世界からCookieが消えたなら
2020年1月1日から施行されたCCPAについてはコチラから
[最終更新日:2020.02.04]Chromeのサードパーティー製Cookieの対応についてリンク集に追記。
MozillaがFirefox 69.0を(2019年9月)リリース。これはトラッキング防止機能がデフォルトで有効となり、セキュリティとプライバシーが強化されました。
AppleのSafariも(2019年2月)ITP2.1となり、
Safariは、サードパーティのCookieをブロックするようにあらかじめ設定された初めてのブラウザであり、プライベートブラウズを初めて提供したブラウザでもあります。
引用:https://www.apple.com/jp/privacy/approach-to-privacy/
とあるように、Cookieの利用について、GDPR施行以降どんどん厳しくなっているのが現状です。
Cookieがないデジタルマーケティングがどうなってしまうのか、少し考えてみましょう。
Cookieの使えない世界が影響を及ぼす3つのこと
Cookieの使えない、CookieのないWebの世界は大きく3つのことに影響を及ぼすのではないでしょうか?
- 集客:広告配信サービス、リターゲティング
- 接客:コンテンツの出し分けやポップアップ
- 分析:サイト解析、広告効果測定
それぞれについて少し想像を働かせながらみてみましょう。
(1)集客について
Cookieが使えなくなりリターゲティングがなくなった世界では、ユーザーの立場であれば競合商品や、情報収集しただけの製品広告に追われず清々した気分を味わえるかもしれません。
しかしながらマーケターとしては、自社サイトに訪問してくれた人や商品に興味を持ってくれた人に、リターゲティングが効かず再アプローチする手段が奪われてしまいます。
また、自社のターゲットとしている層を狙って広告を出すといった、きめ細やかなWeb上での広告配信も難しくなってくるでしょう。
(2)接客について
同一URLでも同じものを見ているとは言い切れなくなったのが、テクノロジーが進化した現在のWebの世界です。
来訪者をセグメントしてコンテンツを出し分けたり、ポップアップを出してWeb上で接客を行ったりと、あの手この手で閲覧者の行動を促し、コンバージョンを高めようと努力しています。
Cookieによって制御されていた閲覧履歴情報(閲覧者のアクセス履歴や訪問回数等)が分からなくなると、最適化されたコンテンツや見せたいコンテンツを提供することが出来なくなります。
もっと身近な所では、一度ログインしたサイトでもCookieがログイン情報が保持しなければ、アクセスする度にIDとパスワードを入力する必要が出てくるかもしれません。これは大変な手間ですね。
(3)分析について
GoogleアナリティクスはCookieの仕組みを利用して閲覧者のアクセス情報を収集しています。
ウェブページにおけるユーザーの行動や閲覧したページの URL など、ユーザーとウェブサイトとの接点となるデータを「記憶」します。
引用:Google アナリティクスによるウェブサイトでの Cookie の使用
上記ページ内でも、“ファーストパーティ Cookie を使用して”との記述がありますが、今回は、ファーストパーティ、サードパーティに関わらず、CookieのないWebの世界を想定しているので、今何人がサイトに来ているか分かっても、一人ひとりの訪問回数・閲覧ページ履歴等は分からず、Web分析ツールを使って知りたいと思っていた数値が入手出来なくなるかもしれませんね。
また、Webサイトの解析だけではなく、広告の効果測定も同様にCookieを用いて測定を行っているものは計測ができなくなります。
マーケターとしては結果や効果を分析出来なければ、力を入れ予算を確保すべき施策も分からず、失敗を糧とし次につなげるアイディアも考えられなくなってしまいます。
Cookieを使えない世界は、デジタルマーケターにとって死活問題のようです。
本当にCookieが使えない世界がやってくるのか?
