ネタ作りを効率化!コンテンツを増やす方法
「マーケの強化書」でオウンドメディア担当者連載を開始以来、現場で直面中の悩みに関する問い合わせがますます増えています。中でも多いのが、原稿(エントリー)ネタの作り方です。
「会社からコンテンツの数が求められる……、コンテンツの数が揃えられない……」
正直、公開本数のノルマ化は、運営体制の余裕を奪いオススメできませんが、現実は公開本数が求められがちです。定期的な公開のためには(自衛のためにも)、常にエントリーネタを持っておくこと!
では、企画やテーマに基づく案の出し方や広げ方のコツを解説します。
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「5W1H」でツッコミを入れる
原稿ネタを考える前提は、常にユーザー目線の意識です。テーマにしたい案が1つでもあれば、「ユーザーが自社に求めている情報は?」と問いかけながら1案の展開を考えます。その際、ユーザーの立場や考える観点を変えながら、その1案にツッコミを入れてください。当初は思いもつかなかった切り口が徐々に見えてきます。悩んでいる人の多くは、出発点の案を膨らませるのが苦手です。
まずは考え方のとっかかりを持ちましょう。とっかかりを持たずに考えるため、行き詰まるのです。ここではそのとっかかりを、みなさんもよく知る「5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)」とします。ネタ作りに思い悩んだら、すぐに5W1Hを思い出してください。考え方のとっかかりが視点を広げてくれて、あまり時間をかけずに複数のコンテンツ案が自然と出せるようになります。
「いつ」のためのコンテンツ?「いつ」公開したいコンテンツ?
具体例として、「1カ月後にセミナー開催予定」という立場を想定してみます。
おそらく「開催概要の告知を何度か出しておくか?」「当日の内容を、後日公開してみるか?」といったことは、とっかかりなく考えても思い浮かびそうです。運営担当者の悩みはここから。浮かびがちな最低限の切り口以外が思い浮かばず、悶々となり、手をつけるべきアクションが限られてしまうことにあります。
そこで、5W1Hを通じてテーマや書くべき素材に切り込んでください。この切り込みが、多様な切り口(=ここでは「セミナーを成功させるためのコンテンツ」のアイデア)となり、複数の案や選択肢として可視化されるのです。
まずは「When(いつ)」について。
時間や締め切り、タイミングに関することを洗い出します。この場合、「セミナーが1カ月後に開催」という予定を念頭に、「いつから積極的に情報公開したいか」「どのタイミングで、どれほどの頻度で告知するか」「セミナー当日や開催後もフォローするか」といった、開催前後の投稿タイミングとそれらにあわせた中身について整理します。
これからの投稿予定を、時間軸に沿って書き出してみました(分け方の数は任意でOKです)。
A セミナー3週間前:今から1週間後に、告知に絡めたコンテンツを用意する
B セミナー2週間前:セミナーの本題に絡めたコンテンツを用意する
C セミナー1週間前:セミナーの本題に絡めたコンテンツを用意する(直前情報として。Bより踏み込んだ内容に)
D セミナー当日〜1週間後:セミナー当日の様子や内容に関するコンテンツを用意する
E セミナー1〜3週間後:当日の参加者の声や感想を受けたアフターフォローのコンテンツを用意する
いかがでしょうか、時間にまつわることを考えただけでも、切り口の可能性が複数出てきました。実際は、開催までの残り時間や運営体制のリソース次第でA〜Eすべての実行は厳しいにしても、考えられる切り口優先で複数案を出します。
どのメディアで、誰に向けて伝えたい?
次に「Where→どこで」です。コンテンツをどのメディア、場所で公開するかを考えます。Webに限ってもオウンドメディアのほかに各種SNSがあります。オウンドメディアとSNSの位置づけを定義し、SNSでは告知を優先するのか、オウンドメディアへの誘導を望むのかなど、各種SNSの特徴にあわせて展開の使い分けを検討します(必要に応じて紙、交通広告などWeb以外も列挙)。
「Who(誰が or 誰に対して)」については、届けたい相手を考えるだけでも「自社やセミナー開催を知らない層」「セミナー参加を検討している層」「セミナー参加が確定している層」といった大別が可能です。さらに「参加はしないが興味がある層」といった細分化も、目的次第で増やしていきます。「セミナー参加」を基点に、ユーザーとセミナーとの距離感別でコンテンツをどう分けるかを検討します。
条件別で伝え方が変わり、複数エントリーへと化ける
「What(何を)」は、「1カ月後のセミナーについて」ですが、3W(いつ、どこで、何を)で出てきた要素や条件を考慮すると、自ずと妥当な組み合わせが浮かんできます。ここではオウンドメディア(Where)に絞ってタイミング別(When)に考えてみます。
先ほどのA(セミナー3週間前)に「誰(Who)」の要素を掛け合わせると、
1 自社やセミナー開催を知らない層向け:自社やセミナーへの関心が高まるコンテンツ(セミナー告知はするが、無理にセミナー参加へと誘導しない)
2 セミナー参加検討層向け:セミナーに参加すると得られる学びや気づきに関するコンテンツ(一部は披露して、残りは参加時に公表する)
3 参加確定層向け:セミナー当日、より有意義に参加できるための情報を盛り込んだコンテンツ(わかる人にだけわかる内容を含んでOK)
さしあたって1〜3の候補案が見えてきます。ここで「Why(なぜ)」を掛け合わせると、より考えやすくなります。目的(なぜ)が認知優先なのか、集客重視か? もし集客重視であれば、検討層をより確実に参加へ促すコンテンツ作りを優先すべきですので、「自社やセミナー開催を知らない層」向けコンテンツの用意を自重する(優先順位が低くなる)判断ができます。
残り1週間でやってくる「セミナー3週間前」にどこまで対応するのか? それでも用意したい場合、運営側のリソースも勘案して、過去に今回のセミナーの内容に近いエントリーをしているならそのエントリーの改訂版を作り、制作時間の短縮を図る手もあります。
同様の手順でB〜D(When)も進めます。
ネタの広げ方を習得して、1つの案に固執しないこと
最後に「how(どのように)」で、最適な表現方法を考えます。
地の文メインなのか、対談や座談会形式にするのか。テキスト以外に動画や漫画、グラフやデータの多用など、表現の選択肢を挙げておいて、コンテンツ案がより伝わりやすくなる手段を選びます。同じ候補案を表現別で複数提供する、という可能性も考えていいでしょう。
以上のように「5W1H」基点は、1つのテーマを出発点に展開案や派生案が出やすいのです。広げた案のすべてが最適とは限りません。目的(Why)とともに、これまでの公開方針とも照らし合わせ、最適だと判断できて優先順位の高い案から用意しましょう。広げ方のコツをつかめると、1つのネタに無理に固執しない余裕も生まれます。後からの振り返りでつまらない案は潔く却下します。
もちろん、「When(いつ)」からだと考えづらいなら、考えやすい他の4W1Hから先に考え出して構いません。要は、案の数を増やすだけでなく、さまざまな角度から1案を検証できることも肝なのです。一連の作業のコツをつかみ、ネタ作りを効率化しましょう。
[初公開:2019年6月27日、再編集:2022年]