マーケターのためのデジタル・トランスフォーメーション(DX)入門

5分でわかるDX「デジタル・トランスフォーメーション入門」

新連載がスタートです。この1、2年でだいぶ聞き慣れてくるようになったDX(デジタル・トランスフォーメーション)について、理解を深めていただくための連載です。

デジタル技術の進歩で、さまざまなモノがオンライン上で取引されています。それによって従来までの社会・経済・産業構造への変化とともに、注目を集めているのが「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という概念です。

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」は9回連載の予定です。記事公開のタイミングでお知らせメールをお送りしますので、ご希望の方はフォームより登録をお願いします。
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目次

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」とは何か?

DX(デジタル・トランスフォーメーション。以下DX)とは、一言で言うと、デジタル技術の導入で既存のビジネスのやり方を根本的に変革し、よりよい価値を顧客にもたらすことです。

そもそもDXという概念の起源は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した、と言われています。エリック・ストルターマン教授によると、2010年頃からデジタル化の流れを指す言葉として、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる(※)」というDXのコンセプトが広まりはじめた、とされます。
※Wikipediaおよび “Information Technology and The Good Life”より

日本では、2018年5月に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置したことが皮切りとされます。さらに同年9月に『DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』、同年12月に『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)』も発表されて、広まり始めました。

『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)』によると、DXを以下の通りに定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

経済産業省『DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』に基づき要約して図示

従来のIT化は部分最適だった

ここで重要となるのが、次の2点です。

1.データとデジタル技術の活用
2.組織・プロセスを変革し、競争上の優位性を確立すること

これら2点こそがDXの肝であり、従来から行われていたいわゆるIT化(ITシステムの導入)とは異なる点です。1990年代後半、IT化の進展で従来のメインフレームを柱としたシステムからオープンシステムへと移行しました。結果として、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)をはじめ、業務システムとしてERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)など、さまざまなシステムが企業に導入されました。これらのシステムは、それぞれの企業の要求に合わせカスタマイズされ最適化されてきました。

これらシステムの問題点は、老朽化に加え、長年必要に応じて「部署ごとに」カスタマイズや継ぎ足しが行われた点です。長年継ぎ足しを行ったため、システムは非常に複雑化し、誰も全体像を把握できないブラックボックス化してしまったのです。

誤解を恐れず言うなら、従来のIT化は「部分最適」なシステムで、その結果、システムだけでなくデータもサイロ化しました。これでは、デジタル技術の進歩で必要な「データの資産化」や、データを活用して熾烈な市場での優位性の確立が難しくなります。

日本でDXが進んでいない現状

このような「部分最適」なシステムではなく、全社横断的にデータを資産として扱い、分析し、その結果に基づいて経営判断を行う「全体最適化された」システムの構築こそが、DX化を推進します。

従来のIT化とDXを比較した表

改めて、なぜDXが日本でも世界でも注目を集めるのかを考えましょう。

一番は、デジタル技術の進展です。従来まで活用できていなかったデータを活用できるようになったからです。データ活用で、より競争優位を確立できることが証明されたことも大きいでしょう。例えば、NetflixやUberが最たる例です。データを資産化し、従来は不可能と思われていたサービスで、それぞれが圧倒的な競争優位を確立しています。

日本でDXが大きな注目を集める背景は、上述した経済産業省が2018年9月にリリースした『DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』での「2025年の崖」の指摘も挙げられます。「2025年の崖」とは、1990年代から始まったIT化によって複雑化したシステムが、ブラックボックス化することへの言及です

特に以下の3点を危惧します。

  1. 市場の変化に対応してビジネスモデルを柔軟・迅速に変更できず、デジタル競争の敗者になってしまう
  2. システムの維持管理費が高額化することで技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難になる
  3. 保守運用の担い手不足により、サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失・流出などのリスクが高まる

これらリスク回避を念頭に、日本ではDX推進の機運が高まりましたが、実際にはあまりDXが進んでいないのが実情です。要因は、「人材不足」や「大幅なプロセスや組織変革へのROI」を見通せず、何よりも「経営陣の意識が高まっていないこと」が挙げられます。

DXの推進は “Must Have”

しかしながら、DXを推進しないと、既存の企業はその大きな波に飲み込まれるでしょう。気づいたときには、すでに手遅れになりかねない状況です。多くの市場ではAIや最新デジタル技術を使い、データを資産として活用したビジネスモデルが展開され、新しいスタートアップが次々と現れています。いわゆる破壊的イノベーションを起こし、市場やそれまでの商慣習を大幅に変化させています。

企業にとっては、DXの推進は“Nice to Have”から“Must Have”の状況になりつつあります。DXを推進して今までの組織やプロセスを改善し、イノベーションを起こすことが、これからの企業には必須です。

次回は・・・

DXのほかにもよく似た言葉があります(例えば、UXやCX)。そこで、DXとUXやCXとの違いを解説するとともに、DXとUXやCXとの関連性について説明します。連載2回目も公開中です。


野澤 智朝(のざわ ともお)
現役マーケター。「ニテンイチリュウ」運営者。デジタルクリエイティブ、デジタルマーケティングに関するメディアで連載を担当してきたほか、各種記事の寄稿多数。


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