コンサルタントのコラム

大人気Twitterアカウントの「中の人」から学ぶ人気アカウントにするための極意~マーケティングカンファレンス2017~

FacebookやTwitterなどSNSの自社アカウントを持っていない企業ってほとんどないのでは?と思える程、SNSの活用は企業においても活発化していると言えると思います。しかし、ほとんどの企業では、定期的な新商品のリリースなどの投稿に限定されていたり、ツイートを続けているもののフォロワーも増えずだんだんツイートしなくなってしまった。そんな企業も多いのではないでしょうか?

SNSの運用は大切になったとはいえ、SNSを人気アカウントにするにはどうすれば良いのか?人気にならなくても、SNSを通してファンになってもらいたいし、フォロワー数を増やしたい。SNS運用者であれば一度は考えたことがあるのではないでしょうか。そのヒントになりそうな報告が先日開催された「マーケティングカンファレンス2017」(日本マーケティング学会主催)においてありました。今回はそのことについて書きたいと思います。SNS活用のヒントになると思います。

私が参加したセッションは、水越康介氏と麻里久氏(共に首都大学東京)の「アカウント・アイデンティティ・プロジェクト-ソーシャルメディアにおける企業と消費者のインタラクションのメカニズム」と「企業アカウント間のインタラクションとマーケティング効果」というセッションでとても興味深いものでした。

このセッションでは、企業のSNSアカウントを運用している「中の人」に実際にインタビューして、どのような考え方を持って運用しているのか?実際にどのような体制で運用しているのかについて報告がされました。インタビューした相手は「シャープ」「キングジム」を運用している「中の人」です。特にシャープのTwitterは非常に面白いツイートをすることで有名なので知っている人も多いかもしれません。

アカウントを「人」として認識させることが大切

報告ではまず、シャープのTwitter運用者=「中の人」がどのようなことに気を付けてTwitterを運用しているのかについての話がありました。シャープの中の人が運用において気を付けているのは、「消費者に対してSNSアカウントを『人』として認識させること」だそうです。どういうことかというと、基本的にSNSアカウントは企業を代表するものですが、消費者がアカウントを「会社」として認識している段階ではツイートしても印象を残すことが出来ず、反応も少ない。しかし、企業アカウントを『人』として認識したとたんにツイートに強い印象を残すことが出来て反応があるし拡散しやすいというのです。なので、シャープでは「私」を主語にして発信しているとのこと。そして「生活者の知人という設定」で運用しているのだそうです。そうすることで、消費者はアカウントを具体的な『人』としてとらえやすくなり、ツイートに対して反応が生まれやすくなるのだとか。そのためシャープでは、1名でTwitterアカウントを運用しているのだそうです。

SNSアカウントを運用しているのが「人」であることを感じさせなければ反応は得られないというのは面白いですね。アカウントをいかに「擬人化」するか、つまり「パーソナリティ」を持たせるかがとても大切な要素だということです。

また、シャープのツイート内容には自社製品と関係のないことが発信されることが非常に多いですね。これは基本的に担当者の「個人的な意見や趣味のこと」なのだそうです。そして、あえてそうしているとのこと。というのも個人的な発言にこそ消費者が「人として認識しやすくなる」材料が含まれているから。新製品リリースのツイートは重要ですが、リリースのツイートからは「人」を感じさせる要素がない。新製品が発表された投稿を見て「あ、この人は優しい人だな!」って思う人はいないですよね。でも、ツイートを見る人は、どんな人からのツイートなのかがはっきりしていないと反応しない。なので、人によってツイートされているように見せるために個人的な意見を発信しているとのこと。個人的な意見にこそ人間味を感じさせる要素があるからだそうです。

確かに、「休日の過ごし方」「好きな芸能人」「趣味」などの情報の方がどんな人かをイメージしやすいですよね。それにしても、会社のアカウントを使って「個人的な意見」を発信してしまっているんですね。これには少々驚きました。よく会社の上層部がそんなことを許したなと。小さい会社ならあり得ると思いましたが、大きな会社では難しいのではないか?と感じました。この疑問については、やはり出席者から質問がありましたし、インタビューでも聞いていたそうです。シャープの中の人によると、当初は「個人的な意見」を発信することに強く反対する人が多く存在したそうなのですが、日経新聞などに掲載されたりして、周囲から評価されるようになると反対する人はいなくなったとのこと。人気アカウントはエッジがきいている場合が多いので社内への説得も必要なのですね。

他のアカウントの中の人とのやり取りが「擬人化」を促進する

また、その他にもアカウントを「擬人化=パーソナリティを構築」するために著名人とのやり取りも意識的にしているとのこと。他のアカウントとのやり取りを友人関係のメタファーとして利用することで擬人化を促進させているそうです。単なるツイートだけでなく人との関係性の中からその人(アカウント)の人間性を表現しているのだとか。そうしたほうが、情報を受け取る消費者はアカウントの人間性を認識しやすくなるそうです。

実際、全てのツイートを調査したところシャープの中の人がリツイートする6割近くが著名人や他社とのやり取りになっており、一般の方のリツイートは4割にも満たないそうです。また、著名人とは複数回やり取りするものの一般の方とは1回やり取りするだけで終わっているのも特徴的とおっしゃっていました。

なるほどですね。アカウントを擬人化するために他のアカウントとの会話を見せることで人間性を表現する。何らかの発言に対してどう反応するのか?を見るほうがよりその人を理解できる。これって、私たちが「人」を理解するときも同じことが言えるのではないでしょうか。人間の特性を上手く利用しているなと感じました。

後継者の育成が課題

次に現状抱えている課題についての話になりました。今の課題としては、前述のように1人で運用しているために後継者を見つけることが非常に難しいとのこと。それはそうですよね。ツイートする個人に完全に頼っている現状を引き継ぐというのは不可能ではないかと思いました。引き継ぐにしても異なるパーソナリティーにならざるを得ないと思います。この辺りはどの企業も悩んでいるとのことで答えがない状態だそうです。報告はここまででした。まだまだ研究途中という印象を受けましたが、非常に興味深い報告でした。

この報告によって人気アカウントにするにはなりふり構わず投稿していれば良いのではなく、良い反応を得るための努力や工夫があるということがよく分かったのではないでしょうか。この「マーケの強化書編集長Twitter」でも試したいと思いました。

また、この報告では、これらを実施することで「ファンが増えるのか」「フォロワーが増えるのか」などの効果に関する具体的な話はありませんでした。あくまで「人気アカウントを運用している人はこんなことを意識しているよ」という報告です。なので、企業の目的や業種によってはこのやり方は合わない可能性もあるので鵜呑みにはしないことは大切です。なので、一応最後に付け加えておきます。

この記事が、クライアント企業様のSNS運用のヒントになれば幸いです。



執筆者:赤沼悠介
株式会社ジェネシスコミュニケーション
プロデューサー


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