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「お客様を正しく捉えて生き残れ!」ロイヤリティに応じたマーケティングアプローチ

マーケティングの仕事をしていると、企画書や打ち合わせでお客様の「ニーズ」や「インサイト」という言葉を使ったり、遭遇することが多くあります。一昔前であれば、ニーズやインサイトを考慮せず、良いモノを創って、新規顧客をどんどん開拓していけば、右肩上がりの売上を期待することができていました。しかし、モノやサービスが溢れて世の中が充足され、嗜好・価値観・ニーズ・ライフスタイルなどお客様の多様化、情報接触・選別の仕方の多様化が生じている現代においては、企業による画一的・一方的なコミュニケーションで売上を創ることが格段に難しくなっており、「どうすれば売上を上げられるのか?」が企業担当者の課題の一つになっています。

以前の執筆記事の「5分でわかる!いま必要とされているマーケティングとは?」で定義したように、「商品・サービスが売れる・選ばれる(お客様が買いたくなる)仕組みづくり」がマーケティングであり、商品やサービスを選んで買うのは「お客様」であることから、お客様に選ばれる仕組みづくりには、”なぜ” 買うのか・買わないのか、”どうすれば” 買って(買い続けて)もらえるのか、お客様の内面(心情)に目を向けてマーケティングを熟考・実践するのは、当然といえば当然のアプローチですね。

冒頭に「ニーズ」と「インサイト」の両方を記したのは、お客様の欲求が顕在化(ニーズ化)していて欲しいものが何かが明確な場合だけでなく、お客様自身が気がついていない隠れた潜在的な欲求(インサイト)を刺激・掘り起こして新しい需要を創ることも、売上を高めるためのマーケティングに求められる重要な役割であるためです。

「インサイト」×「行動」ベースのマーケティング支援ツール/サービス

以前からお客様の心情と行動データから、お客様ロイヤリティを指標化(マッピング)してマーケティング効率・効果を高めようとするセグメンテーションモデルは多く紹介されています。しかしながら、人のインサイトを正しく捕捉することの難しさから、大きな成功を収めてマーケティングにおいて標準化されているものはなく、現在も多くの企業がこの課題へ果敢にアプローチしている状況にあります。

直近で気になったリリースを2件紹介します。

野村総合研究所は10月26日に、生活者プロファイリングダッシュボードの「Insight Palette」をリリースしました。

このツールは、シングルソースデータ(同じ人に複数のメディア接触や広告出稿の事前・事後、購買行動などを聴取・収集したデータ)を基に、生活者の性別・年代・消費価値観・消費行動などのターゲットプロフィールと、接触頻度の高いメディアを把握できるようになっており、ターゲットリーチと効果を予測しながらプロモーションプランを練ることができるなど、マーケティング計画や施策の最適化に活用できるものであると説明しています。

電通デジタルは、顧客の感情・行動データを融合させる独自のCRM(顧客関係管理)戦略支援サービスを10月18日にリリースしています。

このサービスでは、企業のお客様にNPS(Net Promoter Score)調査を実施して、企業やブランドに対する愛着・信頼の度合いなどを数値化すると同時に、独自手法で回答データをプロセスに分解して、どのプロセス・どのような要素がNPSに影響を与えているかを抽出・評価した上で、企業が抱える課題と顧客ロイヤリティを高めるための打ち手(施策)の検討・実践に繋げるマーケティングサービスにパッケージ化しています。

いずれのサービスも私自身利用したことがないため、サービスの有用性について詳しい説明はできませんが、ネームバリューのある企業が提供するサービスであることや、サービス概要で説明されている内容を見る限り、提供サービスのレベルの高さをうかがい知ることができました。

ロイヤリティに基づく顧客セグメンテーション

新たな見込客に商品を売るためには、既存顧客に売るよりも5倍コストが掛かるという「1:5の法則」や、顧客離れを5%改善すれば、その利益率は25%改善されるという「5:25の法則」(Bain & Co)などの顧客ロイヤリティ重視の考え方は、新規顧客の開拓が難しい飽和状態の市場における企業の生き残りの条件となっています。
ロイヤリティの把握には、お客様の行動だけでなく、心理・感情を捉える視点は欠かせなくなりますが、お客様の心理・感情をどう捕捉していくか?については、熟考する必要があるのではないかと考えます。

マーケティング戦略を策定するためにお客様の内面を探るのであれば、「アンケートでの情報収集」は有効策なのかもしれません。ただ、決められた設問への回答で、どれだけお客様の心理・感情を表現することができるか?聴取時点のお客様の内面は把握できたとしても、その後の心理・感情の揺れを捉えることができない点が懸念されます。
また、ロイヤリティに応じた施策を打つためには、お客様をロイヤリティに応じてセグメンテーション(モデル化)する必要がありますが、最初にプロットされたセグメントでお客様は定着するのではなく、「常に動く」ことを念頭に置かないとなりません。その動きを捉えるためには、お客様の行動を質的情報に置き換えてタイムリーに捉えるアプローチが必要となるのではないかと考えます。

ロイヤリティセグメントにおけるお客様の動き
顧客ロイヤリティ
心情×関与×行動

英語で表すと「行動」はBehaviors、「感情」は態度という意味もあるAttitudesとすることができるため、このAttitudesをファクト情報から置き換えて評価・判定することはできないか?という点について考えてみたいと思います。感情をさらにブレイクダウンするならば、企業やブランドを好きか嫌いかの心情的な側面と、企業やブランドへの接する姿勢や状態などの関与度合いと解釈することができるという前提で考えてみると、ロイヤリティはお客様の「心情 × 関与 × 行動」で軸取りしたセグメンテーションモデルで整理することができるのではないでしょうか。

例えば「心情」は、企業やブランドの好き嫌いであるため、サイトやメールの閲覧・反応・購買などの行動有無やそれら行動の頻度、SNSでの情報拡散行動などで評価し、「関与」はサイトなどの情報接触頻度、アクティブな接触姿勢、どのような情報に接触しているか(内容)で評価。また、「行動」は実際の購買金額や購買頻度でお客様を評価して、各ロイヤリティセグメントにお客様を分類した後、各セグメントの分析から特性を明らかにした上で、軸ごとにロイヤリティセグメントを昇華させるためのドライバーを発見し、それらに基づき施策を立案する。このようなアプローチで有効的なロイヤリティセグメントモデル開発ができないかについて、2019年は具体検討していきたいと思います。

ロイヤリティセグメントモデル化に向けた考え方

執筆者:山本 知拓

株式会社ジェネシスコミュニケーション
執行役員


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ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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