高いROIを獲得!ABMを実践するための4ステップとABMが広がらない原因
BtoBマーケティングの手法として、ABM(Account-Based Marketing)に注目が集まっています。そもそもABMとはどんな手法でしょうか?この記事では、ABMという手法がどのようなものかをセミナーレポートからご説明した上で、2018年現在、ABMがなぜ広がらないのか?という現状の問題点について記載させて頂きます。
「MarkeZine Day 2016 Autumn」の講演において株式会社マルケト代表取締役社長 福田康隆氏によると
「営業とマーケティングが連携し、高い収益をもたらす可能性の高いターゲットに対して、適切なコンテンツの提供やキャンペーンを実行する。その結果、新規開拓からリテンションまで一貫した顧客体験を提供することで売上を最大化する」ための取り組みを指すといいます。
この説明は、ABMがどのような手法かを簡潔に定義してありますが、最も大事なのは、「高い収益をもたらす可能性の高いターゲット」を狙うという点だと言えます。
MA(マーケティングオートメーション)を活用した一般的な手法では、とにかくたくさんの見込客を集め、メールコミュニケーションを行い、メールの開封やURLクリックなどの反応度合いに基づいて「有望見込客」を絞り込みます。
一方、ABMでは上記のアプローチとは異なり、まず、見込客データを分析、業種や企業規模、事業環境などから、自社にとって有望と思われる見込客を選定し、彼らの反応を高めるようなコミュニケーションを立案・実行します。
従来の手法を大小にかかわらず全部の魚をまるごとさらってしまう、地引網漁法に例えるなら、ABMは、クジラなどの大きな魚を狙ってモリを直接打つ漁法です。
したがって、マルケトの福田氏によれば、ABMが成功するためには、下記2つの条件に合致する必要があると指摘しています。
①大手の重要顧客がターゲットであること
②似た特徴を持つ顧客グループがターゲットであること
このような、少数の重要な顧客をターゲットとし、営業活動を行う場合に、ABMという手法が非常に効果的です。
また、ABMを実践するためには4つのステップを踏まねばなりません。
1つ目は、ターゲット企業を特定するというステップです。ABMでは、前述したように、企業を分析し、その特徴別にグルーピングを行い、自社の戦略上、重要と位置づける企業に優先順位をつけるのです。
2つ目のステップでは、ターゲットとなる企業の詳細なプロファイルを作成します。ターゲット企業に関する様々な情報を集め、詳細なプロファイルを作り出すことで、具体的かつ効果的なアプローチ方法を編み出すことが可能になります。
とりわけ、対象企業の組織構造を把握し、様々な部署に点在している見込客を特定することで、後述するように、異なる役割やニーズを持つそれぞれの見込客に最適なコンテンツを提示することが可能になります。
>具体的なコンテンツ提案やキャンペーン提案を行うのが、3つ目のステップとなります。セグメントで分類をした顧客に対して、どのようなコンテンツを提供することが最適なのか、どのようなアプローチでの提案が最適なのかをマッピングします。
最後のステップが、行った施策の効果測定です。ここで重要なのが、営業部門とマーケティングがうまく連携するためにも、効果測定のためのツールを導入し、キャンペーン等の成果を数字で語れる環境を整備しておくという点です。ツール導入により、明確な目標が見えやすくなり、部門を超えてその目標に向かって取り組むことが可能になります。
ABMという手法がもてはやされて1年が経ちました【2018/01/21追記】
BtoBマーケティングの業界では、ABMがもてはやされた時期がありましたが、今は下火になっているのではないでしょうか。クライアントと打ち合わせをしていても、メディアでもABMというキーワードを聞くことは殆どなくなりました。その原因は、この記事にあるようにABMを実践できるような企業がほんの一部の企業にすぎないからだと考えられます。99%以上の企業はABMという手法を知っても、うちには関係ないなと思ってしまったのだと思います。
いくらROIが高まるからと言っても、大企業を相手に本当にROIが高めることが出来るのか?大企業に対して効果的なコミュニケーションを実施したところで、大企業特有の政治的なつながりを打破出来るのか?ABMについては、新しさもあって当初は注目されましたが、いまだにABMで成功したという声は殆ど聞こえてきません。ABMを実践した企業もたくさんあるのでしょうが、大企業を攻略出来ない原因は、マーケティングにあるのではなく、政治的な部分の方が大きかったということではないかと考えます。
ただ、一つABMという手法を活かすことが出来るシーンはあると思っています。それは、ターゲットとなる営業先企業数が少ない場合です。このような場合は、数少ない企業から確実に売上を上げる必要があります。1社でもいい加減なことはできないわけです。そんな企業にこそ、ABMは使えるのだと思います。
ただ、その場合もコンテンツ作成など非常にコストがかかることも必要となります。ABMも実践段階になると途端にコストがかかる手法です。ターゲットとなる営業先が少ない業界で大きな売り上げと利益を上げることが出来るのはほんの一部です。そう考えるとコストの側面から見てもABMが広がらない理由があるのだと思います。
今回、ご紹介した情報の詳細はこちらをご覧ください。
「他の施策より高いROI」と評価の高い注目手法“ABM”、マルケトが語る“実践のための4ステップ”
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