コンバージョンに大きな影響を与えるコンテンツはどれ?重回帰分析でマーケティングを進化させる方法
日々の業務の中で、こんなことを思ったことがあるのではないでしょうか。
『いったいどのデータがコンバージョンにつながる重要なデータなんだろう?』
データを豊富に使える環境があったとしても、コンバージョンに大きな影響をもたらす重要なデータを見つけ出すのはとても難しいのが現状です。マーケティング担当者は、毎日のようにABテストを地道に繰り返したり、限られたデータから顧客行動を推測することで、コンバージョンに影響を与えるであろう重要なデータを探し求めているのではないでしょうか。
しかし、データがなければ上司や経営層を説得することが難しくなる場合も出てきてしまうでしょう。そのため、今多くのマーケティング担当者は、可能な限り顧客をデータで把握し、データで説明できることが求められています。
そこで、今回は「どうすればコンバージョンに大きな影響を与えるデータを見つけることが出来るのか?」について1つの方法をご紹介したいと思います。考え方の1つとして捉えて頂ければ幸いです。難しそうな分析手法が出てきますが、実際にはそんなことはありません。分析もExcelの機能を使えば出来るものですので、ぜひ最後までご覧頂き実践してもらえればと思います。
「重回帰分析」 を使えば、重要な要素を導き出すことが出来る。
いきなり「重回帰分析」と言われても分からない人がほとんどだと思いますので、簡単に説明します。重回帰分析とは、例えば「身長」と「腹囲」と「胸囲」などのいくつかの数値から「体重」という1つの数値を予測する分析手法のことです。分かりやすく言うと重回帰分析は、下記のようなことを分析します。
- 体重の重い人には、身長の高い人もいるし、低い人もいるのであまり関係性がないな。だから影響度の数値は小さくしよう。
- でも、体重の重い人は、みんな「腹囲」の数値が高い傾向があるから、影響度の数値を大きくしよう。
- また、体重の重い人には、「胸囲」の数値が大きい人も小さい人もいるから、「胸囲」も体重への影響度はそんなに高くない。影響度の数値は少し小さくしておこう。
重回帰分析は、「身長」「腹囲」「胸囲」が「体重」に対してどれだけの影響を与えているのかを数値で表します。その影響度は、例えば「身長の体重への影響度は、0.14」「腹囲の体重への影響度は、0.73」「胸囲の体重への影響度は、0.32」などのように表されます。この場合は、「腹囲」が体重への影響度が最も高いということが分かります。何となくでも理解出来ましたでしょうか?
そして、この手法を使うと、例えば下記のようなことが出来るようになります。
「Aコンテンツ」「Bコンテンツ」「Cコンテンツ」という3つのコンテンツのうち、どのコンテンツが最もコンバージョン(お問い合わせ)に影響を与えているのか?
つまり、重回帰分析することで「コンバージョンした人は、「Aコンテンツ」をよく見ていたのか?それとも「Bコンテンツ」をよく見ていたのか?「Cコンテンツ」をよく見ていたのかが分かるということです。
重回帰分析でCVに大きな影響があるコンテンツを見つける方法(MAデータを活用する場合)
重回帰分析は理解できた。でも、「どうすれば重回帰分析が出来るのか?」ということが気になりますよね。分かりやすくするために、今回は当社の「マーケの強化書」を例にします。マーケの強化書には、現在多くのメルマガ購読者がいますが、MA(マーケティングオートメーション)を導入すると、下記の4つのデータを取得することが出来ます。
- メルマガ登録者の「お問い合わせの有無」([有]=1・[無]=0)
- メルマガ登録者の「Aコンテンツ」閲覧数
- メルマガ登録者の「Bコンテンツ」閲覧数
- メルマガ登録者の「Cコンテンツ」閲覧数
これらデータを重回帰分析することで、「お問い合わせ」に最も影響度が高いコンテンツは「A・B・C」のどれか?が分かるわけです。MAでは、メルマガ購読者一人ひとりの「お問い合わせしたことがあるのか?」「どのコンテンツを何回見ているか?」を知ることが出来ます。その機能を利用することで重回帰分析するためのデータをそろえることができるのです。
例えば、下記のようなデータを取得することで重回帰分析が可能になります。
Excelでの重回帰分析の方法は、下記をご覧ください。もちろん、各種統計ソフト(SPSS,SAS,Rなど)でも分析可能です。当社では、無料ソフトの「R」を使っています。
http://www2.kobe-u.ac.jp/~hamori/Jhamori/EXCEL2.pdf
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/food/kobayasi/multipleregression_excel.htm
数値から顧客理解を深める
このように重回帰分析によって、数値で影響度を表すことが出来るようになれば、説得力を持って施策を推進することが出来るようになるはずです。また、重回帰分析をすることで顧客への理解が進むということも大きなメリットだと思います。「なぜ、お問い合わせする人はAコンテンツをよく見ているのか?」という議論を欠かさずに突き詰めていけば、これまでは分からなかった顧客の深層心理が明らかになる可能性も高まりますし、様々な施策にも応用することが出来るようになっていくはずです。
また、今回の分析はGoogle Analyticsでも代替できる部分もあります。しかし、重回帰分析のような分析手法を知っておくことで、データの扱い方の一助になるはずです。テクノロジーの進化のおかげで大量のデータを扱えるようになりました。しかし、分析手法を知らなければデータからは何も生み出せません。この記事が、少しでもデータを扱うマーケティング担当者の役に立てれば大変うれしく思います。