施行から1年?!2024年になってからインボイス登録をした人に話を聞いてみた!#1
2023年10月から施行された適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)。編集部と付き合いのあるフリーランスの方が登録したと聞いたので、なぜ今になって登録されたのか?マーケの強化書編集部が話を伺ってみました。
インボイス発行事業者になるべきか悩んでいる免税事業者の方や、インボイス制度がどのような経過措置を経るのか知りたいと思っている方にも、一読していただきたい内容となっています。
- インタビュアー(編集部)マーケの強化書編集部員 請求書の対応等も行う
- インタビュイー(Mさん)マーケの強化書編集部の仕事を手伝ってくれているフリーランスの個人事業主。
今までは免税事業者でインボイス登録を行い今年の夏から課税事業者になった
登録事業者になるか決めた2つの視点
編集部:インボイス発行事業者として登録されてT番号が発行されたと言うご連絡をいただきました。ご連絡ありがとうございます。
Mさん:いえいえ、登録が遅くなり申し訳ないです。
編集部:インボイス登録を行う=適格請求書発行事業者になるか、ならないかは任意ですので、大丈夫ですよ。個人的には、経理に回す前の請求書チェックの項目が1つ違う位の認識で、大きな差はないのかも…??
それよりなぜ、登録されたのですか?去年の時点で今後の意向をお伺いした時には『まだ検討中』と言われていたように記憶します。差し支えなければその辺りを教えていただけますか?面白いテーマなので記事にできるかも(笑)もし自分が免税事業者なら、免税されたままの方が良いかも…と考えてしまうかもしれません。
Mさん:「納税は国民の義務ですから!」…と言うのは建前ですね。本音では、2023年10月の施行直前まで、インボイス制度が廃案になるのを心のどこかで期待していました。正直に言うと、制度が良く分からず適格請求書発行事業者になるべきか、ならざるべきか悩んでいました。
編集部:施行される数カ月前に国会前で「インボイス増税反対」のデモがあったとニュースがありましたよね。
当時悩まれていた状況から、現在は発行事業者になられているので、2つの視点から話を聞きたいです。
・『良く分からなかった制度』をどう理解されたのか?
・『悩んでいた』けれども、どうやって自分なりの答えを出せたのか?
についてお話しできる範囲で教えてもらえますか?
Mさん:あぁ、もしかしたらその2つのことは分けて説明するのが、難しいかもしれません。もし誰かのお役に立つのなら私の個人的な一例ですが、説明出来たらと思います。
インボイス制度を理解するために必要だったもの
Mさん:まず、下記画像を見てほしいのですが、国税庁のサイトなのですが、正直言ってかなり分かりにくいです!
編集部:令和の時代なのに、ダサ、オ、オリジナリティがあふれるサイトですね(笑)
でも税務相談のチャットボットもあるみたいですね。テクノロジーは使われているようですね。このサイトで疑問は解決されなかったのですか?
Mさん:はい。チャットボットも使ってみましたが、私の不明点は解消されませんでした。このサイトは便利なリンク集だと割り切って使う…のが一番良いのかもと個人的には思います。
ネット上には会計ソフト各社が説明しているサイトページもあったりするので、国税局の特集ページより分かりやすく書いてあるものは多い気がします。いろいろなページを見て、書いてあることを理解しようと努めました。
編集部:情報収集としては、結果的にどのような方法がオススメですか?
Mさん:調べてみての個人的な意見にはなりますが
(1)国税庁発行の制度の詳細用パンフレットに目を通す
制度の詳細用パンフレット:適格請求書等保存方式の概要─インボイス制度の理解のために─
(2)冊子を読んで不明点があれば国税庁のサイトで調べる
(3)管轄の税務署へ相談に行く
(4)手続きの参考となる書籍を読む
編集部:なんだかテスト勉強や資格試験みたいですね。
(1)範囲を確認して(2)分からないことを調べて(3)それでも分からないことは人に聞くって感じでしょうか?
Mさん:少し補足しながら説明しますと
(1)冊子に目を通すことによって全体の大まかな制度の流れや制度のつくりを理解した後、(2)自分の場合はどうなるのか?この単語の意味するところは自分の理解と合っているのかを国税庁のサイトで調べました。
そして(3)ですが、冊子やサイトで理解が進めば必要ないかもしれませんが、個別の事例、特に、自分の場合はどうなるのか?が知りたいなら相談に行くことをオススメします。
編集部:税務署に相談ってなんだか怖いイメージがありますが…?
Mさん:あ、それは誤解ですね。実はぜんぜん怖くないです。電子申告をするようになって行く回数は減りましたが、税務署は毎年確定申告に行っていましたので。なにより相談が無料ですので予約は必要ですが専門家に相談にのってもらえるという点では個人事業主にとってとても心強いです。
編集部:なるほど。税務署は怖くないと。でも(4)がちょっとピンとこないのですが・・・
Mさん:これは、登録事業者にならないと判断した場合は不要ですが、インボイス発行事業者の登録を電子申告する時に手元にパソコン以外の形で情報があると、便利なんです。これは人によって好き嫌いがあるので、自分の場合かもしれません。
編集部:手続き作業をしながら、ブラウザのタブを切替えて情報検索をしなくて良いってことでしょうか?電子申告とは状況が違いますが、GA4の書籍を見ながらパソコン画面のアナリティクスの設定をする。みたいな感じですね。
Mさん:はい、そうです。パソコンに情報を集約するのも便利ですが、私が古い人間なのかもしれませんが、手元に情報がある安心感や、操作方法が事前に分かると手続きの理解度が違います。オススメの本は『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』。
編集部:マンガですか?
Mさん:マンガで理解が進むと言うより、図解されている点を評価しています。いくつかインボイス関連の本が出ているので、【インボイス登録のe-Taxソフトの使い方】が図説されているものが良いですね。
『マンガと図解でよくわかる
インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』
酒井 富士子著/西原 憲一監修
ISBN:9784295017417
インプレス出版(2023/7)
A5判・192ページ
インボイス制度を理解し手続きするためには?
編集部:なるほど、話を伺っていてインボイス制度への理解って何段かあるように感じました。
(イ)制度全体への理解
(ロ)自分の事業が制度に対してどう当てはまるのかの理解
(ハ)制度に申し込む際の準備や手続きの理解
Mさん:そうですね。私たちは税務官でも法律の専門家でもないので、(イ)インボイス制度全体への精緻な理解までは不要かもしれませんが、(ロ)自分の事業がどう当てはまるのか?(ハ)どんな準備が必要で、どうやって手続きをするのか?の2点は重要です。
編集部:では、インボイス制度なんとなく理解したということで、次の登録事業者になるか悩んでいたポイントを教えてください。
Mさん:制度の理解は、していませんよね?
編集部:はい、去年の10月からちょっと経理処理が変わった程度の理解です!
Mさん:・・・。次回も頑張って私の登録までの悩みを説明していきますね。
編集部:よろしくお願いします。