マーケの強化書編集部 オススメ書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』レビュー
「頭がいい人になりたい!」とまでは思わなくとも「できない人とは思われたくない」ビジネスパーソンは多いと思います。今日紹介する本は、ビジネス書として自己スキルを鍛えるために読むのも良いのですが、ビジネスのみならず人間関係を潤滑にしていく自身の指標としても読むことが出来るのでは?と私個人はと思っています。
今日は安達 裕哉著「頭のいい人が話す前に考えていること」を紹介させてください。
安達 裕哉著「頭のいい人が話す前に考えていること」とは
出版社 : ダイヤモンド社 (2023/4/19)
単行本(ソフトカバー) : 338ページ
ISBN-13 : 978-4478116692
単行本ビジネス
2023年ベストセラー1位、2024年上半期ベストセラー1位(日販調べ)
書店のビジネスコーナーにも平積みされており、既に読んだと言う方も多いかもしれません。
この本「頭のいい人が話す前に考えていること」を読み進めるポイント
この本には読み進めるにあたり実用的な仕組みがあります。
(1)“読み返さなくて良い本を目指した” 1回読めば良い作り
(2)目次からも分かる“7つの黄金法則と5つの思考法”
(3)チェックシート付
読書にタイムパフォーマンスを求め、要約サイトで読書を楽しんでいる人もいるようですが、この本に興味を持って買うか、買わないか?読むか、読まないか?を悩んでいる人は、特に上記のポイントも確認してみてください。
ビジネス経験も長く、書籍や文章にも親しんでいる人で、具体的な法則や思考法に興味を持ち、部下にも説明し導いていきたいと思うならば、迷わず手元に書籍の購入をオススメします。
逆にビジネス経験が浅かったり、人と話すのに緊張してしまったりするタイプの方は、少しずつでも良いので読み進めていく気持ちで、黄金法則を1つ1つ確認しながら読んでみましょう。電子書籍では無理ですが、付属のチェックシートがお守り代わりに、話す前のあなたを勇気づけてくれるかもしれません。
「あぁ頭のいい人ね、自分は大丈夫でしょ!」と自信のある方は、チェックシートを穴埋め問題として見てみてください。全てに回答出来て実践出来ているのであれば、不要かもしれませんね。チェックシート→目次確認→本文を読むといった流れで、自分に足りない部分だけを確認するのも有益です。
読みやすく実践的な作りになってはいますが、なかにはビジネス書が苦手、仕事以外の時間に仕事を思い出すような本を読みたくない人はいらっしゃるかもしれません。
How ToやTipsが書いてあるビジネス書って好きじゃないなぁと思っている人は、冒頭5ページから20ページまでのブルーグリーンの地色のページを味わってください。300ページを越える本著の冒頭の数ページは絵本のように悩んでいる人に寄り添うような、イラストと少ない文字による物語への導入があります。私は個人的にこの部分が好きです。
本当に、この本を読んだら頭がいい人になるのか?
『頭がいい人が話す前に考えていることを知る』ことと『実践して、頭がいい人になる』ことは異なります。
この本は、冒頭にも書かれている通り、読み返さなくて良い本を目指して1回読めば良い作りになっています。一読して本当に頭がいい人になりたい!または一読してなんとなく分かったけど、実践出来ない、動けない人も次の観点を頭に入れてから読んでみてください。
あなたにとって、誰からみて頭がいいと思われたいのか?
頭がいいと思われたい相手はだれですか?会社の上司?今度プレゼンをするクライアント?自分の家族?パートナー?より具体的な相手がいないのに、頭がいい人にはなれません。なぜならこの著作でも書かれていますが、“頭がいいと判断するのは自分ではなく他者”なのですから。
この他者が定まらぬまま、全方位的に誰にでも頭がいい人と思ってもらうのは、注意力も散漫し最初は難しいように思います。
この本が人間関係、男女関係に効く理由?!
「この青の服と、白の服、どっちがいいと思う?」
この難題の答えがこの本には書いてあります。デートの買い物や出かける前によくありがちな、この会話に対応する方法が、この本に書いてあるのです。
またそれ以外にも、家族のイベントで一人では決めきれないことを妻が夫に相談するという具体的な状況でのやりとりも記載してあります。
この部分を抜粋して語るとビジネス書ではなく、まるで異性との人間関係に悩む人に向けたHow To本のようにも思えてくるのではないでしょうか?
マーケティングに従事されている方は、もしかして当たり前に考えていることかもしれませんが、
もっと重要なのは、日々の生活の中で、「相手の欲求から考える」つまり、“相手が何を求めているのか?”を常に想像しながら生活すること
このマーケティングの考えと似た考え方を、頭のいい人の思考の深め方として紹介されています。
“頭がいいと判断するのは自分ではなく他者”であるならば、相手のことを考えることも当たり前かもしれませんが、マーケターであっても、自社商品のターゲット層だけでなく、日々の生活の中で、目の前の相手の欲求を常に考え続けるのは簡単ではありません。
他者とのコミュニケーションの中で知性を身につける
ことの重要性を著作では訴えています。
実際に、人間関係や異性関係において飛び道具のような簡単な方法はありませんよね?日々のコミュニケーションをどうすべきか?に思い悩む人こそが、ビジネス書であるこの本を読むことによって、いつもと異なった視点から自分の悩みを捉えなおすことが出来るではないでしょうか?ビジネス書でありながらこの本には、“身近な人にほど丁寧なコミュニケーションを心がけてほしい”という著者の思いも込められているのです。
最後に、この本を読んでからの私の個人的な反省
親しい相手になればなるほど気も緩み相手のことを当初より考えられなくなっているような気がします。夫婦喧嘩や親子の言い争い、それらがもし頻発するようになったら自分の未熟さ、頭の悪さ故か、と改めて反省をしました。
つい先日の我が家の出来事です。
玄関先の娘のランドセルから書道半紙が見えていました。それに気付き私は娘へ感情的に尋ねました。
「その半紙、どこから持ってきたの!?」
靴を履いて出かけようとしている娘は、問いただされても黙って登校していきました。
私は、娘が半紙を準備したプロセスを確認する必要はなく、自分が管理していると思っていた物が、知らないうちに持ち出されていたので驚いただけです。
振り返れば、私はこう言うべきでした。
「半紙を学校に持っていくのね。家にもまだストックがある?足りなければ買い足そうか。」
まだまだ頭がいい人になってない私は、もう一度本を読み実践を重ねていく必要がありそうです。