ビジネスパーソンが悩む SNS運用のコツ!#01 Twitterを活用したセルフブランディングのススメ
自社商品やサービス、オウンドメディアなどを「知ってほしい」ユーザーへのきっかけを作る1つの手段がSNS活用です。今回は、Webデザイナーで『思わずクリックしたくなるバナーデザインのきほん』の著者カトウヒカルさんに再びお時間をいただきました。カトウさんは、さまざまなSNSを活用しながら、現在はTwitterを中心に日々のセルフブランディングを行っています。認知拡大や集客に悩むオウンドメディア担当者、SNSなどの兼任担当者に向けて、Twitterをはじめ各種SNSを効果的に運用できるコツについて、話し合いました。
- カトウヒカルさん「kanvas」として活動中、福岡県在住のWebデザイナー。
著作に『思わずクリックしたくなるバナーデザインのきほん』(インプレス刊) - 田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
「マーケの強化書」編集長
最初は試行錯誤の連続
田代
すみません…またお話の機会をいただきました。
先月公開した「非デザイナー必読!デザインの基本を知ろう」のインタビューですが、カトウさんのフォロワーさんと思われる方から結構アクセスをいただきまして。編集会議で「カトウさんは結構フォロワーが多いので、SNSのコツについてもいろいろとお話をうかがえるのではないか…」と、本業とはそれてしまい申し訳ないのですが。
カトウ
そうだったのですね。こちらはいつでもウェルカムです。お声がけいただきありがとうございます。
田代
昨今、SNSの運用は大事なポイントです。ビジネスパーソンにも効果が出そうなポイントなどを、カトウさんが運用しているTwitterを中心に話をしていければと思います。
SNSについて少し自分のことを先に言うと、Twitterでは「マーケの強化書」編集長のアカウントを持つほかに、プライベートのアカウントで好きなサッカーやスポーツの話をツイートしています。両方を更新しているからこそ余計に、相手の反応や数字を意識した運用はしんどいな、と思うところも多かったりしています。
カトウ
難しいですよね。僕自身、試行錯誤をずっと繰り返して今があります。いろいろとふらふらしていましたから(苦笑)。Twitter以外にもあれこれ手を出しての今があります。
田代
今日は主にTwitterについておうかがいしようかなと思っていましたが、ちょっとTwitterが、今後どうなっていくかが急にわからなくなってきている(2022年12月時点)こともありますので…。
今回の対談が、TwitterだけでなくSNS全般の運用のヒントにもつながる要素を伝えられれば、と思っています。
カトウ
なるほど、わかりました。今僕は、デザインテクニックやTipsなどを毎日、1エントリーで完結する形でツイートしています。
田代
自分もフォローさせてもらって拝見しております。カトウさんのTwitterは3万7,000フォロワー(2022年12月時点)を超えていますが、誰もが最初から多くの反応がないところからのスタートです。数字が伸びてこない時期が続くと、普通はやめたくなる(笑)。
やめずにできたモチベーションって、何だったんですか?
カトウ
デザインテクニックについてのツイート自体は、数年前からやっていたんですが、ずっと低空飛行。反応がなくて、やったりやらなかったりを繰り返していました。
田代
やっぱりそうだったのですね。
カトウ
最初はSEOを意識して、自前ブログへの流入を狙っていたんです。そのために、YouTubeで毎回のテーマを動画にして、同じテーマをブログでも記事化して、Twitterでブログの公開を伝えるツイートもして、というルーティンを行っていました。あまり反応が良くない割に、とても負担が大きかったです。
やがて今も続けている、1投稿完結型のデザインテクニックやTipsを伝えるツイートのスタイルに行きつきました。
自らのアクションやリアルな接点の重要性
田代
試行錯誤を繰り返す中で、最初に大きな反応があったのは?
