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仮説のサイズを考えよ!実務で使える「仮説力」

仮説をテーマに、前回は「現場で仮説をどう立てたらいいのか?」という話をしてきました。例えば、ある状況に対する「事実」と、事実に基づき予想できること(=「仮説」)があるなら、これらの事実と仮説から導き出したことを「試しにやってみよう」と行動を起こすところまでを、前回は実務における「仮説力」としました。今回の編集長対談では、マーケの強化書を運営するジェネシスコミュニケーションの代表取締役を務める杉田とともに、実務における「仮説力」について、さらに議論を深めていきます。

目次
    杉田
    杉田 ユウイチ株式会社ジェネシスコミュニケーション 代表取締役
    田代
    田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
    「マーケの強化書」編集長

仮説の「サイズ感」を意識しよう

田代

田代


仮説をテーマにした第1回を公開したところ、いつものコンテンツに比べて、編集部に反響がありました。背景として「実務で気になっていること」があるからだと思っています。

杉田

杉田


実務を意識するなら、必ず「何のための仮説か?」から考え始めてほしいですね。 

田代

田代


いきなり答えを出そうとしない、という意味ですよね。仮説を立てる立場によっても、仮説の意味が変わってきますし。

杉田

杉田

「仮説」という言葉を聞いた時に、思い浮かべる「仮説」が人それぞれ、立場によって違うはずだよね。だから最初に整理をした方がいい。前回は、実務上の小さな粒感に沿った話だったと思うんだよ。

田代

田代


はい。実務、現場を強く意識した話し合いでしたね。

杉田

杉田

現場の人ほど身近で想像しやすい内容になっていたから、実際にちらほらと反応があったんじゃないかな。

でも、「仮説」とGoogle検索した際に上位にヒットしやすいコンテンツを見ていくと、大上段から構えて考えた内容が並んでいるよね。要は、仮説を考える際のサイズ感が、世の中に出ている記事ごとでまちまちだから、読み手がしっくり来る内容に巡り合いづらいのかもしれない。

田代

田代


第1回で引用した、グロービス経営大学院のMBA用語集に書かれた内容がまさしくそうでした。実務に近い説明というより、仮説という現象についての解説になっています。 

杉田

杉田

あの解説は決して間違いではないけれど、仮説 “論”を説かれたような内容でもあるから、ピンと来づらい人が出てくる。手前味噌だけれど、実務家からすると、仮説のサイズ感が行動の移せる範囲を意識できている第1回の内容が参考にしやすいと思うね。

どうすれば相手と仮説を「共有」できるのか?

杉田

杉田

仮説のサイズ感は、とても大事な認識です。実際のアクションと紐づいているサイズか? 戦略めいた話のサイズ感だと、当然ながら実行力が下がる内容になってしまうから。実務を意識したアクションに寄せた仮説と、戦略的・大局的な立場から考える仮説とは、言葉にすると同じ「仮説」でも、求めることがそもそも違います。

田代

田代


これが混乱する原因ですね…。

杉田

杉田

そう。実務を念頭に置くなら、アクションに紐づくサイズ感を大事にしたい

もう1つ押さえておきたいのが、仮説を立てる段階で、(仮説を考える当人が)いわゆる定石的なフレームワークをどれほど使える状態にあるか、という点です。ここでは、マーケティングの世界では普遍的に伝わっている3C分析を例に説明します。

3Cとは…
 Customer…市場・顧客
 Competitor…競合
 Company…自社

杉田

杉田


これがちゃんと使えている状態で仮説を立てているか? こうしたフレームワークはもはや定石だから、使えて当然、であってほしいけれど、そこの確認も必要です。

田代

田代

はい、仮説を立てる側の問題ですよね。1つは仮説のサイズ感であり、もう1つが仮説を導くためのフレームワークの活用具合だと。前回から仮説をテーマに話をしているのは、仮説を取り上げたさまざまなコンテンツを読んでいても、やり方や方法から具体的に解説しているコンテンツがなかなか見当たらないぞ、という印象を持っています。

杉田

杉田

なるほど、大事な指摘だよね。ビジネスとは、相手と共通認識を取りやすいところを探りながら進めていくものです。初めに3C分析のようなフレームワークにせよマーケティングファネルにせよ()、それらを用いてビジネスプロセスを示しながら進める背景には、相手との共通認識を取りやすくなるためだからね。

