カメラのキタムラ – 「人間力EC」。その強さの秘密大公開!
【マーケティングテクノロジー活用事例】
オムニチャネルに完璧に対応。
プリントの「顧客体験価値」の向上にも取り組むカメラのキタムラ
昭和9年に創業したキタムラは現在、直営店である「カメラのキタムラ」、こども写真館「スタジオマリオ」、Apple製品の修理を請け負う「Apple正規サービスプロバイダ」、そしてEC事業を展開している。なかでも、「プリント事業」をメインの事業として位置づける同社では、全国に約900店ある直営店の「人間力EC」を軸に、今大きな変革を成し遂げつつある。
独自の強みを持つ「人間力EC」とは何なのか、そして不断なるビジネスモデル変革を通じて「カメラのキタムラ」はどこへ向かおうとしているのか、同社の逸見氏、山田氏、佐藤氏の御三方にお伺いしました。
※所属および肩書きはインタビュー当時のものです。
- 目次
ECを会社全体の最適化のためのインフラとして位置づける
― 近年のECを取り巻く劇的な変化についてどのように捉えられていますか?
逸見氏:やはりいちばん大きいのはネット回線の速度が圧倒的に早くなって、かつスマートフォンなどの端末が自由に持ち運べるようになったということですね。15年前には誰もそんなことを想像しなかったでしょう。
当時は、インターネットの接続料金が基本的に「従量課金制」ですから、使うたびにモデムでつないで「1時間以内に調べなきゃ・・・」みたいな世界でした。それが今ではWi-Fiさえあれば、ネットにどこでもつながる。こうした「ユーザー環境の変化」というのが最も劇的な変化だと言えます。そして商売もそのような変化に合わせなければならないのです。
― 消費者の利用環境変化に合わせなければならないポイントは、「社内のデータ連携である」と以前のご講演で強調されていましたが、具体的にはどういうことでしょうか?
逸見氏:例えば、ネットと実店舗のそれぞれの販売価格や取扱商品が大きく異なっていれば、お客様としては当然疑問を持たれるでしょう。ネットと実店舗でできるだけ価格や品揃えが同じになるよう、バックエンドでデータ連携していないと、お客様から見ればおかしなことになるということです。
キタムラの場合は、バイヤーとECの商品担当が一緒に商品選定やバイイングをしているので、ネットと実店舗で一体的な運営ができています。販売価格は本部バイヤーが決定していますが、利益が出る範囲で各店舗に価格の裁量権が与えられています。このため、ECの価格と店の価格にズレが生じる場合があります。その場合は「安い方で売る」という単純なルールを適用しますので、お客様にご迷惑をおかけすることはありません。
お客様から見ればどこの店であろうと、ネットであろうと「キタムラ全体」として取引しているという認識ですから、我々もそれに合わせて対応していかなければならないのです。
―いわゆる、「本部主義か、それとも個店主義か(どちらが良いか)」という議論の観点で見ると、各店が大きな裁量権を持ち、各地域のニーズに応じて仕入れのアイテムや数量を決めた方が良いとされる場合がありますね。その点についてはどうお考えですか?
