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マーケティング心理学 コンバージョンUPに効く!コミュニケーションシナリオ設計【第4回】

最終回となる今回は、前回ご説明した説得のためのテクニックを、コミュニケーションシナリオに組み込むまでの考え方を解説します。

2016年11月に公開した記事を再編集してお届けします。
[初公開:2016.11.14]

目次

マーケティング・テクノロジーとマーケティング・コミュニケーションの関係

様々な「マーケティング・テクノロジー」を駆使して「デジタルマーケティング」を展開していく。これが、今後のマーケティングの主軸であることは言うまでもないことでしょう。

marketing
いかにテクノロジーを使いこなすかが肝要

ただし、私どもマーケターの立場からすると、マーケティング・テクノロジーは、効率的なマーケティング活動の遂行を支援してくれる「便利なツール」に過ぎません。
ツールは使いこなしてなんぼの世界です。「ツールを使いこなす」というのは、マーケティング・テクノロジーの機能を最大限に活用しつつ、効果の高いマーケティング・コミュニケーションを実施できることを意味します。

したがって、マーケティング・テクノロジーの導入・活用に際しては、マーケティング・コミュニケーションをきっちり企画・設計し、実際のクリエイティブやメディアに展開する知識やスキルが併せて必要となってくるわけです。

そして、前回ご紹介した様々な説得のためのテクニックは、マーケティング・コミュニケーションの施策から得られる成果を高めてくれるものなのです。

マーケティング・コミュニケーションの構成要素

それでは、基本事項のおさらいになる方もいらっしゃると思いますが、「マーケティング・コミュニケーション」を企画する上で考えるべき5つの「構成要素」について簡単にご説明します。

1 コミュニケーションターゲット

伝えたい相手を明確化します。デジタルマーケティングにおいては、多くの場合、顧客・見込客データベースの分析に基づき、例えば、「都心に住む年収●●千万円以上の富裕層」といったセグメント基準から「ターゲット」を設定します。

2 メディア・ツール

上記コミュニケーションターゲットに対してメッセージ・コンテンツを届けるための最適なメディアやツールを検討します。どんなメディア、あるいはツールが最適かは、ターゲットが利用しているデバイス(PC、スマホ)、普段視聴・閲覧しているメディアやライフスタイル、コミュニケーションのタイミング・時間帯などによって変わってきます。

3 メッセージ・コンテンツ

コミュニケーションターゲットに伝えたいメッセージは何か、それをどのように表現するのか、言葉で伝えることはバーバルなコミュニケーションですし、写真や映像を通じて伝えるのはノンバーバルなコミュニケーションです。伝えたい内容全体のことを「コンテンツ」と呼びます。

4 CTA(Call to Action)

コミュニケーションターゲットにどのようなアクション(行動=反応)を期待するのか、オファー(提案)という形で明示します。「eBookがダウンロードできます」といったオファーは典型的なCTAです。バナーに「ここをクリック」と記載するのもCTAの一種ですね。

5 インセンティブ

ユーザーのアクションを後押しするためのもの。たとえば、「メールマガジンにご登録ください」というCTAに、「登録された方の中から抽選で10名様に●●をプレゼント」というインセンティブをつけることでメルマガ登録数の促進が見込めます。
(なお、CTAとインセンティブを合わせて「オファー」と説明されている場合もあります)

上記5つの切り口でマーケティング・コミュニケーションを考えることは、マーケティング・テクノロジーを活用する/しないにかかわらず、もっともベーシックな部分ではありますが、それだけ重要なことになります。

このベーシックな部分が疎かになっていると感じられるケースをよく目にします。マーケティング・テクノロジーだから、マーケティングオートメーションだからないがしろにして良いものではなく逆にテクノロジーの進化により、より「マーケティング・コミュニケーション」をしっかり組み立てることの重要性が増していると言えます。

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一方で、マーケティング・テクノロジーは、マーケティング・コミュニケーション施策を走らせるための「コミュニケーションインフラ」であり、前述したように、マーケティング・コミュニケーションの実際の活動をより精緻に、効率的に行うことを可能にしてくれます。

