生産性を高めるポイントは、「相手のことを考え、準備・行動をする」こと
生産性向上が求められる今日この頃、「何をどう見直していいかわからない」というお悩みを抱えていませんか?今回は生産性を高めるための一つの方法として、業務効率化について考えます。
業務にもいろいろあると思いますが、今回は「情報を集めて整理する」際の、ちょっとした準備のコツについてご紹介したいと思います。
「情報を集めて整理する」という業務を進める中で以下のような悩みを持ったことありませんか?
・関係者が必要な情報の提供に非協力的で情報収集できない
・情報の聞き漏らしで二度手間が発生する
・情報を集めたはいいけど集約や集計するのに時間がとられる
これらに時間がかかっていた皆様、これからご紹介する方法をぜひお試しください。
情報収集の効率を上げる~「シンプルな質問」~
例えば、欲しい情報があって回答してもらうために書類や資料を作成したのに「なかなか回答がもらえない」「みんな非協力的で困る」ということありませんか?締切は伝えているのに動いてくれない人は多いものです。
しかし集まらないという結果には、何か原因があるはずです。想定できる原因について考えてみましょう。
- 締切はわかりやすくなっていますか?
- 欲しい情報と提出手段は明確ですか?
- 回答しやすい依頼形式になっていますか?
これらは、ちょっとした工夫で解決することができます。
(1)締切はわかりやすくなっていますか?
まず依頼する際に、締切日は目立つように工夫をしましょう。メールであれば、タイトルにも締切を明記することは情報共有方法として有効な手段です。毎日忙しい中では、目立つ工夫をしないと見逃されてしまいます。
(2)欲しい情報と提出手段は明確ですか?
欲しい情報が何かの基礎データならば、データ項目やファイル形式、画像ならばサイズなどを明記する必要があるでしょう。また欲しい情報が調査資料やアンケートのようなものならば、記入するだけで大丈夫なのか、添付資料が必要なのか?が分かるように明確化しましょう。提出方法も、紙なのかデータなのか、指定のフォルダに入れるのかメールで返信するのかなど、受け取り手が迷わないように依頼することが大切です。
(3)回答しやすい依頼形式になっていますか?
提出しようとしたとき、「読み込みに時間がかかりそう」「書くのが大変そうだな」と感じさせてしまう書類は「後でやろう」と後回しにされてしまいます。短い文章で箇条書きにするなど、簡単に内容を相手が把握することができるように、依頼は極力短い文章で構成して、シンプルにすることを心掛けてお願いしましょう。事前に回答例や前回の回答内容を記入しておくと、回答者の記入作業時間が短縮され、早めの回収ができます。
「欲しい情報があいまい」「大変そう」と思われてしまうのはとてももったいないことです。情報を提供する側からすれば、これらの作業は直接的に何かを生み出すわけではありませんので、そのことを十分に理解しておく必要があります。
このようなことを気を付ければ、少しは回収効率が上がってくるのではないでしょうか。あとは、回収期日直前にリマインドを行うことで提出忘れをさらに減少させることができるでしょう。情報が早く回収できれば何度も督促を行ったり、回収予定の情報が来なくて保留になってしまう時間が節約できて業務効率が上がります。
質問レベルを上げる~聞き洩れをなくす共有テンプレート~
業務の中でこの人に頼めば問題ないのに、この人に頼むと「必要な情報が漏れていて確認からやり直し」が多い!なんてことありませんか?こんなお悩みの改善には、必要情報の網羅性に長けた人のチェック項目を参考に共有テンプレートに整えることをお勧めします。共有テンプレート化することで、情報収集のノウハウは共有され、聞き取りレベルの底上げをするのに有効です。また、一から設問項目を考える時間が必要がなくなりますので、その時間で精度をあげたり、他の業務を行うことも出来ます。
例えば、簡単な例で電話の取次ぎメモの聞き取り項目で考えてみましょう。あなたなら取次ぎメモに書くべき項目は何だと思いますか?「受電日時」「発信者」「受信者」「宛先」「受電内容」こんなものかな?と思いますが、秘書歴の長い人に確認してみると、さらに「折り返しの有無」「発信者の退社予定時刻(何時までなら当日折り返しをするか)」「折り返し電話番号」「いつまでに折り返しが必要か」などがあげられました。
これを、受電を行う全ての人に「取次ぎメモテンプレート」として展開することで、「何を聞くべきか」ということが共有され聞き漏らしを防ぐことができるようになるわけです。
今回は簡単な例として電話メモを挙げましたが、もっと複雑なWEBリニューアルの要件定義のための質問書や、システム開発のためのRFPなども社内でテンプレート化しておくと確認漏れ、考慮漏れなどの防止策になります。
