新任マーケターの「はじめの一歩」!顧客を区分けして具体策を引き出そう
「マーケの強化書」が、マーケティングの第一歩として推奨する「戦略マップ作り」について、前回は戦略マップの縦軸にあたる「コンタクトポイント」に関する洗い出しについて解説しました。今回は横軸にあたる「顧客」に関する洗い出しについて話を進めます。縦軸と横軸を揃えて、戦略マップが活用できるようになりましょう。
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顧客の状態を大まかに分けてみる
ここでは、「顧客区分」という言葉を使いながら、一括りに顧客の状態を捉えず、顧客の状態を「分けて」考える効用について説明します。区分けした顧客を横軸に置き、コンタクトポイント(詳細は前回記事)を縦軸に置いてマス目を描けば、どのコンタクトポイントでどの状態の顧客層に向けた施策が用意できているか、まだ施策が打てていないか、用意してある施策が有効に機能しているかなどを一覧で確認できるマップが作れるようになります。
前回に引き続き「マーケの強化書」を一例にしながら、顧客を区分けしていきます。まずは大まかに数種類に分けて、さらに細分化していくと分けやすいです。そこで大まかに「潜在顧客」「見込み顧客」「(本)顧客」「ロイヤル顧客」の4つのステージに分けた上で、ステージごとの顧客に細分化の余地があるか、どのような状態が考えられるかを突き詰めてください。
最初に「潜在顧客」を見ていくと、潜在度合いの深さで区分けするかどうかが判断基準です。「マーケの強化書」の場合だと潜在顧客は、マーケの強化書という「メディアを認知して検索し一度来訪した人」と、試しに「一度記事を読んでみた人」の2区分を設けています。
引き続き、こうした要領でステージ別の顧客の状態をさらに分けていき、横軸の顧客区分を完成させます。
見込みの度合いで顧客の状態を細分化する
次に「見込み顧客」についてです。見込みの深度でさらなる区分けを判断します。例えば、見込み顧客になりたてなのか、見込み度合いが深くて商談が間近な状態なのかは、同じ見込み顧客でも異なります。明らかに対応が違うと判断できるなら、きちんと区分けします。見込み顧客に限らず、区分けは細分化しようと思えばいくらでもできるので、迷う場合はひとまず区分けしておいて、最終的には区分けごとで対策の違いが出るかどうかで区分けを残すか、区分けせず一括りにするかを判断しましょう。
「マーケの強化書」で当てはめると、見込みの深度はサイトへの来訪回数の頻度および期間がわかりやすい基準になりますが、私たちはもう少し応用した立て方をして、より具体的な解決策を引き出せる工夫をしています。例えば、「メールマガジンに登録したユーザー」「問い合わせ/資料ダウンロードしたユーザー」「名刺交換した相手」といったアクションに引きつけて見込み顧客を細分化しています。こうすると、「メルマガ登録者ならサイト訪問の頻度が高い」「資料ダウンロードするくらいなら、案件の相談も可能性がある」「名刺を渡した相手だから、案件や提案の依頼、見積もり依頼が生じる可能性が高い」など、より具体的に見込み顧客ごとの可能性を可視化できます。
自社の動きに合わせて、顧客区分をカスタマイズ
すでに商談が成立していたり、購買した「(本)顧客」や、定期的に(継続的に頻度高く)購買するなどの「ロイヤル顧客」も区分けします。初めて顧客になったタイミングは、今後のロイヤル化を左右するので、どのような対象でも一括りとせずに区分けしておくといいでしょう。利用頻度や購買頻度を目安に、特に接触が生じやすいタイミングは必ず区分けします。例えば初回は必ず顧客と接点を持ちますよね? 他にも、自動車なら車検(自動車検査)が国の制度(道路運送車両法)で義務化されているので、半年後や1年後など決められたタイミングで必ず接触機会が起きます。新築住宅なら定期点検のタイミングがそうです。その他、一度購入したら確実に一定期間を経て再購入となる商材など、顧客との接触が確度高く見込めるタイミングで区分けします。
「マーケの強化書」だと、「関係性が短期間のクライアント」と「関係性が長期間のクライアント」というカテゴリを設けています。前者は複数の依頼や継続的な依頼へとつなげるために、後者は継続的で多岐にわたる依頼へとつなげる目的が念頭にあります。そこに、「過去のクライアント」というカテゴリも設けて、一度は受発注の関係が成立しながら最近の関係性が疎遠というクライアントについて、取引の復活を模索するための区分けもします。
さらに「マーケの強化書」では、パートナー企業も含めています。クライアントの獲得に向けて一緒に働くSI/ツールベンダーや広告代理店など向けと、制作会社などの「マーケの強化書」側から仕事を依頼する相手向けの2つの区分を用意します。このように、対象となるサービスや商品の特徴によって、適宜、横軸のラインナップをカスタマイズしてください。
縦軸と横軸を完成させてマス目を埋めよう
一般的には、どの企業/組織も自社側ですでに何かしらの形で顧客情報を管理されているはずです。社内で定着している用語や決まりがあれば、そこにあわせて横軸(顧客区分)を作ってください。見込み顧客のことを「来店客」だと言っているなら、しっくりくる表現を優先した方が使いやすいでしょう。
ここで1点、オススメの工夫もお伝えします。「見込み顧客」と顧客化した「(本)顧客」との間の状態にもきちんと区分を設けると(区分による可視化)、実状に即した対策が打ちやすくなります。例えば、購入は決まっているけれど商品やサービスが顧客の手元へ渡るのに時間が生じるケースです。こうしたアイドリング期間の顧客を「契約者」「検討者」「待機者」など自社にしっくりくる名称で管理できると、施策の盲点(未対策の状態)をつぶせます。家やマンションを購入したけれど完成や入居までに時間がかかるケースや、納車に時間がかかる外国産の車などもそうです。「マーケの強化書」なら、案件の商談中の顧客が該当します。接点を持つ機会が高い本顧客に近い層も可視化して、自社の対策の見落としを防ぎましょう。
ここまでの作業で、前回説明した縦軸(コンタクトポイント区分)と横軸(顧客区分)が出揃うので、縦横で軸を設けてマス目を作り、いよいよ各マス目を埋めていきます。問い合わせフォームを利用した(縦軸)、初めて来訪したユーザー(横軸)といったように、交差するゾーン(マス目)に対応中の施策を記入します。特に何もしていなければマス目内は空白でOKです。
マップ内の埋まり具合で、今後の課題が可視化される
マップ内のマス目を埋めたら、空白が目立つ箇所は何も打ち手を用意していないゾーンとなります。空白は意図的なのか、完全に見落として何もやれていなかったのか。埋まっている箇所についても、施策の中身がサービスレベルの最低ラインを担保するための内容なのか、競合会社がやっていない内容かなどを見ていきます。こうした(施策の見落としや一部の顧客層に偏った施策の傾向などの)可視化が、これからのビジネス展開に向けた課題発掘となるのです。
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