マーケティング・コミュニケーションの構成5要素についてはこちらの記事もご覧ください。
マーケティングの企画をするうえで気をつけていること

コミュニケーションシナリオ設計のアプローチ

立案したマーケティング・コミュニケーションの各種施策をMAなどのツールに組み込むためには、詳細な「コミュニケーションシナリオ」の設計が必要になります。

ジェネシスコミュニケーションでは、下表のようなテンプレートを利用して、シナリオ制作を行っています。

コミュニケーションシナリオは、大きくは「ワークフロー」と、「クリエイティブ」の2つに分かれます。

「ワークフロー」とは、所定のコミュニケーション目的に基づき、ターゲット客のなんらかの行動をトリガー=きっかけ(例えばサイト訪問)に、企業側からなんらかのアクション(例えば、eメール配信)を行い、それに対してターゲット客からどんなレスポンス(例えば、URLクリックなど)を得るかを規定するものです。

ワークフローのなかには、

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というように、ターゲット客と企業側の間でピンポンのように連続的なコミュニケーションが続くように設計された複雑なワークフローもあります。

「クリエイティブ」とは、ワークフローの中で、企業が顧客とコミュニケーションするために活用するeメールやWebページで“なにをどのように伝えるか”、また“どのように見せるか”を規定すること。「キーメッセージ」「CTA」「インセンティブ」「トーン&マナー」の4つの切り口で設定していきます。

このシナリオ設計において、「説得の心理学」が活かせるのがクリエイティブの部分であることはおわかりですね。

・どんなキーメッセージにすれば、ターゲットの関心を惹くことができるのか。
・どんなCTAにすれば、ターゲット客の注目を集めることができるのか。
・どんなインセンティブにすればターゲット客のレスポンスを高めることができるのか。
・どんなトーン&マナーにすれば、ターゲット客の抵抗を抑え、メッセージの受容度を高められるのか。

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こうした検討に当たって説得の心理学の知識を大いに活用しましょう。すなわち、ターゲット客のレスポンスを高めるために、説得の心理学の各種テクニックを最大限に応用し、シナリオに組み込むわけです。

シナリオ設計例

最後に、「損失回避傾向」のテクニックを踏まえたコミュニケーションシナリオ設計例をお示しします。これはECサイトにおいて、一眼レフカメラに興味のある潜在顧客(匿名サイト訪問者)をターゲットとしたシナリオです。(解説記事:2016年7月15日掲載)

また名前などを捕捉できていない匿名ユーザーも、Cookieを利用すればリピートアクセス状況を把握可能です。そこで、このシナリオでは、同じメーカー・型番の一眼レフカメラのページに繰り返し訪問しているユーザーを識別し、「今日ご購入に限って10%割引」といったタイムセール的なバナーを限定表示すようなワークフローを組んでいます。

同じ一眼レフカメラを繰り返し閲覧している方はおそらく、購入したい気持ちはあるけれど、踏ん切りがなかなかつかない状況にあると考えられます。そこで、「今日だけ10%割引」といったメッセージを見せ、「今買わないとせっかくの10%割引の機会を逸してしまう」、すなわち機会を損失してしまう感じさせることで購入を後押しするというわけです。

コミュニケーションシナリオ「一眼レフカメラ 潜在顧客向けクーポンプログラム」

ここまで、「説得の心理学」についての概要説明を全4回にわたってお届けしてまいりました。

説得の心理学を応用することで、マーケティング・コミュニケーションの成果が向上できること、また、マーケティング・テクノロジーの活用効果も当然ながら大きく高まることがご理解いただけたでしょうか。

実戦的なコミュニケーションシナリオの提案がご必要な方は、ぜひジェネシスコミュニケーションまでお問合せください。

当記事では、2016年8月3日に開催された「コンバージョンが格段にアップ!Webでのカスタマーエクスペリエンス向上【実践講座】」NTTコム オンライン、ジゾン(現ハートコア)との共催セミナーでの講演内容からの抜粋再編集しています。

セミナーレポートはこちら→

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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