コンサルタントのコラム

パッケージ変更だけで販路拡大!「アンゾフの成長戦略マトリクス」で導き出したダブルラベル戦略

2018年の足音が聞こえてきました。忘年会シーズン突入で、夏場に頑張って解消したはずの中年太りが戻ってきそうで怯えているわたしです。こんにちは。

製品が、元々のターゲット層、元々の使い方とは違う用途で利用されることがあります。調理家電等の生産・販売で知られる「株式会社山善」から発売されている「食器乾燥機」は、全く違う分野で人気が出ています。

この食器乾燥機がプラモのドライブースに使われるようになったのです!

この食器乾燥機はもちろん、食器を乾燥させるために販売されているため、山善はドライブースとしての使用は禁止しています。山善の担当者は「さまざまな実証試験を行い、専用モデルとして、できる限り早急に発売を目指したい」というコメントも出しているそうです。(引用元:http://news.nicovideo.jp/watch/nw866081

こちらの例のように、ユーザー自らが新しい使い方を見い出しているケースもあれば、企業が既存製品を新たな市場へ向けて再開発し、発売するケースもあります。このような「企業の市場開拓戦略」の事例を、成長戦略フレームワークに沿って見てみましょう。

アンゾフの成長マトリックス

「経営戦略の父」と呼ばれるイゴール・アンゾフ氏によって考案された、企業の成長戦略を決定するために使われるフレームワーク。「製品」と「市場」の2軸を取り、それをさらに「既存」と「新規」に分け、成長戦略をシンプルに表現したものです。

このフレームワークから、4つの企業戦略が導き出されます。

本コラムでは、この4つの戦略のうち「市場の開拓」で成功した企業の事例をご紹介します。

「有機クコの実」売上拡大プロジェクト

クコの実、ご存知ですか?中華料理屋さんへ行くと、お粥や杏仁豆腐の上にちょこんと乗っている、あの赤い実です。中国語で「枸杞(クコ)」、英語では「gojiberry(ゴジベリー)」と呼ばれています。

クコの実は、中国やチベット医学では、古来から重要な食材とされてきました。薬膳では、滋養強壮、血行促進、血圧や血糖値の安定、抗炎症などの効果があると言われています。多種多様のビタミンとミネラル、たんぱく質などが豊富。神経も整えたり、身体的にも精神的にも疲労を回復、抗酸化作用によるアンチエイジングも期待できます。
(出典:「スーパーフード便利帳」いとうゆき著)

「有機クコの実」のリーディングカンパニーである、株式会社八仙は、1999年に設立されました。2000年に「蓬莱の八仙」ブランドを展開し、無農薬健康茶の販売を開始します。2003年には有機クコの実の構想をスタート。「蓬莱の八仙」ブランドで「有機クコの実」という商品を取り扱っています。

大粒でふっくらとした、最高級グレードのクコの実は、中華食材店やスーパーの店頭に並び、発売当初は健康志向の高い主婦層をターゲットに販売していました。

その後、八仙は新規市場への参入も検討しはじめます。

上の図は、八仙が目指した「新生・有機クコの実」のポジショニングマップです。クコの実は中華食材や健康食品として取り扱っている競合他社が多い状況、そしてこのエリアは既存ブランド「蓬莱の八仙」が進出しているマーケットです。

八仙は、既存ブランドが浸透している市場は温存したまま新たなブランドを立ち上げ、中身が同じで見た目だけ違う「ダブルラベル戦略」で既存・新規の双方を狙い、マーケット枠を拡大する方針を固めました。世間ではちょうどナチュラル志向が流行りはじめ、「スーパーフード」のブームもやってきた時期でもあり、「オーガニック」を取り扱う八仙が、新たに狙うべきはオシャレ路線。新ブランドでは、健康志向の高い女性たちをターゲットとすることになりました。

新しく生まれたブランド「GOJIBERRIES PRINCESS」

左は「蓬莱の八仙 有機クコの実」、右は新ブランド「ゴジベリープリンセス」です。中のクコの実は、どちらも全く同じものです。レトロな印象の「有機クコの実」は、女性がバッグの中に携帯でき、おやつ代わりに手軽に食べることのできるスーパーフード「ゴジベリープリンセス」としても市場に送り出されました。

また、この商品を発売すると同時に、新規製品としてバリエーションも出ました。

ココナッツmix、ナッツmixを追加することにより、「クコの実に興味はあったけれども試したことのなかった」と推測される新規ユーザーも獲得できました。

ゴジベリープリンセスはその後、販路を次々と拡大し、今ではナチュラルフードを取り扱うショップの棚にも並ぶようになりました。もちろん、既存路線である「蓬莱の八仙」ブランドも継続販売しています。

Instagramで「#gojiberriesprincess」のハッシュタグを見ると、料理上手で健康意識の高い多くの女性が手に取り、思わずお腹が鳴ってしまいそうなお料理の写真が並んでいます。また、八仙も2017年に入って公式Instagramの運営をスタート。ゴジベリーの食べ方や調理方法を提案して、新たなユーザー獲得に向けたマーケティング活動を続けています。

冒頭でご紹介した、アンゾフのフレームワークから成長戦略を導き出し、4つのうち2つの戦略で見事に成功をおさめた「シンデレラストーリー」とも言える事例でした。

企業の成長とマーケティング

企業が成長するためには、自らの市場での立ち位置や、市場の動向をしっかりと分析・理解し、時の流れに合わせた柔軟な対応も必要となってきます。「いい製品・サービスを持っているのに、なかなか売上拡大に繋がらない…」という悩みをもつ企業は決して少なくはないでしょう。がむしゃらに既存製品を既存市場で売り続けても、なかなか実を結ばないならば、新たな視点を持ったマーケティング活動をすべく舵を切るのも、企業の成長のためには必要な判断となります。

新しい取り組みをスタートすることは、諸々の事情により難しいことだと思います。その難しさを乗り越える勇気と決断力が、企業の成長につながっていくはずです。

企業のマーケティング活動をお手伝いするわたしたち自身も、マーケティング活動をおこなっており、成長するためにさまざまな新規領域に取り組んでいます。この「マーケの強化書」も、わたしたちの新しい取り組みです。

私がこの会社に参加した頃はwebコンテンツの制作がメインでしたが、時代の流れと共にクライアント様の需要も少しずつ変化し、それに対応する体制を整えるべく、さまざまな分野にアンテナを張っています。今回ご紹介した「ゴジベリープリンセス」のように、良質な中身はそのままで、付加価値をつけたジェネシスコミュニケーションを、多くの企業様に味わっていただきたく、スタッフ一同、日々邁進しております。

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