狙い通りの原稿を書いてもらうために。依頼用の共有シートを作ろう
「オウンドメディア運営」担当者が、「いい原稿が集まらない」と悩んでいる場合、前回は口頭だけの簡単な依頼を控えて、書き手に依頼内容を残すことについて触れました。今回は、「もっと根本的な改善をしたい」という運営担当者に向けて、もう一歩踏み込んだ運用方法をご紹介します。
「依頼用の共有シート」を使って運用しよう
オウンドメディア運営担当者が、書き手に狙い通りの原稿に仕上げてほしいなら、「依頼用の共有シート(以下、依頼シート)」を活用してみてはいかがでしょうか?
依頼シートは、想定するテーマや目的、文字数、締め切り日時などが書き込める仕様で、運営担当者が執筆側と書き込んだ内容を共有するものです。依頼シートを蓄積していけば、コンテンツ公開前の依頼状況を当事者以外の社内でも可視化するのに使えて便利です。
依頼シートを盛り込んだ運営ガイドラインを設ける
後は、「原稿は依頼シートにもとづき進める」という運営上のガイドラインを設ければ、依頼シートの形骸化を防ぎながら運用できるでしょう。裏返せば、こうした運用ルールがないと原稿の内容は書き手本位になりすぎて、運営の狙いと異なる原稿が来やすくなりがちなのです。
また、依頼シートが掲載判断の根拠として機能すると、たとえ運営担当側と書き手との関係性がフラットでなくても、運営しやすくなるでしょう。たとえば、依頼シートにもとづいて、「この箇所は事前の約束事にあわせて修正してほしい」と伝えることができるので、書き手に根拠にもとづくリライト交渉がしやすくなるからです。
原稿をはじめとするコンテンツ制作では、依頼段階の「最初」が肝心。最初だからこそ、お互いの思い違いや誤解があればズレを埋めていける余裕や時間が持てるのです。依頼内容を詰めずに進めた場合、書き手側の自分勝手な解釈にもとづく原稿が仕上がってきても、本来は書き手を責めることはできないのです。
面倒と思わず、「急がば回れ!」
「依頼シート」の運用に慣れてきたら、事前共有しておきたい項目を増やしてもいいでしょう。上で掲載するサンプルは、コンテンツ全体の前半と後半で踏まえてほしい要素について書く項目を設けていますが、もっと細かく、段落ごとに用意するという手もあります。
慣れないうちは、「面倒だ」「こんな指定をするなら、自分が書いた方が早い」などと感じる人もいるかもしれませんが、「急がば回れ」と思ってください。丁寧な依頼が、仕上がり原稿の品質を確実に底上げします。数をこなし慣れてくれば、大幅に時間を短縮しながら的確な依頼シートを発行できるはずです。丁寧な依頼を怠れば、狙いとずれた原稿の修正作業という大きな負担が待つ可能性が高まります。また、他者が書くことで必ず自分にはない観点も加わるはずで、依頼を通じて他者が書くことの価値も感じやすくなるでしょう。
依頼シートの資産化が運営体制の属人化防止に
依頼シートが書き手の思いを縛り、「書き手が気持ちよく、伸びやかに書けないのでは?」と考えた人もいるでしょう。もちろん、書き手への信頼度が強ければ指定の中身は調整してしかるべき(細かく指定しすぎない)ですが、あくまで書いてもらう目的はオウンドメディアのためです。依頼段階で書き手に任せすぎた進め方はやはりお勧めできません。
依頼シート作成が習慣化できると、運営体制の属人化も避けられます。運営体制内でメンバーの引き継ぎがあっても、依頼シートがあれば、過去の依頼のやり取りが端的に残ることになります。依頼シートと公開中のエントリー(原稿)と一緒に参照するといいでしょう。単に公開エントリーだけを見るより、公開に至るまでの背景がわかるので、新メンバーが運営や依頼のコツをつかみやすいはずです。
コンテンツとともに依頼シートも運営上の心強い資産にしていってください。
[初公開:2019年3月22日、再編集:2022年]