オウンドメディア 編集のプロが教える極意!「なぜ、いい原稿が集まらない?」
さまざまなクライアントからいただく相談事の中でも、最近増えてきているのが「オウンドメディア運営」に関する悩みです。複数の異なる企業から「うまく運営できない」という嘆きをいただくので、詳しく中身を聞くと、どの運営担当者にも共通するいくつかの悩みにたどりつきました。
今回はその中の1つ、「社内外から、うまく原稿が集まってこない」という共通の悩みに対する解消策をお伝えします。とくに運営担当者ながら、日頃の運営に行き詰まりを感じている人は参考にしてみてください。
ちゃんと「依頼」していますか?
オウンドメディアの運営担当者(もしくは編集者)であれば、「お願いしていた原稿の仕上がりがよくない」「原稿は来たものの、中身が狙いと異なっている」など、原稿を前に困った経験を誰もがお持ちではないでしょうか。原稿の質はメディア全体の質にも関わります。
受け取った原稿、その後の修正や調整作業は誰がやるのでしょうか?
本業を抱えながら兼務する運営担当者も多いです。明らかに何かしらの手を加えるべき元原稿を前に、本音は「これ以上作業が発生したくない!」。リライトをお願いするにしても、書き手をおもんぱかれば簡単につき返せず、相手が納得する形でどう書き直すべきかを的確に指摘すること自体が大きな負荷です。
こうした事態に遭遇したら、真っ先に我が身を疑う癖をつけてみてください。
原稿の質が悪い責任は、書き手でなく運営担当者にあり!?
つまり、仕上がってきた原稿の質が悪いのは、原稿の書き手以上に、依頼した自ら(運営担当者)に原因がある、と反省してほしいのです。おそらく、依頼の仕方が疑われてくるからです。振り返ってみると、原稿をお願いした時に、相手にきちんとお願いしていたでしょうか?
コンテンツを完全内製で用意するのか、外部協力者と連携しながら用意するのか、でも状況は分かれますが、社内外どちらに対してもコンテンツのための執筆をお願いするなら、お願いする相手に対しては必ず「何をなぜ、どういう目的で書いてほしいのか」を伝える依頼が生じます。もし執筆の依頼相手に対して口頭であやふやなお願いをしていたとしたら まずはそこを改善しましょう。あやふやなお願いこそ、後々のトラブルの源です。
はじめの一歩は、誰に対してもきちんと依頼すること
本業と兼務している運営担当者ほど、余計に依頼に時間をかけたくない心情はわかります。ましてや社内のことだと、“社内で同じ部署にいる相手だから”“設定のテーマについて、よく話し合っている相手だから”と考えたくなりますが、これからは少し控えてください。
どれほど近くで業務をともにする相手であっても、きちんと依頼するようにしましょう。もし社外の相手であれば、同じことをするでしょうか?
「きちんと依頼する」とは、運営側と書き手側が共通理解を持つこと、を指します。なんとなく依頼している限り、いい原稿は生まれません。
まずは書き手に依存し任せきった進め方に気づき、その体制を根本的に改めましょう。このことができてはじめて、自社に運営の知見やノウハウが貯まり、中長期の運営も見越していけます。依頼の手間を惜しまないことが、齟齬のない原稿を生み、公開までの作業も円滑にするのです。
せめてやってほしい、相手に依頼内容を「残す」こと
具体的には、「兼務していて大変!」という方でも、依頼時にメールを1本、必ず相手に送る習慣を身につけてください。“言った”“言わない”とならないように、口頭での説明だけで済ませず、箇条書きで構わないのでテーマや目的について依頼相手にメールを送りましょう。信頼が厚い書き手に対してであっても、最低限の内容で構わないので送ります。後々、メールの履歴が依頼内容の振り返りに使えて便利です。もちろん、相手とのやりとりがメール以外で行っていれば、各種SNSやチャットツールなど、別手段経由でOKです。
要は、依頼に関するログがお互い(依頼側と執筆側)に残るように進めてください。両者とも、共通するコンテンツの目的がよりクリアとなって、必ず原稿の質の向上につながるでしょう。
次回は・・・
依頼する書き手に向けて用意する「依頼用の共有シート」についてご紹介します。「もう少し踏み込んで改善したい」という運営担当者や、「きちんと順序立てた運営方法を身につけたい」という方には、とくに読んでほしいです。
[初公開:2019年3月12日、再編集:2022年]