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なぜ注目を集めているのか?ビジネスシーンにおけるブロックチェーンやNFT

ブロックチェーンやNFTについて、実際にビジネスの現場でどのように活用し、どういう効果が出ているのでしょうか。マーケターとして最低限押さえておきたい、ブロックチェーンやNFTの実務での使われ方についてまとめていきます。

参考:以前のエントリーでは、ブロックチェーンやNFTの基礎知識をまとめています。

目次

ブロックチェーンとビジネスシーン

暗号通貨の基盤として発展してきたブロックチェーンやNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)について、以前のエントリーでは、食品のトレーサビリティ(追跡可能性)や所有証明書のようなわかりやすい例について触れました。

改めて、ブロックチェーンの4つの特徴についておさらいします。

1 情報の信頼性がとても高い
2 自律分散型システム
3 データの改ざんが非常に困難
4 システムダウンに堅牢

今回はさらに一歩踏み込んで、実際のビジネスでの活用シーンや効果について考えます。現状では、1〜4の特徴から考えやすいファイナンスやリーガル分野での活用が一歩先んじています。例えば、特許情報のデータベースを取り扱うプラットフォーム「IPwe」(※1)は、ブロックチェーンとAIによるNLP(Natural Language Processing:自然言語処理)を組み合わせることで、世界の特許情報のうちの約8割を網羅するデータベースを作り上げました。NLPで特許情報を分析・整理し、ブロックチェーンで各特許を一意のものとしてトークン化したわけです。

従来なら、人間が特許文書や特許内容を精査する必要があり、手間や工数に大きなリソースを割かれてきました。これによって、短時間で特許の独自性を判断できるようになり、効率的な投資につながります(※2)。

参考:
※1 IPwe
※2 AI and Blockchain help discover and transact IP

その他、2022年2月に開催された北京冬季オリンピックでは、初めて外国人向けにデジタル人民元の実証実験が行われるなど、CBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)が注目を集めつつあります。CBDCとは、デジタル化されていて、円などの法定通貨建てで中央銀行の債務として発行される通貨のことです。

CBDC

上は、CBDCを巡る状況をベン図で表現

実証実験が行われているデジタル人民元以外に、韓国の中央銀行もデジタルウォンの実証実験を行っています。この実験では、ビットコインの取引を担保するために生まれたブロックチェーンを実際の法定通貨のデジタル化に利用し、越境取引やオフラインでの取引などさまざまな通貨としての取引に利用しようとしています(※3)。

参考:
※3 GroundX Partners with ConsenSys, Wins Bank of Korea Central Bank Digital Currency Project

NFTとビジネスシーン

ブロックチェーンだけでなくNFTも、さまざまな用途に利用されています。例えば、アメリカのプロバスケットリーグNBAは、ブロックチェーン技術を提供するカナダのベンチャー企業「Dapper Labs」とともに「NBA Top Shot」(※4)というNFTマーケットプレイスをオープン。各プレイヤーの名場面をデジタルアートとしてNFT化し、販売する試みを行っています。

参考:
※4 NBA Top Shot

NBAの名場面をNFT化

ユーザーは、NBA選手の名場面をNFT化されたカードとして購入。レア度が高いカードは、マーケットを通じて高値で売買されます

例えば、アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス・レイカーズに所属する(2022年5月現在)レブロン・ジェームズ選手がダンク・シュートを決める場面のNFTは、38万7,000米ドル(約4,000万円)という非常に高価な価格をつけています。

ブロックチェーンのマーケティング活用

マーケティング分野について見ていくと、ブロックチェーンが活用されているのが、Ad Fraud(広告詐欺)対策です。Ad Fraud(アド・フラウド)とは、広告主が広告を支払っているにも関わらず、望んでいる成果につながらない詐欺的な広告の消化のことを指します。

現在もさまざまなアプローチがアド・フラウド対策として用いられています。例えばインドでは、毎年約22%の広告費がアド・フラウドとして消えていました。これに対して、インドのタイヤメーカーCEATは、配信先やクリック、コンバージョンパスを明確にできるブロックチェーンを使った広告配信プラットフォームを利用し、インダストリー平均30%のViewability(ビューアビリティ:可視性)が70%を記録。eCPM(effective Cost Per Mille:広告表示1,000回あたりの事実上の費用)を52.3%減少させることに成功しました(※5)。

参考:
※5 Case study: CEAT Blockchain | Isobar

NFTのマーケティング活用

NFTのマーケティング活用は、まだ“流行りもの”という段階で、主にブランド認知向上のために使われることが多いです。例えば、Pizza Hut Canada(ピザハット カナダ)は4種類の新しいピザメニューを発表し、そのプロモーションの一環としてNFTマーケットプレイス「Rarible」(※6)で、世界初の1 Byte Favorites(8bit で1 byte = ひと噛み)というNFTピザをリリースしました。0.0001 ETHで売り出されたこのNFTは、その目論見どおり大きな話題となり、現在は75ETH(約440万円)となっています(※7)。

参考:
※6 Rarible
※7 出所:Pizza Hut Launches New 1 Byte Favourites Pizza(CISION)

その他にも、イタリアのファッションブランドDolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)は、The Glass Suitというデジタル商品(NFT)とリアル商品を組み合わせたコレクションCollezione Genesi(ジェネシス コレクション)を発表し、オークションが行われました(※8)。

特に「The Glass Suit」と呼ばれるスーツは、約1億円以上の値がつき、落札者は4Kデジタルアニメーションと静止画、そして2年以内に引き換え可能な好みのメタバースでのカスタムスーツ、およびミラノに招待され1年以内に作られる自分の体に合ったスーツ、そしてGlass Suitに関する2週間の展示会および2年間にわたるイタリアでのDolce&Gabbanaのアトリエのプライベートツアーへの参加権を手にすることができました。ラグジュアリーブランドとしては初めてとなるNFTコレクションは、ブランドの先進性をアピールする上でも大きな意味を持ったと言っていいでしょう。

参考:
※8 出所:The Glass Suit – Dolce & Gabbana go digital, physical & experiential(Bits of Blocks)

筆者が考える今後ですが、ブロックチェーンは堅牢さから、アド・フラウドだけでなく顧客に向けたポイント制度といった、ロイヤリティプログラムなどへの活用がさらに広がると見ています。一方のNFTは、デジタルで唯一の価値を与えることができる特性に注目しておくと、今後の展開に反応しやすいでしょう。


野澤 智朝(のざわ ともお)
現役マーケター。「ニテンイチリュウ」運営者。デジタルクリエイティブ、デジタルマーケティングに関するメディアで連載を担当してきたほか、各種記事の寄稿多数。


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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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