※…ジェネシスコミュニケーションでは、「インサイト(insight)」「イマジネーション(imagination)」「インパクト(impact)」という3つの「i」に基づく「3i」というフレームワークを用います。詳しくは第3回で解説予定です。

田代

田代


その通りです。

杉田

杉田

つまり「仮説の共有」です。定石と呼ばれるフレームワークを用いれば、「どことどこが問題ですよね」という指摘がしやすいし、相手も共有しやすくなる。登場人物(自社とクライアントの担当者など)みんなで共有できているものをベースにして、話を進めることが大事です。

仮説を立てる前に共通認識を作っておく

田代

田代


登場人物みんなで共有しているフレームワークなりファネルなりが、お互いの頭の中に入っていれば、どこでボトルネックとなっているかを共有しやすくなりますね。 

杉田

杉田


みんなにとっても、スーッと入っていく。だから、共通認識を持つ過程を経ているので「次」に進める。要は「どの箇所に、よりフォーカスを当てて取り組むべきか?」というアクションへと移っていける

田代

田代


こうしたやり方で仕事を進めた場合、相手から「全然違うよ」と言われた記憶はあまりないんです。最初に「ベースになるもので、相手と(課題を)共有する」が一歩目だし、大事なアクションじゃないかなと。

杉田

杉田


そうだね。最初にベースになるもので整理する。整理した先に、ようやく優先度の高い問題点が炙り出されてくる。

田代

田代


はい。

自社とクライアントの双方でベースを共有できると、スムーズに次の行動へと移れます
自社とクライアントの双方でベースを共有できると、スムーズに次の行動へと移れます
杉田

杉田


そうして関係各位の認識が合えば、みんなで課題を共有できる。後は、共有された課題に対して「適切な解決策は何か?」を、仮説を立てて検証する段階に進んでいけばいい。 

田代

田代


ここまでを整理すると「課題を浮き彫りにしていくプロセスを通じて、仮説も共有していく」ということですね。

全体の関連性を意識できるか?

田代

田代


今の話の文脈からもう1つ、押さえておきたいことがあります。それは、物事を全体的な視野で見る人がいるかどうか、という問題です

杉田

杉田


うんうん、なるほど。

田代

田代


縦割りの弊害みたいな現場があるじゃないですか? このセクションだけをやれていればいい、そこだけ見ておけば仕事をしたことになる、みたいな。

杉田

杉田


(笑)。

田代

田代

例えばセミナー集客などを考えても、「広告プランを練る」「バナー広告を作成する」「セミナーの内容を考える」「セミナーの参加者動向を見る」となると、それぞれの単体だけでそれなりの業務になるとすると、持ち場の単体さえ見ておけばOKになる。セミナーで集まったリストの数は「一定以上」だけれど、実際にコールしてみたり商談に進んだりする割合が「いつもより悪い」状況であれば、全体としてはよくない。でも、部門が分かれて別々で対応しているから整合性が取りづらい。「他は知らない。リストの数が集まっているから、私はいいよね」と(苦笑)。まぁ、今の例示くらいは1人で回していることもあるとは思うので、たとえ話ですが。

杉田

杉田

視野を広く見ること自体が許されているプロジェクトなのか? 全体を見て判断していくことが良しとされる組織なのか? これらがどう考えられているか、に尽きるね。常々、視野を広く見ることはいいことなんですよ。でもその人が動く範囲に制限がかかる、そのプロジェクトが許されている視野のサイズに制限があると、動きようがない。バナーにしか首を突っ込めないわけだから(苦笑)。

田代

田代

バナーしか見てはいけない立場の人が「仮説力を高めたい」「仮説の立て方を磨きたい」なら、やはり「視野を広げる」ことはぜひ伝えたい。「セミナーのリストが集まった!」で止まらず、その先の「リストの使われ方」にまで踏み込む視点を持ってほしい。それをしない限り、単体ではいつまでも気づけません。

杉田

杉田

そうなると、仮説のサイズ感とそれに合った行動がとても大事、という話に落ち着く。バナー広告だけ何とかしよう、という行動のサイズでいいのか? 他部門との調整も含める、というサイズ感なのか? 前者と後者では、仮説の立て方が明らかに変わるから。田代さんの先ほどの問いかけにつながるよね。

田代

田代


はい。全体を見る人の存在、全体を見る視点は常に意識したいですね。

次回は・・・

自社とクライアントの双方が納得できる仮説の立て方について、フレームワークを用いて現場に即した方法を解説します。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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