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注目される人工知能(AI)と変化していくマーケティング

インターネットや常時接続環境の普及やインフラ/コンピュータの進化、スマートデバイスの登場、IoT関連の技術向上などにより、私たちの生活において「デジタル」は切り離せない存在となりました。
PC/スマートフォン/タブレット/ウェアラブル端末/センサーが搭載された機器など、私たちの多くはデジタルデバイスを複数保有し、使い分けながら日常を過ごしています。これらのデバイスから生まれるデータは、ログデータ、GPSデータ、文字・音声・動画データ、顧客データ、サービス利用・取引データ、履歴データ、センサーデータなど蓄積されるデータは膨大で、私たちが日頃扱うことのないペタバイトやエクサバイト級のボリュームの”ビッグデータ”となります。

このビッグデータは単に蓄積されていても意味はなく、様々な企業でビジネスに活用しようという動きが生まれています。但し、あまりにもデータボリュームが膨大であるため、人的リソースで何とかしようとしても不可能であること、事業を成長させていくためには多様化するお客様への適切な対応の必要性が高まってきていることから、機械的処理への注目が集まっています。

人工知能」「機械学習(マシーンラーニング)」「深層学習(ディープラーニング)」

これらキーワードは、近年様々な場面で聞かれるようになっただけでなく、実際にビジネスで活用する企業が出始めてきました。

ビジネスにおける人工知能の活用

人工知能の可能性を世の中に知らしめたのは、医療現場の事例ではないでしょうか?
CTスキャンやMRI、顕微鏡写真、レントゲン写真などあらゆる画像データをディープラーニング技術に基づくアルゴリズムで、ガンの悪性腫瘍を特定できるようになりました。

金融業界では人工知能の活用を積極化しています。
コールセンターでは、人工知能がオペレーターの会話を解析し、お客様からのお問い合わせ内容を音声認識システムで捉えて、業務マニュアルなどからお問い合わせ内容への回答をオペレーターに表示することで、応対時間の削減・顧客満足の改善・オペレーター不足の解消を実現しています。
株取引の現場でも人工知能を経済指標や株式の銘柄分析、ニュースや有価証券報告書などの分析から市場動向の予測を行い、上昇しそうな銘柄の購入を勧めるサービスが登場しています。

マンションディベロッパーでは、「人工知能(AI)を活用したスマートビル」として機械学習によるビルの自動制御を試みています。建物内の様々な設備や環境センサーからデータを収集し、空調・照明の自動調整や災害時の安全かつ迅速な避難経路への誘導を行っています。マンション管理業務に人工知能を導入することで、設備の管理負荷低減と入居者の快適性の向上を実現し、エネルギー効率や運用管理コストの最適化へとつなげることが可能となります。

私たちに一番身近な事例としては、「お掃除ロボット」が挙げられます。お掃除ロボットに搭載されたセンサーが作動・察知して障害物を避けて掃除をしてくれます。お部屋の形状や家具の配置などを地図として学習することで、お部屋全体の掃除をどうすれば効率よく行えるかを機械が考えて掃除をしてくれますし、掃除が終われば勝手にホームベースに戻って充電を始めてくれるため、人が介在することなく、手間のかからないお掃除が実現できます。

参照: みずほ情報総研 [特集] 人工知能の可能性とビジネスへの活用
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/navis/030/special.html

増加するチャットボットの導入

企業が取り扱うデータ量が各段に増えたとはいえ、膨大なデータを取得・分析・活用できる企業はまだ一握りであるというのが現実なのではないでしょうか?
これまで企業が扱ってきた以上の大容量かつ多様なデータを扱うためには、人工知能を使って何をしたいか(目的変数)を明確化した上で、活用するデータの種類(構造化/非構造化)やボリューム、取得頻度を整理・分析し、データを使えるようにマイニングや環境構築を行った上で、構文解析(自然言語処理、形態素解析)技術やトピック分類/文章類似度測定技術などを活用して人工知能の学習モデルの設計・構築を行い、運用を開始することが求められます。人工知能を有効化するために投じる膨大な予算やリソース、難易度を考えると、安易に手を出せない企業が多いというのが実情です。

そのような企業でも、業務効率やコスト削減、お客様対応力を高める目的で「チャットボット」を導入するケースが多く見られるようになりました。
当社でも、想定される質問とそれに対する答えをルール(教師データ)として紐づけたプログラム型のBotや、ルールを学習させる方法を機械に教え込み、入力された文章に対する適切な答えを確率的に計算して回答文を自動生成する機械学習型のBot、機械で回答できない場合は有人チャットに引き継ぐチャットボットと有人チャットのハイブリッドサービスの構築などの相談や事例が増えつつあります。
お客様からのお問い合わせに応対するという特定の機能に特化しているチャットボットではありますが、利用する時のお客様の心理的障壁の低さも手伝って、利用効果は比較的高くなる傾向が見られます。

今後のマーケティングにおける人工知能の活用

人工知能の話には「2045年の問題」が付きまといます。2045年にはコンピュータの能力が人間を超えて、技術開発と進化の主役が人間からコンピュータに移る特異点(シンギュラリティ)に達すると言われており、コンピュータが人間と同様に「意識」を備えて、人間をはるかに超える存在になるかもしれないという懸念が広がっています。
四則演算や情報処理の能力はコンピュータの方がはるかに高いですし、何をもって「意識」を持ったと考えるのか?人間的な思考をそもそもコンピュータに求めるのか?などの白熱した議論はこれからも絶えないかと思いますが、少子高齢化による労働人口の減少や、多様化するお客様への最適化が必須となっている現在において、「今まで人が行ってきた仕事の一部を機械(人工知能)が代行する」トレンドは今後も活性化していくものと考えます。

マーケティングにおいては「個客への最適化」をテーマに、蓄積されたデータを学習し、データから特徴を抽出し、お客様の行動予測に基づき、統計的・合理的な最適解を導き出す役割を“人工知能”が、加齢や時代が変わると好みが変化したり、時に感情的で合理性に欠く判断をするお客様の心理変容・行動変容をどのように起こしていくかの判断は“人”が担う「人とコンピュータが共存する未来」になっているかもしれません。
人とコンピュータが共存する明るい未来を想像して、私たちマーケターは人工知能の知見を深め、マーケティングにおける積極的な活用を実践していく必要がありそうですね。

参照: 機械学習のマーケティング活用、ポイントを総まとめ~「MarkeZine Day 2016 A.I.
https://markezine.jp/article/detail/24448?p=2


執筆者:山本 知拓

株式会社ジェネシスコミュニケーション
執行役員


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ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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