強調スニペットがオウンドメディアのアクセスにどの程度影響するか
「検索0位」とも呼ばれている強調スニペット。Google検索をすると上部に表示されるアレです。
今回は、弊社のオウンドメディア『マーケの強化書』のケースから、強調スニペットがどの程度アクセスに影響を与えているか、実例の数字を使いながら解説したいと思います。
この手の記事は、海外サイトの記事を和訳したものが多く、なかなか日本国内の実例で解説されている記事がないので参考になればと思います。
実例数値を公開
検索の条件
サーチコンソールの結果画面を用いますが、条件は分かりやすく下記とします。
- PCでの検索のみ(SP、タブレットは除外しました)
- 単一KWD「マーケティング」で検索された結果
- 期間は、2020年1月5日~2021年4月30日
それでは結果のグラフをご覧ください。
期間トータルでの推移
期間中(20年1月~21年4月)、単一KWD「マーケティング」でGoogle検索された回数は519,805回。クリック数は20,489回となっています。要するに、約52万回検索されて弊社の記事にアクセスがあったのがざっくり2万回ということです。CTRにすると3.9%。平均掲載順位は3.7位だったということが分かります。
グラフをご覧いただいて分かることとして、
- 紫色の表示回数の折れ線は、平日に増え土休日に落ち込む動きを年間で続けており、季節要因などの大きな凸凹は見当たらない。
- 青色のクリック数の折れ線は、紫色の表示回数と比べると凸凹が大きい。特に、2021年以降下落が激しい。
- 平均検索順位を示すオレンジ色の折れ線は、おおむね横ばいも直近(2021年3月以降)順位の下降が激しい。
ここまででおおよそ答えが出ているのですが、分かりやすくするために2020年と2021年以降で期間を分割してみます。条件は期間以外は同じです。
2020年の動き
上のグラフは、2020年に絞ったグラフです。条件は期間トータルと変わりありません。
検索表示回数(紫色)は383,926回
クリック数(青色)は18,382回
クリック率は4.8%
平均掲載順位(オレンジ色)は3.6位
となっています。
- 検索表示回数の変動に季節性は見られません。
- 週末になると落ち込む、ビジネスのKWDと言えます。
- クリック率と順位の関係もあまり変化は見られません。
- 検索順位が1位近く(オレンジ色の折れ線の最上部が1位です)でもクリック率は大きく変わりません。
それでは、2021年の動きを見てみましょう。
2021年の動き
同じ条件での2021年の動きです。
検索表示回数(紫色)は135,879回
クリック数(青色)は2,107回
クリック率は1.6%
平均掲載順位(オレンジ色)は4.1位
- 検索表示回数は、概ね2020年と同じ水準で推移しています。(2021年は4ヶ月で135,879回です。これを3倍すると407,637回となり、2020年の383,926回とほぼ同レベルの数字になります。)
- 一方、クリック数は1.6%と2020年比の1/3ほどに激減しています。
- 平均掲載順位は4.1位ですので、2020年の3.6位と比べると若干落ち込んでいます。
検索0位、強調スニペットの影響について
わかったこと
Googleの検索は日々進化!?を続けており、強調スニペット自体もアップデートが繰り返されています。今回の「マーケティング」単一KWDに、強調スニペット自体がいつ導入されたかは定点で追っていなかったため分からないのですが、確実に自然検索の流入は減少しています。
弊社サイトの今回のケースでいけば、サイト自体は大きく変更をしていないにもかかわらず、CTRは2020年の4.8%から2021年の1.6%まで3ポイントほど減少しています。
強調スニペットが挿入されたことで、自然検索で上位に表示されていても、実際の位置は下部に(スクロールをしないといけない位置まで)下がっています。
つまり、同じ掲載順位でも、これまでは表示されていた位置が大きく異なるためアクセスが減るのであろうと思われます。
また、言葉の意味を知りたい、検討度合いの低めのユーザーは強調スニペットに表示された内容で満足してしまい検索結果のページへリンクせずに去ってしまうことも起きているでしょう。
弊社は、「マーケティング」で検索をしてくるユーザーは、正直それほど相手にはしていないところもあり、実際のビジネス面への影響は少ないのですが、SEOを強化して自然検索だよりになっているサイト、メディアへの影響はかなり大きいものと思われます。
ちなみに、今回はPC版のみでお伝えしましたが、この傾向はSP版での検索でもほぼ同じ結果よりむしろSP版の方が顕著な結果になっていました。
自社の情報をオウンドメディアで発信→自然検索での流入を得てビジネスへ貢献という従来のスキームも、特にビッグ系のキーワードでは見直す必要があるのかもしれません。
執筆者:田代靖和
株式会社ジェネシスコミュニケーション
マーケティングコンサルタント