逸見氏:そうですね。弊社の場合、実店舗でも仕入れ責任は発生しますが、キタムラ全体として扱っている商品をなるべく早く売り切るために、その地区の事業部全体で協力しますし、それでも売れ残っていて、ある程度の日数以上店頭在庫に留まっていたら、ECで売ろう、という体制になっています。
個店単位の個別仕入れにしてしまうと、その店やエリアで売り切らなければならなくなるので、どうしても無理に値引きしてでも売ろうとするものです。しかし、ネットの方が全国から注文が入るので値引き率は少なくて済む。会社全体としては、その方が絶対いいわけです。
他の小売チェーンでも、実店舗間で在庫を相互にやりとりして在庫調整しているところがありますが、それにECも加えて実現しているところは、まだ少ないと思います。実店舗とECを統合することでさらに全社最適化が進みます。すなわち、全社での「在庫回転率」を上げるという取り組みが可能になるということです。
ですから、キタムラではECは「ネット店」という1つの店舗の扱いではなく、実店舗のサポートを主目的とした、全社の「仕組み」や「インフラ」として機能するものという位置付けにしています。
『写真プリント』の新たな価値創造でオムニチャネルを完成形に導く
―貴社では、既に「オムニチャネル」に適合したビジネスモデルの変革をほぼ成し遂げられて、さらにそれをブラッシュアップしているフェーズだと感じていますが・・・
逸見氏:正確に言うと、オムニチャネル的なものも含めて、当社のビジネス変革はまだ半分しか終わっていないと考えています。と言いますのは、当社は「カメラのキタムラ」というぐらいですから、元々カメラと写真の「プリント」事業がメインであり、利益率も高いのです。ところが、ECでは、写真の「店頭受取り」も含めて順調に伸びてはいるものの、プリント事業拡大のためのさらなる取り組みが必要なのです。
本丸のプリント事業が伸びなければ、その周辺のサービスも意味がなくなってきますから、キタムラ全体としてプリント事業を大きく伸ばすため、昨年は40億円の投資を実施しました。投資対象としては、具体的には、お店での写真プリント環境の改革があります。従来の写真プリント機といえば、銀行のATMのように、目隠しの仕切りがあってメモリーカードを差し、下から印刷されたものが出てくる、というような単に写真の印刷機でしかなかった。しかし、
「写真の楽しみ方ってそうじゃないでしょ」
というのが当社の考え方です。
むしろ、デジタル時代だからこそもっとゆったりと、それも家族や友人一緒に写真を選んだり編集したりしてそれを印刷する、というのが本来の楽しみ方だと思っています。そこで、デジタルだからこそできる今の楽しみ方を満喫してもらえるよう、お店でプリント注文するコーナーを「photo+(フォトプラス)」というものに変えました。photo+のコーナーでは、ご家族、あるいは友人などと一緒に写真データを眺め、楽しみながらプリントしたいものを選んだり、フォトブックを制作することができます。
また、プリントシステム自体に革新的な機能を持たせるための開発も進めています。デジタルデータからのプリントといえば、従来はデータが多すぎて、どれを選んでいいのかがわからない、整理しようと思っても時間がないなどの問題がありました。
そこで、任意の写真とレイアウトをアプリが自動的に選び、シャッフルプリントのようにA4サイズの印画紙1枚に17~54画像を納めてプリントするとか、「イヤーアルバム」としてA4サイズ32ページなら150~180画像のフォトブックを自動的に作ってしまうなど、手間をかけずに写真を楽しめる機能の拡充を図っています。例えば、今週行った旅行の写真集を弊社の仕組みでさくっと作ることができれば、それだけでも良い旅行の思い出となります。photo+のアプリを使って、家族とワイワイとやりながら作れれば、もう1度旅行が楽しめることにもなります。
このように、今現在はプリント事業拡大を狙った新たな変革の真っ最中と言えます。
プリント事業が質・量ともさらに充実することで、当社のオムニチャネルはより完成形に近づいていく
ことになると考えています。
―「photo+」は、いわば、写真プリントの「体験価値」を高めようとしているということであり、そうすることで新たな「需要創造」に取り組まれている、ということでしょうか?
逸見氏:そうです。しかもそれが場所によって制約されない。実店舗からだけではなく外出先のスマホのアプリや家のPCからでも同じようなUI/UXで実現されることが理想です。そこで、まずはリアル店のphoto+コーナーから手を付けたというのが現状です。
店の売上にどれだけ貢献したかでECが評価される仕組み
―貴社においては、ECは「実店舗のサポート」という位置づけであり、「EC関与売上」というものの最大化を目指されていますね。最初からそのような構想をお持ちだったのでしょうか?
