マーケティング担当者になった人へおススメしたい入門書2冊
はじめまして。1月からジェネシスコミュニケーションで勤務してます鈴木と申します。
前職はダイレクト・マーケティングの会社で11年間勤務しておりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
前職時代の話はすこし置いておいて、その前の会社の事をお伝えいたしますと、某SP会社でWebディレクターとして働いておりまして、2002年当時珍しい、紙のDMを使わないフルデジタルキャンペーンなど関わらせていただき、飲料メーカー様やディスクメーカー様案件など担当しておりました。
毎日終電で帰れれば良いほうで、タクシー朝帰りは当たり前、土曜日は休んだ記憶があまりなく、1カ月に休みが2~3日しかないのが普通な時代でした。今では物言いのつくような時代です。(今の時代はそんなことありえませんよ!)
毎日が眠くて、いつでも1分以内で眠れる自信があったり、睡魔と戦うために立って仕事をしていた時もあった事を思い出します。
では本題です。長年マーケティングに関わってきていますが、マーケティングって何なのか?を分からずに悩んでいる方が多い印象を受けます。また、自分には関係ないと思っている人もいるのではないでしょうか。マーケティングに関わっているけど、そこまで深く考えたことはないという人もいるでしょう。
このコラムではマーケティングやブランディングに関する本を軽めに紹介して、マーケティングの理解の一助となればと思い書かせて頂ききたいと思います。(あくまで個人的な意見ですので、あらかじめご了承ください。)
とは言っても実際の現場において広範囲にマーケティングに関わることって少ないと思います。しかし、バナー作成一つとってもマーケティングやブランディングを理解しているととても役に立つことがあります。その企業に関わる多くの人たちが、バナー1つでも細部までこだわる事によって、企業の売り上げ・集客・につながるのです。なので、多くの人がマーケティングを知ることはとても大切なことだと思います。
そんなマーケティングやブランディング領域で頑張っている方に向けたオススメの書籍を今回は2冊ご紹介したいと思います。
【1】コトラー マーケティングの未来と日本 時代に先回りする戦略をどう創るか
KOTLER JAPAN AND THE FUTURE OF MARKETING STRATEGIES TO PREDICT WHAT COMES NEXT
フィリップ・コトラー著/株式会社KADOKAWA
実践的なマーケティング本ではないため、批判的な意見もある本のようですが、マーケティングを俯瞰するにはこれ以上の本はないように思います。全体俯瞰をしておいた方が、納得しながらマーケティング施策に寄り添うことができるのではないでしょうか。
親日家で有名なコトラー氏ですが、この本を読んでいると、ここまで日本を知っているのか!と驚かされます。日本の教育制度、金融政策など日本人の私でも知らないことを知っているほどです。
この本は、何と言っても彼の唱える「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」までのさわりを端的にわかりやすく説いてくれている点です。簡単に説明すると、下記のような表にまとめることが出来ます。もしもご興味のある方は、1.0~4.0まで全て読んでみるのも良いと思います。
この本の最後の章である「おわりに、平和とマーケティング 広島で考えたこと」には、感動して言葉がありませんでした。また、翻訳(日本語訳)や装丁も素敵です。中表紙も洒落てますので、ぜひカバーを外してお読みください。
【2】ぼくは本屋のおやじさん 早川義夫著/ちくま文庫
この本は、全然マーケティングとは関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、実は関係あります。
著者である早川さんは90年中盤くらいまで、武蔵新城というところで小さな本屋さんをされていました。この本が出た頃は80年前半で、もちろんインターネットもない頃です。この本は、そんな時代に小さな本屋さんを営んでいた早川さんがどうすればお客さんに喜んでもらえるかを呻吟(しんぎん)した様子を伝えるものになっているのです。
(ちなみに10代のころ、早川さんのサイン本を購入したのが私の自慢です。)
私は、早川さんの本はすべて持っていて、特にこの本は35年間手の届くところにおいてあります。ですので、すべてが素敵ですが、その中でもマーケティングに関わる人にとって大切にしたい言葉をご紹介します。
商売というのは、ホントのことをいってはいけないのだろうか。「〇〇ありますか?」「あ、その本は、だいぶ前に発行されて、しばらくうちにおいておいたのですが全然売れないから返本しちゃったんです。」なんていうと、お客さんはいやな顔をするだろう。その場合、「あ、すいません。さきほどまであったのですが、売り切れてしまったんです。お急ぎでなければ取り寄せましょうか」というのが商売である。お客さんもその方がいい。「あ、一歩、遅かったわね」と自分が選んだ本がやはり売れているのかという満足感も得られる。
お客さんに対して、買うの買わないのと言うのは大変失礼だが、ホントに買う人というのは、文句一つ言わず買っていく。買わない人に限ってなんだかんだあるのである。本来なら買う人こそなんだかんだあって当然と思っていたが逆である。しかしここで、本の上に長時間荷物を置かないでくださいとか、漫画の立ち読みをする時、棚によりかかるのをよしましょう、などという貼紙をもししたらどうなるであろうか。その注意書きを読んでほしい幾人かの人は、その貼紙には全然気づかず、なぜかそういう貼紙が目に止まってしまう人というのは、本来、その貼紙をみなくていいような人たちなのである。
実際、欲しい本がなくったって、お客さんはまた来てくれるけれど、応対の感じが悪ければ二度と来てくれないこともある。結局、人は、物を欲しいのではなく,あったかさとか、やさしさとか、安らぎとか、そういった充実感や満足感を求めているのである
私たちジェネシスコミュニケーションのような会社の人間としては、感心してはいけない言葉かもしれませんが、私自身が肝に銘じている言葉なので迷いましたがご紹介します。
最後に、早川さんのお店に有名出版社から飛び込みの営業があり、うちの本を仕入れてくれ!と高い位置から言ってくる営業マンに向けて早川さんが感じた言葉で締めさせていただきます。
「知らないんですか?」といった雰囲気で、その場を優位にもっていこうとする戦法が気に入らなかった。僕は、むしろ、知れば知るほど、知っているという態度をせぬような、もしくは、知っていることが、恥であるような人間になりたいと思うのである。