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コピーはヒラメキだけじゃない!コピーライター近藤智子さんが語る いいコピー、悪いコピーをどう判断する?

自社の商品やサービスを訴求するために、各種媒体にあわせた「キャッチコピー」を用意する場合、プロフェッショナルにどう依頼すべきでしょうか?プロが仕上げたキャッチコピーをどう判断するといいでしょうか?

マーケの強化書編集部は、プロのコピーライターとして活躍する近藤智子さんにインタビューを敢行。キャッチコピーの作り方や評価方法について話をうかがいました。

目次

コピーは“パッとひらめくもの”ではない!

ある対象(Webサイトなどのデジタル系、各種紙媒体・交通広告など)に対して、必要とするコピーを外部のプロフェッショナルに依頼しても、困るのがその判断です。「好き嫌い」や「なんとなく」といった感覚で選ぶべきではないはずですが、根拠に基づく選び方を知らなければ「好き嫌い」や「なんとなく」で選んでしまいそうです。

キャッチコピーは、決してパッとしたヒラメキだけで作られるものではありません。近藤智子さんは、コピーライティングの出発点として「What to say?」(何を書くか)と「How to say?」(どう書くか)という2軸を設定することを推奨します。

「あらかじめWhatとHowに関連する各要素を決めておけば、どういうコピーを用意すべきかが見えてきます。例えば、対外的に発信するためなのか、社内の認識を高めるための社内向けブランディングとして必要なコピーなのかで、自ずと言葉の選び方が変わります。

同じ社外向けでも、車内刷りなどのマス広告とカタログでは違うし、Webサイトと紙媒体でも変わります。現場でよく遭遇するのは、どの場面、何の媒体でどのようにコピーが必要かを詰めずに話を進めがちなことです。出発点で認識の齟齬が生じないためにも、事前にWhatとHowに紐づく事項の整理は必ず行いましょう」(近藤智子さん、以下同)

WhatとHowの違いについて

コピー作りに必要な、「What to say?」(何を書くか)と「How to say?」(どう書くか)の2軸について、もう少し具体的に、それぞれで何を考えるべきかをまとめていきます。

以下の図をご覧ください。WhatとHowについて考えるべき項目を整理したものです。ざっと言えば、Whatは誰にどのような気持ちになってもらうのかについて考え、Howでは言葉の語感、ニュアンスなどを検討します

コピー作りの最初に、WhatとHowそれぞれについて、考えるべき項目や内容を整理します

これらをきちんと設定できると、コピーを依頼する側も、実際にコピーを表現する側も、常に立ち返るべき根拠となります。仕上がりへの評価も、好き嫌いや感覚ではなく、根拠を起点に判断できます。

「進行中、関係者同士で意見が割れたり、認識のズレが生じてくることはあるものです。あらかじめWhatとHowについて共通認識を作っておけば、“Whatのここに見解のズレが起きている”“Howのこの表現が商品の雰囲気に合っていない”といった議論や進行上のズレの原因が見えやすくなります」

フレームワークで必要な要素を可視化する

WhatとHowの整理ができたら、対象となる商品やサービスに関するマーケティングの全体像を深く掘る作業に取りかかります。「対象の背景を熟知してこそ、初めて書けるのがコピーです」と近藤さんは強調します。

ある対象について、全体像を把握してはじめてコピーが考えられるのです

そこで今回は、マーケティングの全体像に向き合いながら対象へと具体的に迫るためのフレームワークを近藤さんに提供してもらいました。

フレームワークを通じて、対象となる商品やサービスなどの背景や全体像を洗い出しながら、コピーに必要となる要素を言語化していきます

このフレームワークは実際にコピーを作るためのコピーライター用ですが、外注する場合でも、こうしたフレームワークを通じてコピーを生み出すための「要素を徹底して洗い出す工程」の存在を知っておくといいでしょう。また、自社でコピーを用意する場面があれば実際に活用しながら一通りの整理を行うと、目的に基づく要素の優先順位が見えやすくなるでしょう。

メリットとベネフィットの違い

これまでコピー作りの現場を経験しながら、あまりうまくいかなかったとしたら、「こうした整理ができていなかったのでは?」と近藤さんは話します。

「過去の経験では、フレームワークの最初に出てくる“開発意図”にあたる内容をいくつか説明されただけで、いきなりコピー表現を求められる現場も少なくありません。コピーとはヒラメキの産物ではなく、長いプロセスをかけて生み出すものだと認識を改められると、コピーとの向き合い方が変わり、最適なコピーも見出しやすくなると思います

コピー作りの現場であまりよくない例です。コピー“だけ”を考えても、最適なコピーは生まれません。対象の全体像を踏まえた上での依頼を心がけましょう

最後に、フレームワークの中で気をつけるべき箇所を尋ねると、近藤さんはその1つに「ベネフィットとターゲットを徹底的に意識すること」を挙げます。フレームワークだと「仮説」に該当します。

「対象が商品やサービスなら、利用する生活者の目線を忘れないことです。さらにターゲットによって、商品やサービスの持つ利便性(メリット)を通じて、どのような“いいこと”(ベネフィット)がもたらされるのかを、ターゲットごとのリアルな生活視点で深く追求する必要があります」

ここで近藤さんは、メリットとベネフィットの違いを強調します。

「メリットとは利点であり、商品やサービスが持つ特長そのもの、ともと言い換えられるでしょう、一方でベネフィットは、その特長によって得られるプラスアルファです。それを使うことで自分の暮らしがどうよくなるのか、自分の気持ちにどのような変化が生まれるのか、商品を利用するシーンの前後にまで想像をめぐらせると、考えやすくなると思います」

例えば食洗機であれば、自動で食器を洗ってくれるというメリットによって、今まで食器洗いに奪われていた時間を家族団らんの時間に使えるベネフィットがもたらされると考えることができます。トースターであれば、おいしくパンを焼き上げるメリットを通じて“何が生活者の琴線に触れるのか?”を考えます。すると、朝食の時間にゆったりとした時の流れを感じることができる、といったベネフィットも含めて考えていきます。

商品の特徴だけではなく、特徴を通じて得られる良さ(ベネフィット)もあわせて検討しましょう

このように、生活者目線を大切にしながら項目に沿って1つひとつずつ埋めていくと、WhatとHowを踏まえた内容がフレームワーク上に反映されていくはずです。発注側とコピーライターとの間でその内容を共有しておけば、クリエイティブにおける齟齬を減らすことができますし、上がってきたコピーへのフィードバックもやりやすくなるでしょう。

もし外部に依頼せず社内だけでコピーを用意する場合なら、よりフレームワークは使いどころです。コピー作りではなくても、対象への考え方を整理するために、一度フレームワークへの記入をおすすめします。


(お話をうかがった人)近藤 智子さん

コピーライター/プランナー。コンテンツマーケティングの手法を取り入れた企画立案からツール制作までを幅広く経験。2015年よりフリーランスにて活動開始。カタログや会社案内の企画・構成・コピーライティングを中心に、コンセプトメイクやネーミング開発、取材などを行う。


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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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