GA4 探索レポート【セグメントの重複】を使ってみよう
7月に入りました。UAからGA4への切替えが済んで、いざ使いこなそうという方むけに、1つ便利な機能【セグメントの重複】についてご紹介していきます。
セグメントの重複とは
GA4の探索レポートですが、探索方法のテンプレートがあらかじめ用意されています(この記事を書いている時点では7種類ほど用意されています)。ファネルデータ探索や経路データ探索などはUA時代にも使っていた方も多いかもしれません。
この中に【セグメントの重複】というテンプレートが存在します。GA4の説明では『ユーザーのセグメントの重なりから、ユーザーの行動についてどのようなことがわかりますか?』と書かれています。
少し興味をもって、選んでみるとデフォルトで用意されている[モバイル トラフィック][年齢 25~54歳][タブレット トラフィック]の各セグメントの重なりが表示されます。この表示を見ただけでは、ターゲットの話かな?と思われてしまいそうですが、早々に見切りをつけてしまうにはややもったいない機能かもしれません。
セグメントの切り方を工夫することで、自社サイトに訪れたユーザーが、想定したカスタマージャーニーやマーケティングファネルの流れに沿って閲覧しているのかの確認にも使えそうです。つまり、セグメントの重複でマーケティングファネルを輪切りにしてみることが出来ると考えてみてください。使えないと思っていた【セグメントの重複】の探索レポートを使って新しい発見があるかもしれません。
では、具体的にどのようにセグメントを分析していくべきか?活用例を見ていきましょう。
セグメントの重複の活用例① サイトカテゴリー間の重複を確認する
セグメントの重複の活用事例として、弊社マーケの強化書のデータを元に考えていくことにしましょう。特に注力しているコンテンツ群で構成を整理するとざっくりとこんな感じになります。
各ページやディレクトリごとのアクセスボリュームや、サイト全体のCV数などは既に把握しています。
【セグメントの重複】機能を使うことで、それぞれのカテゴリーがどれくらい相互的に見られているか、CVしたユーザーはどれくらい網羅的に見てくれているのか/見てくれていないのかが分かりそうです。セグメントに指定しベン図で確認が出来るのは3つのセグメントまでとなりますが、3つの組み合わせをいろいろ変えることにより、見えてくることがありそうです。
例えば、[TOPページ][ノンデザイナー][マーケティング心理学]の3つを並べてみます(下図)。マーケの強化書はオウンドメディアの側面が大きいため、TOPページよりもノンデザイナーシリーズやマーケティング心理学シリーズの円が大きくなっていることが分かります。TOPページを含めた重複もそれなりにありそうだということが分かります。他の連載シリーズでも同じようなベン図を作成してみましたが一番きれいに重複が出ていました。
ノンデザイナーシリーズと心理学シリーズは近いテーマかもしれないので、マーケティング心理学を読みに来た読者にデザイン視点の話を。ノンデザイナーの記事を読みに来た読者には少しアカデミックなマーケティング心理学視点の話へ誘導することができるかもしれません。
また、TOPページでの訴求の強弱をつけるヒントには使えそうですね。今回は省略していますが、スマホ経由/PC経由のアクセスやダウンロード資料をDLしたユーザーのように細かい条件を付けて絞り込んでいくことで仮説がいろいろ浮かびそうです。
次に、[企業情報][採用情報]を並べてみます。就職や転職の検討で自社サイトへアクセスした方は、ちゃんと会社の情報に触れてくれているかを確認することができました。ここも就職の説明会に申し込んだ方とそうでない方、就職媒体経由で自社サイトに訪れた方と検索で訪れた方のように条件を増やすと面白そうです。
マーケの強化書を例に説明したため、あまり面白くなかったかもしれませんが、B2B向けサービスを提供している会社では、例えば「他社との機能比較」「導入事例」「値段」「導入後のサポート」「サービスの特長」といったページを用意されているでしょうから、そのページごとにセグメントの重複を見ることで、狙った通りの行動をとってくれているのか、改善すべきポイントはどのページかといった課題を探すのに使えそうです。
【セグメントの重複】機能がなんとなく施策の検討をする際に使えそうな感覚はつかんでもらえたでしょうか?
これまでの説明はページ単位を取り上げましたが、実際には、GA4で設定されている区分や条件ごとにセグメントを作成できます。
セグメントの重複の活用例② サービスニューの重複を確認する
次にセグメントの重複の活用事例として、サービスメニューを例に考えていきましょう。サービスメニューのページにいくつかのサービスが並んでいると仮定します。
複数サービスの場合でもセグメントは3つまでしか同時に並べることができないのは変わりません。
例えば、[サービスA][サービスB][サービスC]と置いた際に、3つのサービス間でどれだけ比較されているかが確認できます。さらに、値に[キーイベント]を値として指定することにより、他サービスとの重複がコンバージョンへどの程度の影響があるかも確認できます。
具体的にサービスメニューのセグメントの重複のグラフを見てみましょう。
こちらは極端な例にはなりますが、[サービスB]の中に[サービスC]が入っています。また[サービスA]は[サービスB、C]ともに重複しています。
別々のサービスの場合であれば、サービスメニューから各サービスへ遷移していきセグメントは重複がない、重複が小さいほうが望ましいはずです。また、青色の[サービスC]が緑色の[サービスB]と完全に重なっていることから、サービスの違いを訴求出来ていない、もしくは、[サービスC]が[サービスB]の付属的な位置づけとして見られている可能性も出てきます。
各サービスをそれぞれセグメントに設定する以外にも、コンバージョン上位2つのサービスとその他のサービスを比較したり、似ているサービスや顧客層が重なるサービスなど、あらかじめ自社内にある仮説を検証することもできるでしょう。
サービス内容もサイト導線も独立しお互いに影響を与えていないのであれば、セグメントの円は重なることはないでしょう。しかしながら、最終的なコンバージョンに至るまでのサービス選択で顧客が悩んだり、それぞれのサービス内容を比較しないと判断できないような情報提供であったり、複雑なサービスを提供しているのであれば、セグメントの重複で注意深く分析する必要がありそうですね。
【セグメントの重複】でも作成できるセグメントは、シーケンス(連続した順序を指定する)の設定や条件を除くといった設定や、重複した部分をクリックして新たにセグメントにすることも可能ですので、深掘りしていけます。
セグメントの重複の制限と注意点
探索レポートの【セグメントの重複】は選べるセグメントが3つまでと言うのは既にお伝えした通りですが、指標となる値からアクティブユーザー値はデフォルトとなっているため、外せません。また図示されているベン図もアクティブユーザー値のみを図にしたものになっています。
重複を確認しているので図だけを見て判断していると思わぬ落とし穴もあるようです。使ってみての私の気付きにはなりますですが
・期間比較した際、重複具合は確認できるが、円サイズは比較されていない。
・作成されているベン図が必ずしも正しい形ではない場合もある。
と言ったこともあるようです。
図を確認した後に、必ず下の数表で数値も確認していきましょう。
また探索レポートの制限として、データ探索ごとに作成できるセグメントは最大 10 個までとなっているため、選択項目からセグメントの作成を繰り返しているとすぐにセグメントの最大値10個になってしまうでしょう。
【セグメントの重複】を使いこなすためには、どのようなセグメントを切るべきかがポイントです。いろいろなセグメントを入れて比較するなかに新しい発見もあるかもしれません。GA4からの新しい機能となる【セグメントの重複】をぜひ使ってみてくださいね。
個人的にはExcelのグラフで描くことができず図形で作成しなければならないベン図を、セグメントを設定したら描いてくれるので、その分かりやすいビジュアライズ機能も高評価しています。