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安達裕哉さんインタビュー Vol.4  若手社員よ! 能動的であれ

2024年上半期の国内ビジネス書籍部門第1位(日本出版販売調べ)というベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』著者の安達裕哉さんへのインタビューシリーズも、今回がいよいよ最終回(第4弾)。とりわけ世代差や年齢差に伴う人間関係に敏感な昨今だからこそ、若手自らが能動的に動くことの重要性について、安達さんと話し合っています。書籍の裏話コラムでは、AIとの向き合い方についても触れています。

目次

うまくなりたいなら、練習あるのみ!

田代

第3回で「上司と飲む」ことのススメ、できれば面倒見のよくない(笑)上司との飲みニケーションについて、取り上げました。ただ、昨今の潮流を考えると「時代に逆行する」提案とも言えます。その点はどうお考えですか?

安達


なぜ自分のコミュニケーション能力がイマイチなのかを考えてみてください。今まで、ストレスのかかるコミュニケーションを避けてきたからじゃないですか?

田代


うーん、たしかに。

安達

コミュニケーション能力は、いくら理論を学んだところで実践しないとうまくなりません。上達したいなら、ストレスのかかるコミュニケーションほどいいわけですよ。私から言えるのはとても単純で、「練習しましょう」。理論を学んだだけの状態は、練習せずに野球でホームランを打ちたい、と言っているようなものです。

田代


ここまで言われたら、みなさん、上司を誘うしかありません(笑)!

安達


ぜひ相手の意図を読む実践を積んでください、面倒に感じる上司で(笑)。

田代


安達さんの会社ではいかがですか?

安達

私のところにいる社員はおじさんばかりですので(苦笑)、私が現場で積極的に出ていく感じにはしていませんが、私が若手を指導する立場にいれば、必ず上司飲み、お客様との飲みを促しますね。「ストレスなきコミュニケーションなど、何の役にも立たないぞ!」と。

書く技術を磨くことが難しい理由

田代

少し話題を変えます。現代の働き方で考えると、すっかりオンライン会議が浸透して、リアルで直接相手と話をする機会が減っています。対面より電話、電話よりメール、メールよりもSlackやChatworkのようなビジネスチャット系ツールを使う機会がものすごく増えています。

そこで書くことについてもうかがいたいです。例えば、メールを書くのが苦手と感じる人が、日頃どのように練習(訓練)するといいでしょうか? 書き方を磨きたくても、「1人だとなかなか…」みたいなところがありますし…。

安達

おっしゃる通りですね。書くことを鍛えるのはとても難しいのです、他者からの指摘をもらいにくいですから。人と話せば、相手の反応がすぐ返ってきます。何も言われずとも、相手の表情から自分の瑕疵に気づきやすい。一方で、わかりにくい文章をメールしても、相手が指摘してくれることはあるようでない。つまり、指摘してくれる人を確保した上での練習がしがたいわけです。

田代


「あまり文章がうまくないなあ」と感じるメールを受け取っても、「うまくない!」「伝わらないよ!」とは返しませんものね…。

安達

書く技術より話す技術の方が身につきやすいのは確かです。「書く」ことは、話し言葉よりも余程意図的に鍛えないといけない。指摘する人がいないなら、基本は自分でチェックするしかありません。例えば、メールであれば書き終えたらすぐに送らず、少し時間を置き、もう1回必ず見直すこと。時間がかかっても、セルフチェックの徹底(!)です

メールやSlackなどが「うまく書けない」と感じている人たちは、後からの追加情報が多くなる書き方をしていませんか? 冒頭に結論を書いていますか? 思い当たる人は結論から書くことを意識し、実際の書き方を学ぶだけでも、大きく違ってきます。

田代


もし添削する人がいるなら、恵まれているわけですね。

安達

はい、理想は添削する人がいることです。書く技術は、添削がないと身につきづらい能力ですので、理想はメールを送る前に上司に確認してもらう。無理ならセルフチェックで鍛えるしかなく、自らに「鍛える意識」を強く課してください

田代


昔、社会人になりたての頃、もう四半世紀近く前ですが、「メールは、クライアントに送る前には必ず俺のところに送れ」と言ってくる面倒な上司がいました。

安達

わかります(笑)、いましたよね! その人は神だったんです、今思うと。第3回の「上司と飲め」にも通じますが、今の時代は自分から上司にお願いしない限り、やってくれないかもしれません。