Cookieの話ばかりをしてきましたが、ネット上で同一ユーザーを特定する様々な方法が開発されているようです。
- 端末固有ID
- フィンガープリント
- 各社独自の固有識別子、固有ID などなど
まだまだセキュリティや普及といった面では、Cookieにとって代わるテクノロジーが出てきたとは言い難い状況だと思います。しかしながら、1994年から使われているCookieが、様々な規制の対象とされている現在、Cookieが使えなくなる世界は、もしかしたら新しいテクノロジーが出現する世界と言えるかもしれません。
各社の技術開発の動きも少し調べてみましたので、末尾のリンク集もあわせてご確認下さい。
ブラウザシェアを調べる
最後にブラウザシェアを調べる2つの方法をお伝えしておきます。
Cookie規制の影響は、限定的なブラウザのみへの影響かもしれませんが、Cookieが使えない影響がどの程度出そうなのか?を見極める必要があります。
日本国内のブラウザシェアを調べる
アイルランドに拠点をおくStatCounterが提供しているWebトラフィック分析サイト(https://gs.statcounter.com/)の調査結果によると
日本の1年間(2018年9月~2019年8月)のブラウザ市場シェアは下記の通りです。
・Chrome・・・・・44.09%
・Safari・・・・・32.74%
・IE ・・・・・・・9.25%
・Firefox・・・・・5.95%
・Edge ・・・・・・4.37%
全世界で同期間ではSafari 15.22%、Firefox 4.78%でしたので、国内シェアが1位のiPhoneがSafari利用率の高さに影響しているのかもしれません。
Googleアナリティクスで自社サイト閲覧者のブラウザシェアを調べる
次は、自社サイト閲覧者のブラウザ使用率をGoogleアナリティクスでみてみましょう。
Googleアナリティクスの左サイドバーから【オーディエンス】→【テクノロジー】→【ブラウザとOS】と選んでいきます。
するとブラウザとOSの数値が出てきますので、対象とする【期間】を右上で指定し、右真ん中で【円グラフ】を選びます。
自社調べ:マーケの強化書サイト閲覧者 2018年9月~2019年8月
閲覧者がどのブラウザを利用して自社サイトを見ているのかが円グラフで分かります。
マーケの強化書(2018年9月~2019年8月)の1年間で、SafariとFirefoxに注目すると
・Safari・・・・・・・・25.65%
・Safari (in-app)・・・・3.11%
・Firefox・・・・・・・・3.54%
でした。
市場シェアと自社サイトとシェアを見比べて、いかがでしょうか?
マーケの強化書は多くの企業マーケターの方にご愛読いただいているので、国内ブラウザシェアと比べて閲覧者のSafari利用率は低いようです。
もし自社サイトでのSafariやFirefoxのシェアが高いようでしたら、少し注意が必要かもしれませんね。
また、もしCookieが使えない世界に対してあなたに心配を抱かせてしまったならば、現在使っているマーケティングツールベンダーにCookieの対応や対策について一度聞いてみて下さい。安心出来る回答が返ってくることでしょう。返ってくると良いですね。
付録リンク集:各社のプライバシーポリシーや対策状況
※順不同。掲載後リンク切れとなる可能性もございます。ご了承下さい。
■Chromeの対応について
・この冬、Chrome 80・81が出るまでにWebサイト担当者が対応しておくこと
└2020/1/23_デジタルマーケティングTips | 株式会社マックスマウス
・ウェブのプライバシー強化: サードパーティ Cookie 廃止への道
└2020/1/23_Google Developers Japan
・Cookie禁止に動くGoogleの秘策「プライバシーの砂場」とは?
└2020/1/20_ITmedia NEWS
・サルでもわかるGoogle Chromeのプライバシー対策で何が起こるのか
└2020/1/17_marketechlabo
・Google、サードパーティー製CookieのChromeでのサポートを2年以内に終了へ
└2020/1/15_ITmedia NEWS
・Google、「Chrome」のサードパーティーCookie対応を段階的に廃止 ~2年以内の実施を目指す
└2020/1/15_窓の杜
・Chromeは2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針
└2020/1/15_GIGAZINE
■Cookie以外の技術開発の話題
・使えなくなるクッキーに替わる次世代ソリューション「ハートコアビスケット」
・ログリー、Cookieを使用せずにユーザー属性を推定する技術を確立し、特許を取得
・アドエビス、ユーザーのプライバシーに配慮した新しい計測方法をリリース、ユーザーと広告主の双方にとって最適な計測環境の提供を目指す
・バリューコマース アフィリエイト、デバイス推定技術を用いたトラッキングを提供開始
■ITP2.1やGDPRへの対策など
・Yahoo!タグマネージャーにおけるITP2.0の影響について
・オプト提供の広告効果測定ツール「ADPLAN」、Safari ブラウザへのトラッキング防止機能 ITP2.1への対策方針のお知らせ
・モーメント分析クラウド「USERGRAM」、広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」、SafariブラウザのITP2.1に対応
・Adobe AnalyticsのITP対応について
・「GenieeDSP」、最新Safariブラウザの トラッキング防止機能(ITP)に対応
・マイクロアド、DSPサービス「MicroAd BLADE」において、 最新Safariブラウザのトラッキング防止機能(ITP)に対応 ~ITPの影響を受けない広告効果測定が可能に~
・「ADMATRIX DSP」が最新版SafariブラウザのITPに対応 ~Safariブラウザでもクッキー取得から24時間経過後のユーザートラッキングが可能に~
・A8.netが新広告効果計測システムの提供開始(特許出願中)、1stパーティ製Cookieを採用し、DNS設定のみで従来の計測が可能に
・ジーニー、EU一般データ保護規則(GDPR)に対応し個人データ保護を強化
■マーケティングオートメーションをはじめとするベンダー各社のCookieやプライバシーへの考え方
・Pardotでデータの信頼性と透明性を向上
・Marketo Cookieポリシー
・SATORI プライバシーポリシー
・カイロスマーケティングの提供する各製品や、サービスにおけるプライバシーポリシー
・HubSpot クッキーポリシー
・GENIEE プライバシーポリシー
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