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非デザイナー必読!デザインの基本を知ろう #02 デザインの依頼方法

非デザイナーが「ちょっとしたクリエイティブ」を制作するにあたっての適切な取り組み方や、制作および依頼にあたってつかんでおきたいポイントを解説するシリーズの2回目。今回は、デザイナーやオペレーターに対して、非デザイナーが適切に依頼するためのコツについて、前回同様『思わずクリックしたくなる バナーデザインのきほん』(インプレス刊)の著者、カトウヒカルさんにインタビューを行いました。

目次
    カトウヒカル氏
    カトウヒカルさん「kanvas」として活動中、福岡県在住のWebデザイナー。
    著作に『思わずクリックしたくなるバナーデザインのきほん』(インプレス刊)
    田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
    「マーケの強化書」編集長

作り手によって、依頼の伝え方を変えよう

田代

田代

前回は総論として、社内で「ちょっとしたクリエイティブ」を用意する場合、非デザイナーの担当者が適切に対応するためのコツをうかがいました。デザインの基本を知ることで、デザインのノウハウがない人でもどう動くと良いかについて少しでも理解が深まると良いのですが。

前回記事:非デザイナー必読!デザインの基本を知ろう #01 やりがちなミスと適切な手順

田代

田代

クリエイティブを用意しなければならなくなった際に、自分で手を動かさないといけない場合もあれば、社内・社外を問わずデザイナーやオペレーターに依頼する場合があります。前回の記事では、前者を意識してお話いただいたので、今回は後者について、実務の場面を想定しながらうかがいたいと思います。

カトウヒカル氏

カトウ

そうでしたね。前回は、作る側に参考画像を見せることが必ずしもいいことではないという話をしました。もう少し細かく言うと、依頼する相手(作り手)の経験に応じて、参考画像の扱い方や依頼時の説明内容を変えると良いでしょう。

田代

田代

なるほど。実際に自分でもそう言ったシチュエーションによく遭遇します。比較的この界隈のお仕事の歴が長くなってはいるのですが、そのあたりのさじ加減についてはいまだに結構悩みます。手を動かしてくれる相手(デザイナーやオペレーター)に対して、どこまでの情報を伝えると良いかについてカトウさんはどうお考えでしょう?

カトウヒカル氏

カトウ

ここでは便宜上、デザイナーかオペレーターか、という分け方で話を進めましょう。とはいえふんわりした言葉のままでもいけませんので、オペレーターについては、これまであまり経験が多くないデザイナーさんも含めて良いと思います。

両者について、『どちらも手を動かして作るんでしょ』と、同じように依頼すると失敗します。断定は良くないですね。失敗する確率が高まりますとしましょうか(笑)。お願いする相手の得意なことや強みにあわせて、情報の伝え方や提示方法を変えるようにしたいです。

オペレーターに依頼する場合

カトウヒカル氏

カトウ

最初に、オペレーターへの依頼について考えましょう。オペレーターの場合、ツールの操作には長けていますが、ゼロからのデザインが得意というわけではない方が往々にして多いです。こういう場合は、依頼する側がある程度のクリエイティブの方向性を決めておいて、具体例を提示できるとスムーズです。

田代

田代

オペレーターや新人デザイナーを相手にする場合は、参考画像も方向性の提示で使うなど、まったく見せないというよりかは、参考画像の見せ方含めて配慮してあげるべき、ということでしょうか?

カトウヒカル氏

カトウ

はい。前回の話で「最初に参考画像を見せない方がいい」という指摘と矛盾しますが、相手は経験を重ねてきたデザイナーではありません。まったく何も示さないと、どう構成して良いのかがわからないと思います。

そこで私がお勧めするやり方は、複数のイメージを提示することです。例えば、Pinterest(ピンタレスト)のような写真・画像共有サービスを使って、複数のイメージをピン留めしておき、オペレーターと共有します。前回話した通り、参考画像の印象は強烈ですので、1枚だけ提示するのはNGです。1枚にしてしまうとその画像の持つイメージで固定化されてしまう恐れがあるからです

田代

田代


なるほど。複数のイメージを提示して、方向性をつかんでもらうわけですね。

カトウヒカル氏

カトウ

イメージの固定化を避けながら、目指したい方向性を共有しましょう。例えば、Aのイメージからモノトーンを参考にしてほしい。Bのイメージなら背景の幾何学模様を、Cからは人物の切り抜き方を参考にしてほしい、といった形で参考にしてほしい要素を言語化してあげると良いでしょう。

