コンサルタントのコラム

【第3回】コンバージョンUPに効く! 「説得の心理学」を活用したコミュニケーションシナリオ設計

当記事では、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションさん、ジゾンさんとの共催セミナー「コンバージョンが格段にアップ!Webでのカスタマーエクスペリエンス向上【実践講座】」でお話しした内容から、おいしいところを抜粋してお届けします。

今回は、説得のためのコミュニケーションの具体的なテクニックをいくつかご紹介します。


【第3回】コンバージョンUPに効く! 「説得の心理学」を活用したコミュニケーションシナリオ設計

■本能に訴える
■偶有性
■プライミング
■損失回避傾向
■社会的証明
■親近効果


本能に訴える

「本能」とは、人が生まれつき持っているとされる根源的な欲求のことであり、一般に、「食欲」「性欲」「集団欲」の3つです。(さらに、「睡眠」が含まれることがあります。)本能とは、「生きる」ために必要不可欠なものを求めることであり、極めて強い欲求。だからこそ「本能」と呼ばれるわけです。

当然ながら、何か食べないと私たちは生きることができません。つまり個体として生きるために「食欲」があります。また、個体生存のためには食べ物が必要ですが、種としての存続のためには異性と交わり、子供を作って遺伝子を引き継いでいかなければなりません。そのために「性欲」があります。
また、人間は群れ、すなわち集団を作って生きる動物ですね。人間一人ひとりは自然界においては弱い存在であったため、群れることで力を合わせ、天敵や自然災害から自分たちを守ってきた。そのためには、誰かとつながっていたいという「集団欲」が本能として身についたわけです。ちなみに、私たちが、フェイスブックやツイッターにはまってしまうのは、誰かとつながっていたいという「集団欲」が充たされるツールだからです。

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クリックへ導くために本能に働きかける

さて、コミュニケーションにおいて、食欲、性欲、集団欲に訴えるのはとてもパワフルな方法です。実例としては、「性欲」に訴えるケースが目立ちます。例えば、ユニリーバの男性用化粧品ブランド「AXE(アックス)」では、AXEを利用した男性に女性が惹きつけられるというコンセプトのコマーシャルが展開されています。要するに、「AXEを使うと女性にモテますよ、その先は・・・」ということで、かなり直接的に性的欲求を刺激している、わかりやすいケースです。

また、フェイスブック広告の創成期には、しばしばビキニ姿の女性のビジュアルが表示されることがありました。リンク先はセキュリティソフトだったり、また別のサービスだったりと表示される女性とは全然関係のない内容になっていることがあるのですが、男性の多くは目線が奪われてしまうでしょうし、思わずクリックした経験がある方も多かったものと思われます。

 

偶有性

偶有性とは、「半分は規則的」、「半分はランダム」な状態を意味します。偶有性が見られる典型的なものは「ギャンブル」です。当たったり当たらなかったり、どんなギャンブルにせよ、ある程度規則性を学んで勝つ確率を高めることができますが、100%常に勝ち続けることができるわけではなく、最後は運の要素も大きい。そんな「偶有性」の状態を私たちの脳は大好きなのです。

 脳が喜ぶ「偶有性」の例:Yahooズバトクのサイト

脳が喜ぶ「偶有性」の例:
Yahooズバトクのサイト

偶有性を活用したコミュニケーションとしては、「サプライズプレゼント」を仕掛けるというのがあります。既存顧客に対してバースデーカードや年賀状を送るというのは定番ですが、これは顧客側も受け取るのが当然と思っているのでたいした効果はありません。しかし、なんでもないときにサプライズでクーポンを送ったりすると、お客様も予期していなかっただけに喜びが大きく、クーポン利用率が高まります。

また、既に販促策の定番ではありますが、「くじ」を提供するのも偶有性の応用であり、お客様のサイト訪問率を高め購入率を高めることに効果があります。まあ、あまりにもあちこちでくじによるプロモーションが頻発されているので、ユーザー側も飽きが来ている印象受けますが。

 

プライミング

「プライミング」とは、先行して提示されている情報にそのあとの情報が影響を受けることです。これはセールでの売価表示が典型的な応用例です。

「定価2万円のところ、年末セールにつき1万円」

まず2万円という価格が提示されているために、半額のセール価格1万円が割安に感じられます。しかし、当該商品の価値がそもそも2万円に値するものだったのかを本来は冷静に考慮すべきですね。実のところ、1万円という価格のほうが妥当な値段だったのかもしれません。お店によっては、本来1万円で売りたいがために、あえて通常価格を意図的に高く表示しているところもあります。
これは行き過ぎると消費者庁から「二重価格」と判断されて景品表示法違反で処罰を受ける可能性がありますので、消費者をだますようなプライミングは避けなければなりません。

 