逸見氏:私が5年前に入社した時には勝手にそう思っていました。大規模なシステム投資はなかなか難しいので、実店舗というリソースを最大限活用できるようにECサイトを連携させるべきだと。もちろん以前からそのような取り組みは行われていましたが、部分的な取り組みであったため、なかなか全体としては見えにくいものになっていました。
キタムラは小さいお店が多く、多数の在庫を置けないということもあり、ネットを使って商品を見せたり、取り寄せたりする販売方法が効果的なのです。さらに47都道府県に店舗があるので、ネットで注文した商品の店頭受け取りにも使える。
いろいろなものをつなぎ合わせて店舗を活性化すれば、お客様は店舗でも何か買ってくださることにつながります。ECと違って、分からないことがあればいつでも専門知識を持った店員に対面で聞くことができ、そうすると定期的にお店に来てくださるようになる。
―「オンライン to オフライン(O2O)」ということを最初から意識されてやってこられたということですね。
逸見氏:そうですね。先ほど申し上げたように、以前から部分的にではできていたのです。ただ、それが全体としてうまくつながっていなかったり、見えにくかったりという状態でした。
山田氏:ご指摘の通り、EC部門は、EC単独でどれだけ売ったかではなく、ECやネットを通じて最終的にどれだけお店で売上が上がったかという「EC関与売上」で評価されます。ですので、EC部門単体で売上げをあげることよりも、どれだけお店への来店につなげられるか、お店をサポートできるかという発想でいつも考えています。
一方で、実店舗としては、ネットで注文されたものも自店の売上になる仕組みですから単純にありがたいわけです。朝、お店に来て端末を確認するとEC経由で注文が入ってきており、あとは来店されたお客様に商品を渡すだけ。年々やることが増えている店やスタッフにとっては、長い時間接客しなくても売れるので、販売効率という点では大変ありがたい。ECが実現しているこのような利便性をお店にもしっかり理解してもらっているところも大きいと思います。
人間力を最大限生かした、「お店」という名のランディングページ
逸見氏:会社としては、どこで売上を上げても全社の損益上は変わらない。経営者がこれをちゃんと理解さえしてくれていれば、ECはリアル店舗を支援する役割という体制が最も効率的です。全国各地の実店舗に専門知識を持ったスタッフがいて、ネットでそこに集客するという、マーケティング的にいうと、いわば『「お店」という名のランディングページ』があるようなものですから。
実店舗では、初めてのお客様なら噛み砕いて丁寧に説明してくれるし、マニアの方にはより専門的な話ができる。このようなパーソナライゼーションをシステムでやろうと思うとすごく大変ですけど、人間なら柔軟に行える。もちろん、同時に、実店舗においても、より販売効率やサービスレベルを上げる必要はありますが。
―なるほど。実店舗に誘導してこそ、まさに「人間力」が生かされるわけですね。
逸見氏:キタムラには全国に8,000人の「カメラオタク」、すなわち「カメラ・写真大好き人間」がいます。店のスタッフのことですが、彼らの知識はホントに半端じゃないですからね。
当社では、ネットを含めて値引き合戦をしてしまうと大変なことになるので、基本的に無茶な価格競争は行いません。当然、価格が他社より高くなってしまう場合もあるわけですが、そのような場合でも当社で買ってくださるのは、全国にあって便利に足を運べる実店舗と、そこにいるカメラ大好きなスタッフがいるからだと思っています。
カメラというのはあくまで手段や道具であり、写真を撮って記録に残すことが目的のはずです。カメラを買うだけならもっと安いところがあるかもしれません。しかし、ちゃんとした写真を残すとなるとそれなりの知識・技術が必要ですし、サポートの必要も生じてきます。
せっかくカメラを安く手に入れても、ちゃんとしたサポートを受けることができなくて結局高くついてしまう、というケースはよくあることです。お客様も価格競争の中で1円でも安く買うことが習慣になってきていますが、実は自分の不便さの方が増していた、ということにある時気がつくのです。その点キタムラでは、全国にある店舗で、いつ行ってもカメラオタクがとことん対応してくれるのです。
お店が楽になるようにという発想で始めた店頭タブレット。今ではなくてはならない存在に
―実店舗のスタッフが店頭接客時に使われている「専用タブレット」は非常にユニークなだと思うのですが、これはどのようなところから発想されたのでしょうか?
