山本知拓

コンテンツマーケティングの成功の秘訣は、「量より質、量より仕組み」

今回は、実際の現場で相談件数が増えているコンテンツマーケティングについて、現場目線を交えながら、考えていきます。特に見込客へのアプローチとして、自社商品/サービス基点の記事量産を求める声が多いのですが、果たして適切な対応なのでしょうか?

目次

本当に見込み客は、量産した記事を読みますか?

「新規顧客」の獲得は、ビジネスを成長させるための必要不可欠な条件であり、どの企業も新規顧客の獲得に向けた活動に積極的です。広告宣伝、広報活動、セールやキャンペーン展開、セミナー/イベントの開催、SEO、SNSでの情報発信など、さまざまな活動が行われています。

最近では、見込客へのアプローチ手段としてコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えており、プロジェクトMTGや新規お取引のご相談の際に、コンテンツマーケティングという言葉が出現する割合が以前よりも高くなってきていると感じます。

コンテンツマーケティングについて、実際にお打ち合わせをしてみると、「〇〇商品の特徴や活用の仕方などの情報を自社メディアのコンテンツとして継続的に記事化していきたい」とか、「△△サービスに関連する専門用語をわかりやすく紹介していきたい」など、自社商品・サービスを基点とした記事の量産をテーマとしているケースが多いように思います。

「オウンドメディアを立ち上げて、コンテンツを量産する」

確かにコンテンツは多くあると自然検索で記事に到達する可能性は高くなるかもしれませんが、閲覧して欲しい人(見込客)に記事を見てもらえるようになるのでしょうか?
見込客に見つけてもらって望む行動を起こしてもらうには、「量より質、量より仕組み」を考えるべきなのではないでしょうか?

コンテンツマーケティングの定義とは?

アメリカのコンテンツマーケティング・インスティチュートが定義するコンテンツマーケティングとは、

コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方。見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする」とされています。

ここで着目すべきは、
(1)見込客を明確に定義し、
(2)その人に適切で価値ある一貫したコンテンツを制作し、
(3)関係性の構築や利益に結びつく行動を促す
ことにあります。

誰を対象としたメディアとしていくか?その人にとって適切・価値あるコンテンツとは何か?その人に良いと評価してもらう/継続的にサイト来訪してくれる/気づきを与えて行動したいという気持ちを高めるために、コンテンツマーケティングをどう考えていくべきか?
この視点を欠いてしまうと、お金をかけてコンテンツを量産しても、効果の期待できない施策となり、尻つぼみしていく結末を迎えてしまうことになります。

見込客の明確な定義

コンテンツマーケティングを展開したい企業の方とのお打ち合わせで「見込客(ターゲット読者)」をテーマに議論してみると、幅広く全方位的に考えているか、「生命保険」や「情報セキュリティ」など特定のキーワードで情報検索しているような、その瞬間にニーズが顕在化している人という非常に狭い範囲で考えているか、いずれかの話をされるケースが多いと感じます。

弊社のオウンドメディア「マーケの強化書」を例に少し掘り下げてみます。

マーケティング会社であるジェネシスのサイトは、以下のようなお客様が来訪されていますが、弊社では下記すべてのお客様に向けてコンテンツを制作している訳ではありません。

これらお客様の中で、誰をターゲットとして考えていくか?を整理するにあたり、そもそも何を目的にコンテンツマーケティングを展開していくか?を整理する必要があります。

ジェネシスが「マーケの強化書」を運営する目的は、ジェネシスのマーケティング成果にこだわる姿勢、課題へのアプローチの仕方やマーケティング実践力に対する理解を深めてもらい、お取引を活性化させることにあります。
ジェネシスの経営メンバーは、元々電通グループでCRMやダイレクトマーケティングを専門領域としたコンサルタントで構成されていることもあり、「可能性の高さ(距離感の近さ)」を重視しています。

関係性の近しい企業が抱えるマーケティング課題をテーマ設定することで、ジェネシスとの接触機会を高めることに繋がり、メルマガ登録やご相談などの行動に結びつく可能性が高まるという仮説にたどり着きました。

 

見込客に適切・価値ある情報~クレジット会社を例に

ターゲットとする見込客を定義した後は、どのようなコンテンツを提供していくか?を検討することになります。
コンテンツの切り口を検討する手段として、検索キーワードツールを使って、どのような情報が求められているかを確認するケースは多いと思います。

弊社でも先日、クレジットカード会社のコンテンツマーケティングの検討会議において、「クレジットカード」というキーワードとあわせて検索される第2キーワードについてのデータを検討材料として提示しました。

一緒に検索されているワードとして目につくのは、「おすすめ」「ランキング」「比較」「還元率」「審査」「キャッシング」「ポイント」「手数料」などがありましたが、検索数が多いからといって、これらに対応するコンテンツを特定のクレジットカード会社が用意するというのは、あまりにも安直です。

これらに対応するコンテンツはインターネット上に山ほどありますし、特定のクレジットカード会社が用意するコンテンツとして適切で価値があるかを考える必要があります。

審査・ポイント・手数料・特典などの基礎知識については、お客様の視点で解説するコンテンツがあっても良いと思いますが、日常生活における煩雑さや不便・不満などの「不」を解消できる利便性の高さや、ターゲット顧客の価値観やライフルタイルに基づいて、日常の支払いをカードに切り替えることで享受できる様々なメリットを、利用者のインタビューも交えながら記事化していくこと(ターゲットの悩み・ニーズ・インサイトに基づいた「重層構造化」)も考えていくことで、情報価値を高めると同時に入会欲求喚起を促すことに繋がっていくのではないでしょうか。

先に例示した「マーケの強化書」では、関係性の近しい企業がマーケティングにおいて課題としていること、マーケットトレンド、マーケティングテクノロジーなどの最近動向、セミナー情報、ジェネシスのアプローチや新しい取り組みなどをテーマに記事を執筆し、「今日から使える実践的マーケティングナレッジ」として、企業のマーケティングをより実践的なものとできるような情報提供を心掛けています。

関係性の構築、利益に結び付く行動喚起促進

コンテンツマーケティングの検討会議では、提供するコンテンツに意識が行きがちですが、「見込客を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促す」ことを展開目的としていることから、見込客との接触を継続すること、見込客との距離を縮めていくことを考えることが重要です。

注目度の高いテーマで記事化する、関連するサービスの導線を設置する、個別記事にSNSシェアボタンを配置するなどの取り組みを考える一方で、オフィシャルSNSを運営していれば、記事の公開とあわせて「#マーケティング」などのハッシュタグを付けて記事公開のお知らせを情報発信することを検討することもできます。

また、メールアドレスが取得できれば定期的にメルマガ配信することもできますし、MAを導入していれば、見込客の閲覧情報やサイト内行動に基づいて、興味を持ちそうな記事や商品・サービス紹介メールを自動配信して、再来訪や行動喚起を促すようにシナリオを組むことも可能です。

コンテンツマーケティングの成否をどう評価していくかなど、他にも検討すべきテーマはありますが、コンテンツマーケティングの展開において、このような視点で検討・実践できているかを今一度確認してみてはいかがでしょうか。



執筆者:山本知拓
株式会社ジェネシスコミュニケーション
執行役員


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