「情報が届きにくい」時代…いい加減なマーケティングは通用しなくなる
ネット検索をすると私の過去の検索履歴や閲覧したコンテンツから私が好みそうな情報が並び、Amazonでは、これまでの購入履歴から私が購入しそうな商品が並びます。
Facebook・Twitter・instagramなどのSNSでは、気の合った仲間同士がつながるので、私と意見が異なる人とつながることはあまりなく、不快な思いをすることは少ない。不快な発言をする人がいれば、その人の発言は表示しないように設定してしまう。
このような便利な世界を実現したのは、パーソナライズのテクノロジーが発達したことと、ユーザーが情報の選別を容易にできるようになったことが大きな要因です。
この状態は、情報があふれかえった現代において、求められることだし、必要なことです。情報を選別できなければ処理しきれず情報に溺れてしまいます。
しかし、これは企業からすれば、消費者へ情報を提供することが難しくなるかもしれない現象とも言えます。消費者が自身の興味関心分野の情報だけに接するようになれば、企業はこれまでよりも情報を届けにくくなるからです。
いい加減なマーケティングは通用しなくなる
私は、この現象を見て、これまで以上に人を動かすことは難しくなったと感じます。これまでなら多少いい加減なマーケティングであってもお客様に情報は届いていたし、商品サービスを購入してくれていましたが、今後はこれまでのようには情報は届かなくなるのではないかと思っています。
よくサイトを閲覧していると「あなたへのおススメ!」という欄がありますが、そこにある商品や記事をクリックしなければ、私はその商品や記事に興味がないと企業は考えるようになります。その「行動しない」という行動により、今後はそれに関連する情報は表示されなくなります。パーソナライズの精度が高まれば高まるほど、お客様に提供される情報は限られてくるわけです。
何に興味を持ってどこでどんな情報収集を行っているのか?どのようにアプローチすれば良いのか?そんなことをこれまで以上に精緻に考えなければならないと思います。お客様が自社と触れる短い時間で(「何とも思わない」ではなく)ポジティブな印象を与えなければ、お客様は私たちが発信する情報を見てもらえなくなったり、遮断してしまう。そして、高い確率で戻ってくることはありません。
既存のお客様の価値が上がり、新規お客様の獲得は難しくなる
そんな中で我々マーケターはどうすれば良いのでしょうか?マーケターが大切にすべきことは、一度興味をもってもらった人を決して離さないことだと思います。今後さらに新規のお客様を捕まえることは難しくなると考えられる中で、自社製品サービスを好きになってくれた人はこれまで以上に貴重な存在になります。そして、その人が離れてしまったらもう一度戻ってくることはないと考えるべきです。いかにファンになってもらえるか?そんな施策がこれまで以上に求められるでしょう。今のお客様の価値が上がっていきます。
また、新規のお客様の獲得においては、これまで以上に情報を届けることが難しくなると思います。興味のないことには検索すらしないし、フィルターをかけているので情報が届きにくくなります。そこに風穴を開けるためには、いい加減なマーケティングでは興味を持ってもらうことは今後さらに難しくなります。やるべきことは、お客様が自社に触れる短い時間でポジティブな印象を持ってもらい、高い確率で購入してもらう施策を実施することしかないでしょう。製品サービスの見せ方、コンテンツ、デザイン、コピー、パーソナライズ、タイミング、データ分析。今後マーケターが求められることが多岐にわたりそして難しくそして重要になります。
人口が減少することで競合他社とのお客様の奪い合いはさらに激しさを増していくでしょう。そして、そこで生き残れるのは、自社を知った見込のお客様を確実に顧客化する能力と、一度囲ったお客様を逃さない施策をしっかりと組んでいる企業なのだと思います。