そこまでデータ活用が進んでいる企業もまだ多くはないとは思うのですが。

-大手のECサイトでも最近まで購買データとコールセンターのデータ、ログデータがばらばらになっていて、それぞれで分析してもそこから導けるアイデアにはすごく限界がある。だからやはり統合データベースとしてのDMPやDWHは必須になってきていると感じました。そして以前からそのようなデータ統合に取り組んでおられる企業は早々に結果を出してきていますね。

徳丸氏:はい。当社でも統合データベースの構築と、データ分析・活用の高度化に今後、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

-本日はお忙しいところありがとうございました。


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