オペレーターへの依頼のコツ
1 複数の参考画像を探して、イメージボードを作成する
2 イメージボードを元に、ディスカッションする

オペレーターや経験が浅い新人デザイナーに対して、デザインを依頼するコツです

カトウヒカル氏

カトウ

あとは、複数のイメージを参照しながらオペレーターとディスカッションできるとなお良いですね。少しでも意見交換の時間を設けると、作り手が依頼側のイメージをズレずに理解しやすくなります。もっともこれはオペレーターさんに限った話ではありません。初めてのクライアント、初めての内容、初めての仕事など、お互いに何かを作っていった経験がすくなければ、イメージの共有を疎かにしてしまうのは避けたいところです。

オペレーターへの依頼時は、複数のイメージを参照しながら意見交換できると、
双方のイメージのズレが最小化されるでしょう

デザイナーに依頼する場合

カトウヒカル氏

カトウ

次にデザイナーに対してです。先に申し上げたような、オペレーターさんへの依頼と同じようなレベルを経験豊富なデザイナーにしてしまうと、イメージに関する情報が多過ぎるので避けた方が良いでしょう。

田代

田代

ここも加減が難しいですね。伝えるべきことは伝えたい。でも、伝え過ぎてデザイナーの自由度を狭めたり、モチベーションが低くなるのも避けたいですし……。

カトウヒカル氏

カトウ

デザイナーに対しては、自社のセールスパーソンになってもらえるような情報提供をおすすめします。依頼を通じて、デザイナーが自社サービスや商品のファンになってもらうことが大事です。

例えば、対象のサービスや商品について、
 「サービスや商品の魅力は何か?」
 「どこが競合他社か?」
 「他社とはどのような違いがあるのか?」
 「商品の誕生秘話は?」
 「サービスに寄せられているお客様の声は?」
 「今キャンペーンを実施する背景や狙いは?」
etc.

上のような、直接的なデザインの話ではなく、そのサービスや商品に対するさまざまな要素(周辺要素)を含めてデザイナーに伝えてください。自社サービスや商品のことをより知ってもらい、できれば愛してもらうくらいに想いを伝え、理解を促すのです。やり取りを通じて気持ちがどんどん醸成してきたデザイナーなら、そうした気持ちを乗せた最善のデザインを組み上げて、クリエイティブを仕上げていくはずです。

自社側の想いとともに、サービスや商品についてデザイナーに深く知ってもらうことを大切にしましょう
田代

田代


例えば、実際に世の中に流通していく場面や、利用するシーンについても伝えることができれば、「こうした場面で使われるものを作るのか」とモチベーションを高めてくれるかもしれませんね。

カトウヒカル氏

カトウ

おっしゃる通りです。私もそうですが、デザイナーからすると嬉しくないわけがないので(笑)。多くのデザイナーは、『依頼された100に対して、そのままの100ではなく120に上乗せしてお返ししたい』と思うものです。そういう伸び代だったり、デザイナーに潜在している能力を引き出すアプローチができると良いですよね。

デザイナーへの依頼のコツ
1 商品やサービスの魅力を伝える
2 競合他社の状況、利用者の声なども伝える
3 自社の熱い思いを伝え、デザイナーにファンになってもらう

経験を重ねたデザイナーに対して、デザインを依頼するコツをまとめました

相手に応じたコミュニケーションを!

田代

田代

ここまでの話を整理すると、デザインを依頼する場合に、相手によって伝え方を工夫すること。作り手にあわせた適切なコミュニケーションを積み重ねることが、最終的な仕上がりの品質にとても大きく関わることがわかりました。

カトウヒカル氏

カトウ

案件によって、時間を取れないケースはあると思います。とはいえ、自社側で作り手に依頼する人や、クライアントとデザイナーやオペレーターの間に入って調整する立場の人は、可能な限り丁寧に時間を取り、双方の立場を踏まえたコミュニケーションを取ることがとても大切なのです。

田代

田代


このたびもお付き合いいただき、ありがとうございます!

次回は・・・

2回にわたってうかがったデザインの基本を踏まえて、実際にカトウヒカルさんにレビューをしてもらいます。過去に「マーケの強化書」編集部が作ってきたクリエイティブ(サムネイル画像)を、プロフェッショナルがレビューした上で修正すると、どれほど的確に生まれ変わるのでしょうか? ぜひ修正前から修正後の変化を見比べてください!

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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