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ジェネシスの仕事の進め方を大解剖!お客様目線の「ポジショニング」を発掘する【vol.03】

お客様目線の「ポジショニング」を発掘する

「マーケの強化書」編集部の編集長と新人編集部員が、「マーケの強化書」を運営するジェネシスコミュニケーション(以下ジェネシス)の仕事の進め方について対談する連載の第3弾。今回は、ユーザー目線でサービスや商品のポジショニングについて考える場合、具体的にどのように細かく考え、整理して成果物へとつなげるかについて、話し合っています。

    田代
    田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
    「マーケの強化書」編集長
    佐藤
    佐藤 直美株式会社ジェネシスコミュニケーション ディレクター
    「マーケの強化書」編集スタッフ
目次

最初に自社の訴求要素を洗い出す

佐藤
  佐藤

前回は、企業目線ではなくユーザー側の視点としての「ポジショニング」を変えるお話でした。

田代
  田代

今回は、ユーザー視点の「ポジショニング」について、競合他社と戦うための要素の見つけ方や、見つけた要素をどのように形にしていくかについて話します。
最初に、以下の図をご覧ください。

要素や、要素を支える切り口について、自社と他社の関係性を整理する。
田代
  田代

こちらは今回のクライアントが提供するサービスについて、サービスを構成する一つひとつの要素に対して自社と競合他社の位置づけを整理したものです。例えば、サービスの提供を受けられる場所の数は競合と比較してどうか、サポートの有無はどうか、他サービスとの連携はあるのか、などの観点から、自社が他社より躊躇なく優位にある要素を探していくわけです。

佐藤
  佐藤


他社より「優位」とは、どう考えたらいいですか?

田代
  田代

他社の立場、第三者の立場からツッコミが入っても、自信を持って言い返せる要素であるのが理想的です。ある要素はA社には優位に働くがB社には差別化が難しいなど、要素によって自社が優位になる要素は限られてきます。時間をかけながら、すべての要素に対して検証し、他社と差別化できる要素を洗い出しましょう。

佐藤
  佐藤


他社の要素はどのように見つければいいでしょうか?

田代
  田代

そうですね。公開されている情報から探すのが一般的です。Webサイトや印刷物、提案資料などから言及されているかを当たります。時間があればクチコミサイトやSNSの投稿、個人メディアなどでの言及まで手を出せれば良いですが、そこまでなかなか時間が取れない場合は、多くの人が目にとめるWebサイトに限っても良いかもしれません。

佐藤
  佐藤


なるほど。こうした要素はどのくらい洗い出せば良いものですか?

田代
  田代

一概にいくつということはないのですが、今回のクライアントさんの場合は50以上の要素について「競合他社と比べてどうか」を整理しています。

佐藤
  佐藤


50以上もですか!? よくそれだけの要素を探せましたね。

田代
  田代

要素出しは、当然適当にしたわけではありません。クライアントさんから提供された数々の資料や、ジェネシスが事前に調査した内容、ユーザーもしくは(今回の事例だと)ユーザーと直接相対する営業パーソンやコンサルタントなどのみなさんとのヒアリングに基づき、時間をかけて行った結果、この場合だと50以上の要素が出てきました。

複数の訴求要素を戦える軸として整理する

佐藤
  佐藤


50以上の要素から、どのようにストーリーに落とし込むのでしょうか。

田代
  田代

はい。まずは下の図をご覧ください。この図は、サービスや商品の特長、ユーザー目線で捉えたときに考えられる要素を図示化したものです。

サービスや商品の特長、ユーザー目線で捉えたときに考えられる要素を図示化
佐藤
  佐藤


さまざまな要素が並んでいますが、50もないですよね。

田代
  田代

そうだね。この図では中央の黒丸●を中心に、○が並んでいると思うのだけど、この○で表しているものが、先ほどの要素にあたると考えてください。黒丸は9つあるので、36個の要素を使ったということになります。

実は、先ほどの要素の洗い出しの際に伝えていなかったのですが、要素ごとにある程度グルーピングをしています。それが黒丸●にあたるものです。このプロジェクトでは「軸」と呼んでいました。

言い換えれば、軸の「切り口」に当たるものが要素になります。例えば、「取り扱いデータ量」を軸とする場合、要素として、データの量や偏り、深さ、新しさ(更新頻度)といったように細かく分類していくことで、競合に勝てそうな要素を見つけることができるわけです。総量としては勝てなくても更新頻度は勝てる、であるとか。