山田氏:以前は、店頭にパソコンをおいてECサイトをそのまま表示させていました。しかし、ECサイトそのものはお客様向けであるため、お店のスタッフからは、より詳細の情報や別の情報が知りたいという声が上がってきました。そこで、プラットフォームは活かしながらも、インターフェースや内容を変えてスタッフ向けの情報端末を実現しましょうと。
そしてせっかくタブレットを導入するのなら、そこで物を売るだけでなく、接客が楽になるようなコンテンツを載せられないか、という発想で活用し始めたのが店頭タブレットです。
今では、接客をする時はタブレットを持って売り場に出てください、ということにしており、タブレット上で、お客様と商品を見ながら一緒に「選ぶ」、「探す」、「注文する」というところまでできています。
物販以外での活用も進んでいます。例えば携帯電話各社の契約条件や詳細がタブレットから確認できるようになっています。スマホの料金体系は複雑で、すぐ変わるのでスタッフが覚えるのはとても大変です。しかも、1社だけならともかく、他の通信会社も並行して扱っていますので覚えきれません。
しかし、タブレットから各社の契約条件・料金体系等を閲覧出来るようにしたことで、まだ慣れていない新人スタッフを含め、誰もが自信を持って携帯各社の条件や金額をお客様にご提示することができるようになりました。タブレットは、今ではお店を運営する上で欠かせないツールにまでなっていると感じています。
―タブレットによる接客支援を行うことにより、サービス水準の底上げが図れているということですね。
佐藤氏:そうですね。従来、カメラのスペックはそれぞれのメーカーの紙のカタログで確認したり比較したりしていました。ですので、少し前の型になるとカタログや情報がなく、対応できないようなこともよく発生しました。また、アクセサリーの互換性などになると調べるだけでも大変です。
私は少し前までカメラのキタムラの店長をしていましたが、ベテランの店員であればそのあたりも全部頭に入っていたりしますが、例えば新人の店員はさすがにそこまでの知識を備えてはいません。しかし、タブレットであれば関連商品の情報まで出ているので、たとえ新人でも、お客様に適切な情報をすばやく提示できるようになっています。
逸見氏:また、タブレットの活用によってお店の作業や対応が楽になることで、よりお客様と会話する時間を増やしたいという思いもありました。将来的には、お客様のネットIDなどと連携することで、パーソナライズされたレコメンドやコンテンツなどをお届けできるのではと考えています。
しっかりとスモールデータを見てからビッグデータを活用する
―ところで、「ビッグデータよりもスモールデータ」という指摘も以前されていますが、これについて詳しくお聞かせ願えますか。
逸見氏:それは、
「外部のビッグデータを見る前に社内にあるデータをまずしっかり見ましょう」
ということです。POSデータやECの顧客データや販売データ、またTカードの情報など、これらの情報を仔細に見るだけでもいろんなものが見えてきます。自分たちの現状がちゃんと見えていないのに外のデータを見てもしょうがないわけです。本来なら、
「自分たちの中にこういうお客様がいるから、外にも同じようなお客様がいないか?」
という流れになるはずです。
マーケティングオートメーションでお客様の行動の見える化が実現
―それでは、次に「マーケティングオートメーション(以下MA)」を導入の目的や経緯をお聞かせいただけますか?
山田氏:従来、お客様に働きかけられるツールとしてはメールしかありませんでしたし、最初は一斉同報のメールを中心に送っていました。それでも売上が上がっていた時期もありましたが、気が付くとものすごい量のメールをお客様に送っていまして、その結果、だんだんと反応が悪くなってきます。これじゃダメだということで、お客様の購入履歴に応じてメール配信リストを切り分け、それぞれ異なる新製品をお薦めするようなことをやり始めたのですが、すべて手作業で行っていたために作業量的には限界に達してしまいました。
そこで、MA導入を検討しはじめたのです。ただし、使いこなせるかどうかが分からなかったので、最初から大規模なシステムを導入するつもりはありませんでした。そして、いろいろ探していく中で、コストと性能の面で高いレベルで折り合いが付いたのがactive core – marketing cloudでした。
同ソリューション導入の決め手となったのは、カスタマイズ性が非常に高いという点です。実際、こちら側の仕様に合わせ、activecore – marketing cloudのカスタマイズに柔軟に対応していただきました。
―MAを導入する必要性というのは、まずは「さまざまなセグメントに出し分けているメールの手作業部分をできるだけ自動化していく」ことだったということですね。
山田氏:はい。それと「見える化」することですね。アクセス解析はGoogleアナリティクスを使っていますが、以前は、それでわかる情報のみで、販売データとの紐付けがまったくできていませんでした。MAに統合することによって、お客様の行動が実よく見えるようになりました。おかげで、これまで「おそらくこうだろう」と推測で出していたメールも、今では「このお客様にはこれだ!」と自信を持ってお勧めできるようになりました。
―では、MAを活用した具体的なメール施策事例をなにかご紹介いただけますでしょうか?
