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ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』著者 安達裕哉さんインタビュー Vol.1 「頭のよさ」は誰が決める?

2023年の年間ならびに2024年上半期において、国内売上ナンバー1(日本出版販売調べ)のビジネス書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)の著者、安達裕哉さんが「マーケの強化書」に登場! 仕事の進め方や向き合い方に悩むビジネスパーソンを念頭に置いて、編集長の田代が安達さんにインタビューを行いました。インタビューシリーズ(計4回)の第1回は、書籍のタイトルにもなっている「頭のいい人」について。「頭のいい人」とは一体、どういう人を指すのか? 著者本人に尋ねました。

目次

自分のことを「頭のいい人」って言いますか?

田代

いきなり話がそれてしまうのですが、安達さんは長らく「Books&Apps」というWebメディアを続けていらっしゃいますよね? 実は私、Books&Appsの大ファンでして(笑)。定例で行う編集会議の場では、以前からよく「『Books&Apps』では、こんなことが書かれていたよ」と伝えたり、気になるエントリーをメンバーに読むよう促したりしながら、とても参考にさせてもらっています。

安達安達裕哉さん(以下、安達)


それはそれは(照)、ありがとうございます! 「Books&Apps」は2013年ごろから運営していますので、随分長く接していただき嬉しいです。

田代


ですので、今回こうした機会が得られて本当に光栄に思いつつ、とても緊張しています(汗)。

安達


(笑)。ぜひお構いなく。

田代

さて。安達さんが書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』を上梓されて、今も大型書店では多面展開されていたり、よく売れていらっしゃるように拝見しております。もちろん、私たちも読ませていただきました。早速うかがいたいのが、書籍のタイトルになっている「頭のいい人」についてです。

安達


ええ。

田代


このタイトルは、版元であるダイヤモンド社の担当編集者が名づけたそうですが、割とストレートな言い方で、抵抗を覚える人もいそうですよね?

安達


はい、おっしゃる通りです(笑)。

田代


安達さんがタイトルで謳う「頭のいい人」とは、どういう人を指すのでしょうか?

安達

Amazonなどのレビューを見ると、「自分で頭のいい人なんて言うこと自体、そもそもどうなの?」とツッコミを入れられていたりします。これは至極当然のツッコミです。「オレ、頭いいよ」「私は賢い」みたいに、自分で「自分を『頭がいい』と言う人って、どうなの?」と思いますよね

実はこのこと自体が、書籍作りの出発点にもかかわっていて、そもそも「頭がいい」や「頭のよさ」って何なのか、を解明したのが本書なのです。少なくとも、自分で自分を頭がいいと言う人は頭がよくなさそうだと。これは多くの人が共感を持つと思うんです。

田代


ですね(笑)。

「頭のよさ」は他者が決める

安達


ここで重要なのが「頭のよさって誰が決めるの?」という「問い」です。自分で頭のよさを決めているようなら、頭が悪い(笑)。そうです、頭のよさは「他人」が決めるからです

田代


うんうん。

安達


では、「頭のよさは他人が決める」をもう少し突き詰めると、その人のことを「頭がいい」と思っている人の数が多ければ多いほど、本当に頭がいいのだろうと言えます。要するに「認識」の問題なんですね。

田代


なるほど。

安達

例えば、ある社員に対して「あの人はすごく優秀ですよね」「頭がいい人ですよね」と言われている一方で、同じ相手に別の社員からは「あの人、何だかイマイチだよね」みたいに言われることは珍しくないわけです。他にも、「あの人は頭がよすぎて、何を言っているのか全然わからない」みたいに言われている人もいますよね。

田代


「結局どっちなの?」と(笑)。

安達

そうです。つまり、頭のよさとは概念として相対的なのです。ある人にとっては頭がいいかもしれない人でも、別の誰かにとっては頭がいいとは思わない。東大生に対して「頭がいいでしょ」となる人もいれば、「そんなことはないでしょ」と思う人もたくさんいるように、です。

相手の役に立たないと、小賢しいだけ!?

田代


なるほど、これが発想の原点だったわけですね。

安達

頭のよさを測る客観的な尺度なんて存在しませんよ、ということですね。では、何に対して「頭がいい」と感じるのか? 例えば、「この人、刺さることを言うな」に対して「賢い!」「頭いいですね!」といった称賛の言葉を他者が投げかける。こうした称賛の言葉がイコールで頭のよさを表す言葉ですよね。

頭のよさとは、相手の役に立ってこそ感じてもらえるもの。テストで100点を取ったから偉いとはならず、見事なプレゼンを行ったなどの後に、頭のよさを感じさせたりします

安達

じゃあ、要領がいいと頭がいいのか? そうとも言えるかもしれないけれど、完全にそうではない。他にも、本質を捉えている・教養がある・分析に優れている・知識量を豊富に蓄えている…、これらも「そうだと言えるかもしれない」けれど、決して芯を食った見解ではありません。

田代


あくまで相対的である、ということですね。

安達


はい。1つの側面であっても、必ずとは言えない。論理的思考力で相手をねじふせようとするコンサルタントを想像してください。頭がいい人、だと感じるでしょうか?

田代


多くの人は「嫌な奴だな」と感じますよね(笑)。

安達


じゃあ「何なの?」となりますよね。そこで書籍では、「頭のよさ」とは「目の前にいる人の役に立てるかどうかで判断されるもの」と説いています。

田代


わかりやすいですね。

安達

テストで100点を取っても、相手の役に立たなければ「テストがよくできる人」でしかない。論理的思考力がある人は、相手に役立つことで初めて賢く思われるのであって、相手の役に立たなければ「なんだか小賢しい、感じの悪い人」でしかないのです(笑)。

「頭のよさ」とは「社会的知性」で成り立つ

田代


いかに相手の役に立つか?

安達

オーストラリアのクイーンズランド大学で心理学教授を務めるウィリアム・フォン・ヒッペル氏の言葉を借りると、頭のよさの本体とは、学校的知性よりも「社会的知性」であると。つまり、学校的知性は知性の本質ではなくて副産物である。知性の本質とは、数字やテストで測れないもの(=社会的知性)で成り立っているのであり、「真の知的馬力」は社会的知性で図られている、と言うのです。

田代


例えば、テストで100点を取った人よりも、難しいプレゼンテーションをやり遂げてビジネス上の成果を引き出した人を素直に称賛したくなるように、ということですね。

安達


これがそもそも本書で伝えたかった「頭のよさ」の定義になります。

田代


ありがとうございます! 今の話を通じて、まずは書籍のタイトルに引っかかっていた人たちにこそ安達さんの真意が伝わると嬉しいです。

次回は・・・

では、相手に頭のいい人(自分の役に立つ人)だと思われるために、どうするといいのでしょうか? そこで、相手の役に立つための行動の中から、特に「傾聴」の重要性について安達さんに解説していただきます。

『頭のいい人が話す前に考えていること』

安達 裕哉著

出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日 ‏ : ‎ 2023/4/19
ソフトカバー ‏ : ‎ 338ページ
ISBN ‏ : ‎ 978-4478116692

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

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