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明日から使える! フレームワークを用いた仮説の導き方

ビジネスを進める上で、「仮説」の重要性について焦点を当てた記事を2回公開しました。2回を通じた議論は、「実務で有効に機能する仮説」を「どのように考えて」立てていけばいいのか、という話へと移っていきました。今回も引き続き、マーケの強化書を運営するジェネシスコミュニケーションの代表取締役を務める杉田と編集長の田代が仮説をテーマに討議。その内容に基づき、「実務で実践できるための具体的な仮説の立て方」についてまとめています。

目次
    杉田
    杉田 ユウイチ株式会社ジェネシスコミュニケーション 代表取締役
    田代
    田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
    「マーケの強化書」編集長

仮説の「有効性」を意識しよう

ビジネスを円滑に進め、成果を引き出す手段の1つとして「仮説」は重要な役割を担います。実務を意識するほど、実際に仮説を活用できること(=まずはやってみて、成果が出るのかどうかを確かめてみること)が大事になります。仮説とは、行動と結びついて初めて活かせるものです。例えば、仮説に基づく結果が芳しくなく、仮説に基づく行動が失敗となっても、動いたからこそ失敗という結果を引き出せたと言えます。仮説を巡る一連の行動を「仮説力」と呼ぶとすれば、仮説を立てることに止まらず、行動するところまでを含めて問われている力こそが仮説力だと言えます。

 実際に行動まで進めるには、仮説の「有効性」を意識することが大事

有効な仮説を立てるには、自らが携わる企画やプロジェクトの中で、自分が「どういう立場にいるのか?」「どの立場にいて、どういう箇所の仮説を立てようとしているのか?」を整理することが重要です。この整理を通じて、これから立てようとしている仮説のサイズ感が見えてくるはずです。つまり、サイズに見合った(=自分の立場で取り組めるアクションにつながる)仮説が見えやすくなるでしょう。

「立ててみた仮説が、行動に紐づかない」という人は、仮説のサイズ感が実務と結びついていないからではないか(自分の置かれた立場で、実践できない内容になっていないか)、を疑ってみてください。

実務で活きる仮説を立てる方法

実務を意識した仮説への向き合い方について整理を行いました。次に、仮説を立てるための具体的な方法を考えていきましょう。実務で有効に使える(実際に行動に移せる)仮説を立てようとした時、考え方のベースとなるものを知っていると考えやすくなります。考え方のベースとなるものを使いこなせると、考えを掘り下げやすくなり、仮説の質もさらに高めていけるはずです。

例えば、自分が精通する何かしらのフレームワークがあるなら(3C分析、マーケティングファネルなど)、それらを活用します。フレームワークをベースに進めていく利点は、フレームワークを通じて考え方の軸や視点を定めながら考察できることです。仮説を考える場合、考える人が1人だとは限りませんし、出てきた仮説アイデアが1案でなく複数案かもしれません。

仮説アイデアの起案者が複数人にて、数多くの提案が出てくるほど、各起案者が何を根拠にそのアイデアを考え出したのかを、他のメンバーが1つひとつ確認する必要があります。なぜなら、この確認ができないとちゃんとした吟味ができないか、(吟味できる案はあるかもしれないけれど)吟味できない案も出てきてしまうからです。もし「このフレームワークを使った」となれば、アイデアの成り立ちや根拠を確認した吟味がしやすくなります。つまり、フレームワークがあると、フレームワークを通じて考え方の軸や視点を定めながら考えられるので、ある状況に対してプロジェクトに関わる人たち全員が率直に考えやすくなります。

フレームワークは、仮説を考える側のきっかけを生むだけでなく、仮説を受け止める側にも共有認識を持ちやすくするので、スピード感を伴った実行が可能になります。そうした点からフレームワークの活用は大事であり、「どのフレームワークを活用するか」も同様の観点から問われてきます。

「マーケの強化書」を運営するジェネシスコミュニケーション(以下ジェネシス)の場合、「顧客の価値」を基点に行動デザインをベースにした当社オリジナルのフレームワーク「3i」を活用しています。3iとは「インサイト(insight)」「イマジネーション(imagination)」「インパクト(impact)」という3つの「i」に基づくフレームワークのことで、3iを通じて物事の状況を整理していくものです。

※「3i」については

3iに基づき置かれた状況を整理して、現状把握につなげ、今後の課題をあぶり出しましょう

少し話がそれましたが、置かれた状況を整理して、現時点で「自らはどういう立場で全体と関わっているか」から始まり、その中で自らが関わる範囲において「何が足りないか」「どこが問題点か」までを導き出します。それらの内容が、実務を念頭に置いた仮説作りの源になるはずです。

マーケターとはホームラン打者にあらず?!

仮に、ビジネスに関わる人が「100の仮説を立ててください」と言われれば、どの人も100案を上げられるとは思います。ただし、問題はここから。「100案の中から5案、試していいですよ」となった時、登場人物(自社とクライアントの担当者など)を納得させられる5案をどのように選び実行していきましょうか? 

実際の現場では、100案のうち2案が特大ホームランになりました、は起こりえます。でも、100案のうち100案すべてが特大ホームランでした、はありえません。何とか、100案のうち5案くらいを試せる時間やリソースが確保できそうだとなるなら、登場人物に「こういう考えに基づいて、このような根拠で5案を選び、実行したいです」という考え方を示しましょう。その上で相手を納得させて、実行に移すのです。

例えると、良いマーケターはシングルヒットを量産するような存在と言えるかもしれません。ホームランはクリエイティブが打つものであり、マーケターは膨大にある細かな箇所を修正していく仕事を担っていると言えるでしょう。。

実際にコツコツ進めていくこと、そして進めていくことの精度を高めていくことが、マーケターに求められる大事な仕事のあり方ですし、そのために仮説力が問われているのです。

レスポンスを引き出すための仮説作り

実際にフレームワークを使う際に重要なことは、仮説を構成する要素を徹底的に整理することと言えます。状況に対するさまざまな構成要素を分解し、バラバラになった要素を整理するのです。要素分解と要素整理の精度が、そのまま仮説の質を左右します。ユーザーのみなさんは、ベースとなるフレームワークを自らの手の内で自在に操れるように使いこなせると、より良いものが出てきやすくなるでしょう。

こうした仮説のプロセスを通じて、マーケターはレスポンスを導き出すわけです。ジェネシスで言えば3iを用いながら、「お客様がどう思っているか」を考え、「お客様にどのような刺激を与えると、レスポンスにつながっていくか。レスポンスを生み出すことができるか」を考え、企画の中身を深めていきます。最終的には、レスポンスを引き出す構造を作り出します

避けてほしいのは、仮説を考えただけで、実行に移さないことであり、実行しても効果検証を行わないことです。実行なき仮説、効果検証なき実行は、もはや仮説の体をなしていません。裏返せば、検証も含めて進めていくためのベースとなるものが、フレームワークであり3iと言えます。

ぜひみなさんには、フレームワーク(もしくは3i)を通じて、現状整理や検証可能な仮説作りに取り組み、実務の実行に結びつけてほしいです。

次回は・・・

例題に基づいて、実際にフレームワークを用いながら、実務で必要とされる仮説を立ててみましょう。ここでは、ジェネシスコミュニケーションが開発した「3i」をベースに進めます。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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