損失回避傾向

行動経済学によって明らかにされた私たちの思考・行動の偏りのひとつが「損失回避傾向(の高さ)」です。私たちは、何か得することよりも、何かを失う=損をすることを避けたがる傾向があります。

この「損失回避傾向」を利用したコミュニケーションテクニックも多数あります。例えば、タイムセール。特定の時間限定で商品が安くなるのがタイムセールですが、買わなくても実質的な損が発生するわけではありません。しかし、今買わなかったら「安く買える機会」を逃す=「機会損失」を感じるから、思わず買ってしまう人がいるというわけです。

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Engagio社のeBOOKのランディングページ

右のイメージは、B2Bマーケティングのソリューション提供会社、Engagio社が配布しているeBOOKのランディングページです。このページでは、通常$19.95で販売しているものが今なら無料でダウンロードができることをうたって登録を促しています。

このeBOOKの内容は非常に充実しており、有料でも無理はないと思いますが、実は常に無料ダウンロード可能なのです。(しかし、それに気づくひとは基本的にいません)

したがって、このランディングページの$19.95という価格表示は、前述したプライミング効果

「20ドルもするeBOOKがなんと無料で手に入るのか、だったらダウンロードしなきゃ」

があると同時に

「今、ダウンロードしなければ無料で入手できなくなってしまうかも」

という機会損失を恐れる方の登録を促進する効果を持っているといえます。

 

社会的証明

「社会的証明」という表現は、ぱっと見理解するのが難しいですね。わかりやすい言い方に変えるなら「長いものには巻かれよ」という意味だと理解してください。

人は、自分があまり専門的な知識を持っておらず、どのメーカーのどんな製品を選ぶべきかを判断することが難しい場合、「ほかの人はどれを買っているのかな」と知りたくなるものです。例えば、パソコンのCPUやメインメモリなどについての知識を持っていない人が、自分にとって最適なパソコンを選ぶのはとても難しいでしょう。

そして、しばしば最終的に売れ筋の製品を購入してしまうのは「ほかの人も買っているのだからまあ、大丈夫だろう」という判断が働いています。これが「社会的証明」です。すなわち、社会の多くの人が受け入れている製品を選んでおけば失敗は少ないだろうという考えを私たちは持ちやすいのです。

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ソニー損保のWebサイト
右上に「No.1」と目立つように記されている

ヒット製品が売れているおかげでさらに売れるのは、社会的証明効果のおかげと言えますが、近年SNSの進展によって売れ筋製品の情報が共有されやすくなったことで、売れ行きに対する社会的証明の影響がますます高まっているわけです。
この社会的証明を説得のコミュニケーションに応用するには、「みんな利用してますよ」ということを伝えればいいわけで、例えば「ランキング」を示すのはその一方法。
また、右のソニー損保のWebサイトのように「ダイレクト自動車保険 13年連続売上 No.1」という情報を提示することは「一番多くのひとが契約している、社会的に受け入れられた自動車保険である(だから、あなたも大丈夫ですよ)」ということを暗に伝えているわけです。

 

親近効果

親近効果とは、シンプルなことですが、いつも近くにいる人、また頻繁に接する機会が多い人に対して、私たちは無意識に「好意」を感じてしまうという心理的な傾向のことです。

「社内恋愛」が多くなるのは、この親近効果のおかげですし、営業パーソンがとにかくお客様のところにひんぱんに顔を出せ、と言われてきたのは、熱意が伝わると同時に、ちょっと顔を合わせるだけだとしても、頻繁に接触していることで営業パーソンに対するお客様の好意が高まっていくことが経験的にわかっていたからです。

ただ、現代はむやみやたらとお客様のところに足を運ぶのは、逆に迷惑がられますので止めたほうがよく、その代わりに親近効果を狙ってメールマガジンやインサイドセールスからの電話によるヒアリングコール(売り込みではなく現状の「おうかがい」が望ましい)といった方法をおススメします。

GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)が、新登録会員対象に配信しているウェルカムメールは、1カ月にわたりなんと20通も連続的に送られますが、従来、開封率が5%だったものが、20本のメルマガを通じてもコンスタントに20%以上と高い水準を維持しています。また、ウェルカムメール終了後のゴルフ場予約やオンラインショップ等の購買率も向上していることが検証されています。
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まだGDOのことをよく知らない新会員に対して、原田尚子さん(上のブルーの服を着た女性)という実在の社員さんからの私信風に届き、親しみのもてる表現でGDOの利用方法を説明したウェルカムメールは、短期間で新入会員の好意度を高めることに成功しています。

GDOのウェルカムメールは、「親近効果」が最大限に発揮されている優れた事例と言えるでしょう。

次回は、今回ご紹介したテクニックをコミュニケーションシナリオに組み込む方法について解説いたします。

セミナーレポートはこちら→


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松尾順

執筆者:松尾順
株式会社ジェネシスコミュニケーション
マーケティングインテリジェンス部
執行役員/マーケティングコンサルタント


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