佐藤
  佐藤


なるほど。確かに細かな要素すべてで勝てるとは限りませんしね。

田代
  田代

そう。なので、できるだけ勝てそうなものを見つけることが大事です。

もう1つ、今度は縦に目を向けてください。縦軸では、ユーザーが認識できるのかという視点で整理しています。細かくても良いのですが、このプロジェクトでは、「ユーザーが利用する」「ユーザーが理解・実感しやすい」「ユーザーは理解できるが、実感しにくい」というカテゴリに分けました。
ここも図を見てもらいます。ちょっとマスクしてあるので、わかりづらいのですが(苦笑)。

もっともストレートに自社が訴求しやすい要素を確認
田代
  田代

縦軸の真ん中と下の2段では、ユーザーが利用し、日々実感しやすい軸・要素を並べています。つまり、普段目に留めやすかったり、思い浮かべやすかったりする軸・要素が並んでいますが、言い換えれば、ここの軸・要素は他社でも同じことを訴求している可能性も高くなるわけです。簡単なのはユーザーが気づきやすいカテゴリで差別化しやすい要素が見つかることですが、なかなかそうはなりません。そこで、一番上の「ユーザーが実感しにくい」カテゴリからとなりますが、ここだけで完結させようとするとうまくいきません。

佐藤
  佐藤


なぜでしょうか? 他社との違いが出しやすい強みのはずですよね。

田代
  田代

「ユーザーは理解できるが、実感しにくい」ということは、ユーザーにとって「わかりにくい要素」でもあり、ユーザーにうまく伝わらないからです。この図で大切なことは、要素の整理とともに、効果的な訴求のために最善な「要素の組み合わせ」を見つけることです。

一番上の「実感しにくい」カテゴリだけで語るのではなく、「ユーザーが実感しやすい」カテゴリと組み合わせて語るストーリーを見つけることが大事です。競合他社も勝負する軸での明らかな差別化は厳しいです。そこで、ストレートにそのまま伝えず、違った視点を取り入れながら青のゾーンの引き立たせ方を再検討するということですね。

他社にない自社の強みを語るストーリー探し

田代
  田代

ここで意識したいのが、競合他社にはない自社らしさが際立つストーリーを模索することです。下の赤のゾーンを見てください。

競合他社と勝負できる軸や切り口から自社ならではのストーリーを探す
田代
  田代

一例ですが、赤帯のゾーンでは、他社にはない切り口を取り入れながら、ストーリーとして成立する組み合わせとなっています。自社の勝てる要素を目に留まりやすいこと、留まりにくいこと含めて語れるようにストーリー化するわけです。そして、青で囲った、サービスや商品について訴求しやすい軸や切り口はあくまで「当たり前にできること」として扱います。差別化は赤の箇所で行い、青では行いません。

佐藤
  佐藤

他社には存在しないか、強みになっていない要素や軸を上手に取り入れるストーリーを探せるかどうかが大事ということですね。

田代
  田代

競合他社が強みとせず、自社なら強みにできる(けれど、今まで強みとして訴求できていなかった)切り口A、B、C……や、切り口に支えられた軸X、Y、Z……について、赤のゾーンのように、各カテゴリの軸をうまく組み合わせることができれば理想的です。なぜなら、ユーザーに実感しやすい要素を取り入れつつ、これまで実感しづらかったけれど他社にはない魅力的な特長も一緒に訴求できるからです。

ストーリーを言語化する

田代
  田代

ここまでに至るのに、一定以上の時間がかかります。いきなりは見つけられません。時間がかかる背景には、要素探しから、軸を見つけ出し、勝負する赤色のゾーン=ストーリーを見つける過程も加わるからです。

佐藤
  佐藤


なるほど。この過程が丁寧であればあるほど時間がかかるわけですね。

田代
  田代

はい。今回のプロジェクトでは、オリエンテーションをいただいた時点で「もっと良さを出せるのでは?」と思っていました。この思いはヒアリングなどを通じて濃くなっていったのも事実です。ですので、その直感をきちんと分析し整理することで、勝てそうなストーリーを探し出せました。

このストーリーができて初めて、ハンドアウト作りに入れるわけです。クライアントさんも、こうしたプロセスを通じて、生み出される成果物なら根拠や裏づけが持ちやすくなると思います。例えば、ハンドアウトに出ている言葉の表現は、聞き心地のいい言葉を並べたのではありません。こうして時間をかけた分析に基づく表現で構成されるので、ユーザーとともにクライアントさんもしっくりきやすいはずです。

3回を終えて

今回はハンドアウトでしたが、3回で伝えてきたアプローチは、Webサイト制作をはじめ、各種イベントやデジタル施策にも共通する、最善をもたらすための作り方だと考えています。時間をかけながら、競合他社にはない自社の魅力を見つけ、形にすることは一定の期間と負担を伴いますが、その分、裏づけのあるアクションが取れるようになる真意も伝わっていると嬉しいです。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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