田代


不安がある人こそ、自分からのアクションが必要ですね。

先輩に教えをこえる後輩は伸びるのです
嫌かもしれませんが、文章にツッコミを入れてくれる上司や先輩の存在はありがたいのです

若者よ! 怖がらず「評価」を受けよう

田代


例えば、何人もの関係者を含んだメールに対して、全返信で「君のメールがわかりにくい」と上司が指摘しようものなら、パワハラになるでしょう。

安達

自分から行動を起こさないと手に入らない状況(現代)は、かわいそうな状況でもあります…。その点、自らのメールに自問自答できる人は、その時点で凄いことなんです。セルフチェックできる人は自信を持ってほしいし、飛躍的に上達する可能性を感じます。

田代


なるほど。

安達

私が育ったコンサルティング会社では、自分から「(メールを)見てください」と言えないと干されてしまう。後からクオリティ上の問題が発覚して怒られるより、先に見せた方がマシ、という考え方なんです。まあ、最初はボロカスですよ。でも段々できてくると、上司の反応も「そのまま送っていいよ」と。喜びもひとしおです(笑)。

田代


自分からストレスのかかる状況を望み、動けるかですね。

安達

人は評価を受ける立場に立たないと能力が伸びません。このことをよく認識しておくべきです。評価されない限り、前進できない。評価を受けない状態は、評価されることから逃げていることになる。「勧んで(他者の)評価を受けてください」が、唯一のアドバイスです

田代


抵抗を感じている人も、ぜひ挑んでほしいです。

安達

もちろん、上司の側が良くないことは多々あります。思慮の欠けた上司によって、評価を受ける若手側の心を折ってはダメ。「こうした方がいい」と客観的に語る雰囲気を作ることも、上司の役割です。もし部下が何か言えず隠している状況があれば、いかに恥をかかせず、尊重しながら指摘できるかが、上司の技量です。塩梅が難しいだけに、理想はお互いの立場からそれぞれ歩み寄りたいところですが…。

「マーケの強化書」ユーザーの場合、公開中のさまざまなコンテンツ群から察して、向上心のあるユーザーが多いと思います。評価を勧んで受けるところに自らを晒せるかどうか。晒せないと、どんどん自分が評価されにくい存在になってしまう。相手が気を遣い、何も言ってくれない存在になるのは、本来とても損なことです。

書籍の裏話その3:AIとどう向き合う

田代

書籍を通じてのコミュニケーションのあり方、アウトプットの鍛え方などを4回にわたって展開してきました。最後に、昨今の生成AIと絡めた意見交換もしたいです。生成AIによるアウトプットの効率性や生産性は、ここ数年を見ても目を見張ります。どこかでAIが何とかしてくれる、みたいな思い方をしている人がいると思っています。

安達

例えば、なぜ言語化能力が必要かというと、人を動かすためですよね? 念頭に置くことは「人を動かすこと」です。当然ながら生成AIは人間ではないわけで、生成AIがある程度役に立つアウトプットを出してくれるかもしれない。では、それがそのまま、みなさんのお客様に刺さるのか? みなさんの上司の胸に響くのか?

田代


わかりませんよね。

安達

はい。この点が最も勘違いされる点だと思っています。生成AIは叩き台を作ってくれても、それ以上ではありません。なぜなら、生成AIはお客様のことを知らないし、上司のことを知らないわけですから。

知らない以上、チューニングが必須です。叩き台を作るには役立つけれど、最終形としてお客様に出せるわけではない。みなさんのゴールが何かを間違えないことです。みなさんのゴールは、生成AIを使いこなすことではないはずです。生成AIを通じて、人を動かすためのアウトプットの叩き台作りを楽(助け)にするもの、と捉えるべきです。対人能力を鍛えれば、生成AIの使いこなし能力も並行して上がるものであって、生成AIばかりに向き合い過ぎない方がいいと思っています。

あくまで言語化能力は、人と向き合うことで上がるものです。

田代


4回の長丁場にお付き合いくださり、しかも書籍にまつわる裏話をいくつも披露いただきました(謝)。本当にありがとうございます!

安達


こちらこそ、ありがとうございます!

『頭のいい人が話す前に考えていること』

安達 裕哉著

出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日 ‏ : ‎ 2023/4/19
ソフトカバー ‏ : ‎ 338ページ
ISBN ‏ : ‎ 978-4478116692

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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