山田氏:では、フォローメールの自動配信状況についてご紹介しましょう。以下3つのフォローメールとその成果は次の通りになります。
- 1.商品発送から、5日後に着荷確認および初期不良の確認と併せてパーソナルレコメンド。
これは、「売り」の要素を控えているため、追加購入にはほとんど結び付きません。コンバージョン率(購入率)は3%程度です。
- 2.商品ページ閲覧後、購入されなかったお客様に当該アイテムをリマインド。
高額商品ほど、購入までに迷いがでるため、「最後のひと押し」的に閲覧履歴から送るリマインドは効果が高いです。コンバージョン率は5%程度になっています。
- 3.最終購入商品から90日間経過したお客さまへパーソナルレコメンド。
何もアクションをしなければ離脱する既存客に、過去に購入された商品を軸にしたオススメ商品をレコメンドすることで再来訪につながっています。このメール内リンクに対するクリック率は13%と高く、コンバージョン率も6%に上ります。
これら3つのメールから得られる売上増はおよそ月1,500万円です。
―それは大きな成果ですね!では、今後のMAの活用の方向性はいかがでしょうか?
山田氏:今の取り組みとしては、毎月3本以上のシナリオを作成して実践しています。こうして、たくさんのシナリオを実行するなかから、「成功パターン」を見つけ出そうとしています。そして、ターゲットの抽出から、メール配信までを自動化、なにもしなくても売上が取れるようになる仕組みの確立を目指しています。
ツール導入はゴールではなくスタート。
しっかりとKPIを設定して活用してこそ成果が上がる
―貴社での実体験に基づいて、MAの導入・活用における課題を乗り越えるためのポイントや、覚悟しておかなければならないことなど、他社様に対するアドバイスがあればお願いします。
山田氏:まずお伝えしたいのは、このツールを導入したら売上が上がる、というようなツールはないということです。導入して終わりではなく、十分に活用してこそ売上を上げることができます。
ですので、導入後、半年ぐらいは運用成果を観察し、それから良し悪しを判断する必要があります。導入の翌月にすぐに何か成果が上がるようなことはありません。あまりに評価期間が短すぎます。また、導入前に何をKPIとするのか、しっかりとゴールを決めておくことも必要です。それがなければ成否の評価もすることができなくなります。
個人ではなく、ファミリーを対象とした
「ファミリー・ライフタイムバリュー(FLTV)」のアプローチ
―今後、「ファミリー・ライフタイムバリュー(FLTV)」という概念を元にマーケティングされようとしておられますが、それはどういった考えなのでしょうか?
逸見氏:写真はパーソナルなものだと思われがちですが、実は、友人や家族間をつなぐ働きもあります。ですから、個人相手にマーケティングするよりも、写真のニーズはパーソナルなものと考えるより、家族や交友関係の視点で考えるべきでしょう。アプローチするのはその中の誰か1人なのかもしれませんが、訴求するメッセージとしては、「家族で」とか「友人同士で」、などのようなマーケティングになっていくはずです。
前述した「photo+」は、「写真というもので人をつないで楽しんでいただく」ということを意識していますが、お店でもネットでも端末や場所の分け隔てなくUI/UXを統一してお客様に便利に使っていただくというのが理想です。
私たち「カメラのキタムラ」では、こども写真館「スタジオ マリオ」を起点に、マタニティから壮年期まで、お客様のライフステージに合わせ、様々なタッチポイントを通じ弊社のサービスをご利用いただき、映像・記録・思い出を創り、そして守るインフラとなることを目指しています。
―本日は貴重なお話、ありがとうございました。