また、こういったテンプレートの活用ポイントとしては、カスタマイズを推奨として共有することです。あらゆる項目がある共有テンプレートを作成すれば、「確認漏れ」防止策になりますが、事案ごとの特有の確認項目はその中に入ってきません。逆に確認項目過多になる場合もありますので、特殊な必要項目の追加や、不要な項目の削除、必須項目の設定等を行い、過不足のチェックとボリュームコントロールは必要であることを周知しましょう。
また共有テンプレートの項目に追加が発生した場合、その項目がイレギュラーなものなのかテンプレートの項目として引き続き必要なものかを見直し、テンプレート自体のバージョンアップを行うことが必要です。このテンプレートを作るこで頭を悩ませずに節約できるはずです。運用していくことで情報取得精度もさらに上がり、生産性もUPすることでしょう。
報告書作成時間をショートカット~依頼時に報告のことまで想定した書式~
情報を集めたはいいけれど、集約や集計が大変で報告までに時間がかかるとお困りのあなた。情報収集準備の際に、報告を見越した準備をしていますか?情報を集めたら、それを「どう集約してどう報告するか」のゴールをしっかり見据えて準備をすることが効率化につながります。
そうしておけば、例えば情報の収集にあたってはExcelに回答を入力してもらいExcelファイルを提出してもらうだけで、あとはわかりやすい報告書になります。報告書で、何をどの順番で報告するか最初に決まっていれば、情報収集用フォーマットから報告書作成までスムーズに作ることができるはずです。
また、収集したデータを集計する際に、気を付けなければいけないポイントは、情報量とPCスペックのバランスです。データ量が多すぎる場合、PCのスペックに応じて作業工程を分割することで、工程は増えるけれどスピードは上がるという嘘のようで、本当のことが起こります。
まとめ
「情報を集めて整理する」という業務を進める中でのお悩みの回答として、今回ご紹介したのは以下の3つです。
- 情報を提供する側の関係者が必要な情報を提供、提出に非協力的でなかなか回収できない
→情報提供者が答えやすい形の依頼を心がける - 情報の聞き漏らしで二度手間が発生したり、必要情報の漏れが発生する
→情報収集項目のテンプレート化、標準化を行う - 情報を集めたはいいけど集約や集計するのに時間がとられる
→情報を集める依頼の前に、報告書作成まで想定した検討する
なかには作業として手作業が増える内容もありますが、個人単位ではなく「関わる人、全体の作業時間」という観点で見た場合、きっと効率化はされているはずです。「生産性を上げるために」ということを考えた場合、関わる人が素早く対応できる状況を作るというところは外せません。それは依頼を投げる側の「答えやすい依頼方法で聞こう」という心づかいしかり、依頼を受けた側の「督促する手間がないように締め切り前に提出しよう」という意識しかり、突き詰めると、「もう一歩相手のことを考えて準備、行動をする」ということなのではないでしょうか。
今回は生産性を高める方法として、業務効率を上げるという切り口で三つの視点をご紹介しました。「もう一歩相手のことを考えて準備、行動をする」「必要な知識、知見を共有する」「ゴールを見据えた準備をする」この3つを意識することで、業務効率化を推進し生産性を高めていきましょう!
おまけ
最後に、私が集約・集計の効率化に役立っているExcelの機能や関数をいくつかご紹介します。こちらもぜひ活用して効率化を図ってください。
【機能】 | |
ハイパーリンク | ファイル名をあらかじめ対象者毎に振り分けておき、集計用ファイルにパスを入れ込んでおけば、指定のフォルダにファイルを入れただけで集計用ファイルに情報を読み込んでくれます。 |
置換 | 文字表記の揺れ(全角半角や大文字小文字など)や余分な情報など一括置換で表記を揃えれば集計も簡単。 |
形式を選択して貼り付け | 情報取得ができたファイルは、関数をテキスト化して保存し直すと軽量化し、動作がスムーズになります。 |
【関数】 | |
CONCATENATE | 複数の文字列を結合して一つの文字列にします。 |
MID | 文字列の中の●番目~〇番目の文字を返します。 |
VLOOKUP (HLOOKUP) | 指定された範囲の 1 列目(一番左端の列)で値を検索し、その指定範囲内の別の列の同じ行にある値を返します。(HLOOKUPは検索データが横方向(行)の場合に使用できる) ※Office 365から、XLOOKUP関数も使えます。 |
IF | 論理式(正しい場合、正しくない場合)の結果に応じて、指定の値を返します。 |
SUMIF | 指定された検索条件に合致するセルの値を集計します。 |