カトウ
フォロワーさんがリツイートの輪を広げてくれたんです。僕がツイートしているような、デザインに関する画像を4枚にまとめてツイートをしている大阪在住のクリエイターさんがいて、フォローしていました。そこから、徐々にその周りのクリエイターさんたちもフォローしていきました。それまでは他者のツイートは読むだけ。
自分から動いていなかったのをやめて、気になる人はフォローして、「いいね!」やリツイートをするようにしたら、徐々にその界隈でTwitter上のやり取りが始まって。その縁で、フォローしたクリエイターさんたちが福岡でイベントをするというタイミングがあり、「来てみませんか」と誘われたんです。
田代
Twitter上の付き合いが発展し、リアルで会う機会につながったわけですね。
カトウ
本当はそういうのに行くのは大の苦手で(笑)。でもせっかくのお誘いだし、勇気を出して行ってみたら大正解! いろいろとお話ができて、友だちも作れました。
田代
どこか戦友のような、普段は会わないけれど互いに切磋琢磨しているような間柄でもあるし。
カトウ
そうなんです。そのイベントから数日して、いつものデザインネタをツイートしたら、今までと違ってリアルでつながった友だちが次々に「そう、そう」と賛同リツイートを! ちょうど3年前、2019年12月〜2020年1月あたりになります。
田代
「リアルな接点が大事」と言える話ですね。もちろん、いい人に巡り合えるかどうかは実際に行かないとわかりません。無理して行くことはなくても、「これまでと違った動きをしたい」「閉じこもっていた世界を広げたい」と思ったら、少し勇気を出したほうが良いかもしれませんね。
カトウ
ただ、それからは同業者が一気に増えた状態でのツイートになったので、随分気を遣うようになりました…デザインのアプローチって、同業者でもやり方、解法が違うので、頻繁にやると「そうじゃない」というアンチの声も拾いやすくなるからで、バランスには気をつけています。例えば、「興味があったイベントに行ってきた」みたいな、日頃の活動にまつわるツイートも意識的に挟むようにしています。
「1投稿完結ツイート」のススメ
田代
企業アカウント目線だと、日頃カトウさんがツイートしている画像を使った1投稿完結型は、その場の納得で終わってしまう。担当者としては「このツイートだけで完結させたくない」「自社サイトに流入させたい!」と、つい考えたくなるような気もするのですが。
カトウ
自分の実感では、自社サイトへの流入よりも、Twitterのフォロワーを増やすことを優先した方がいいと思っています。以前からデザインネタで1投稿完結型のツイートをする「デザイン研究所(デザ研)」の方とも直接お会いする機会がありましたが、対話すると同じ感想を話していましたね。
田代
つまり、「まずはフォロワーを増やして、流入する力を強くしておく」という理解でいいですか?
カトウ
その通りです。ある程度フォロワーが増えた状態にして、たまに自社サイトやブログを紹介すると効果的です。ただ、企業側の懸念もわかるので、Twitterだけで完結する投稿に抵抗があるなら、新着記事ではなくて過去の記事については、画像化して掲載するというのはどうでしょう?
今はそれほど読まれていないかつてのエントリーの再利用であれば、Twitterだけの完結になっても抵抗は少ないと思います。
「バズは狙わない?!」の真意
田代
なるほど。最新のネタは1投稿完結型にして、サイトへの流入は過去記事を使ってみると。それは面白いかもしれません。
次にもう1つ。企業担当者としては、結果への縛りがあるので、頭のどこかで“バズを狙いたい”意識を抱える人も少なくありません。
カトウ
僕の実感で言うと、バズは狙わない方がいいです。バズを狙っても、盛り上がった相手の属性が、自社が求める属性と一致するとは限らないからです。ズレがあるほど、仮にバズ化したツイートへの反応が増えても、フォロワー自体の増加にはつながらないので。
田代
さらに1つお聞きしたいのは、「結果を残さなきゃ」とともに「企業のアカウントだから正しいことを言わないといけない」という呪縛に悩む担当者も多いと思うんです。自由にモノを言えず、言い方も慎重になってなかなか気軽に呟けない方も多いと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう。
カトウ
僕が扱うデザイン系で言えば、断言すると炎上しやすく(苦笑)、言い方や書き方には気を遣います。言いきらない表現は心がけていますね。あくまで「僕が思う」と、必ず伝えます。
田代
断言して言ってくれるツイートは、たしかに目を引くし、魅力的にも見えます。その分、思わぬ悪目立ちをして、アンチの声を誘いやすいですよね。
カトウ
例えば、「業界として〜」のような主語が大きくなる言い方は特に避けています。「業界ではこれがスタンダード」みたいな言い方は、誤解されやすいので。僕の場合、デザインネタは自分が主宰する1on1の受講生さんに許可を得た上で、受講生さんが作ったBeforeと僕がブラッシュアップしたAfterを並べた画像をツイートしています。
田代
相手の承諾を得ているのが大きな強みです。
カトウ
一次情報にもなりますからね。なるべく誰かが傷つく形にならず、自分の考えをわかりやすく、かつ相手に伝わりやすいツイートを心がけています。
次回は・・・
すぐにも活かせる、参考にできるTwitterのツイート、Tipsについて、対談が続きます。