コンサルタントのコラム

「商品に不満はない!」いま求められる「素敵な時間を過ごしてもらうマーケティング」

もはや、顧客の不満は「製品自体」にはない!

以前であれば、製品メーカーの企業は「商品や製品のどこに改良の余地があるのか?」を調査し懸命に考えていたことでしょう。しかし、近年においては、そのようなやり方は決して正しいやり方とは言えないのかもしれません。そう考えさせられる講演が、日本マーケティング学会が主催した「春のリサプロ祭り」であったのでご紹介したいと思います。このセッションは、「不満買取センター」を運営するインサイトテック社代表の伊藤氏の講演だったのですが、伊藤氏が言うには、もはやお客様は、多くの製品において「商品や製品自体に不満を持っていない」というのです。

確かに、10数年前までは製品に対しての不満を解消することでお客様の満足を得ることが出来ていました。しかし、近年ではどの企業でも商品や製品にはお客様が感じ取れるような違いはなく、さらに企業努力によって商品や製品は非常に満足度の高いものばかりになっている。そのため、商品や製品に不満を持つ人は近年ではとても少ないということでした。

ちなみに、不満買取センターでは、独自に収集した膨大な「生活者の声」や企業の手元にある「ビッグデータ」から、最先端のAI技術を駆使して課題解決に役立つ示唆を抽出するサービスを行っています。そのデータからはアンケートや購買データでは決して現れてこない生活者の本音が見えてくるとのことでした。インサイトテック社では、それらデータを解析することで「商品や製品に不満を持たなくなりつつある」と分析できるようになったわけです。

今、不満は『フリンジ』に存在する!

では、近年のお客様の不満はどこにあるのか?ということですが、伊藤氏によると多くの商品や製品の「不満はフリンジにある」ということでした。『フリンジって?』と思った人が多いと思いますのでご説明しますと、「フリンジ」とは、商品や製品本体ではなく、その商品や製品を提供するときの「接客サービスや付帯サービスのこと」です。例えば、ファーストフード店ならハンバーガーは商品本体であって「コア」に当たるものですが、ハンバーガーを販売するための「接客」は「フリンジ」です。そして、インサイトテック社の分析によると、ハンバーガーの「味」などには不満は少なく、接客サービスなどには不満が多いというのです。伊藤氏がよくある不満として上げた例としては、「トイレが汚い」「店舗周辺が汚い」「店員の表情が暗い」といったものでした。また、テーマパークの例でいえば、「ベビーカーで移動するには通路が狭い」などが多いのだそうです。

伊藤氏によると、これら「フリンジ」の不満は離反につながりやすいともおっしゃっていました。例えば、商品リニューアルによる品切れを体験した人は「離反」する傾向が高いのだとか。それは商品への期待感が高いからこそガッカリ感が強くなるからだと分析していました。

そして、伊藤氏は近年のお客様の傾向の「まとめ」として、「商品や製品を使うことで得られる『感情』」に対して不満を持つ人が増えてきた。近年のお客様は、商品や製品自体には差がないと感じており、それよりも「その商品や製品を使うことでどんな気持ちになれるのか?」という部分に意識が向いているとおっしゃっていたのが印象的でした。

顧客に満足してもらうために「素敵な時間を過ごしてもらう」ことに集中しよう!

最後に伊藤氏は、事例を紹介しながら、各企業がどのように取り組んでいるのかについて説明しました。

フランスベッド社との共同事例では、若い人がフランスベッドを買わない傾向があり具体的にどのような課題があるのかを調査をしたそうです。すると、当初の仮設では「寝心地が悪い」とか、「大きい」とか、「値段が高い」などの不満が出てくることを想像していたのですが、実際には、「間接照明でおしゃれになれば良い」や「スマホ充電ができない」などの不満が多かったそうです。ベッドそのものへの不満というよりも、そのベッドを購入することで自分たちのしたいことが出来るかどうか?が重要であることが分かった事例だったそうです。

次は、イグサを扱う会社の事例です。イグサをもっと使ってもらうためにどのような課題があるのかを調査したところ、意外にも「寝ると気持ちいよい」などポジティブなキーワードが多かったそうです。そして、不満としてあげられたのは「顔にあとが残る」「寝あとのついた子供の姿を見るのが嫌だ」という不満だったそうです。寝心地という本質的な部分の不満ではなく、「寝たあとのことの不満が多い」というのは非常に面白いと思いました。実際、この会社は寝あとがつきにくい製品を開発しているそうです。

次に、「こたつ」の不満として「肌触りが悪い」や「最初は温まらない」という不満があると考えられたのですが、実際には「布団がずれることに対する不満」が多かったそうです。せっかくリラックスしたいのに布団がずれることでリラックスできないことへ不満を持つ人が非常に多くいたとのこと。「確かに」と思いますよね。そこで、この会社は早速「ズレないこたつ布団」を開発することになったそうです。

商品や製品を使ってもらうことで「どんな素敵な感情を持つことが出来るのか?」そこを起点にしてすべては始めなければならない時代になったということですね。UXやCXなどと言われるようにどのような体験をしてもらいどんな感情になってもらうのか?そのような視点でも考えなければ今後は生き残れない時代なのだということを改めて痛感させられました。

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