MAの導入検討時に理解しておきたいこと:基幹システムとの連携
MA(マーケティングオートメーション)は、顧客・見込客の属性やWebサイトの閲覧行動、購買履歴などの「セグメント基準」に応じて、適切なコンテンツやオファーをパーソナライズ(個別化)して届けることができる機能を持っています。
この機能は、いわゆる従来の「CRMツール」にも実装されていたものです。ただしMAにおいては、例えば
特定のWebページに閲覧した方をターゲットリストに自動的に追加し、そのターゲットリストに対して関連するコンテンツをWebサイト上に表示させたり、eメールで送信する
といった一連のやりとりを自動的に実行させることができます。
こうした顧客・見込客のダイナミックな行動に沿ったコミュニケーションシナリオは、従来のCRMツールでもある程度の自動化が可能です。しかし、MAほどには複雑なコミュニケーションシナリオを組むことができません。
さて、ターゲットリストを作成するためのセグメント基準が、あらかじめ登録されている属性情報や、タグを埋め込んでおけば捕捉できるWebサイトの閲覧行動であれば、MAの標準機能を用いて簡単にコミュニケーションシナリオを設定できます。
しかし、「購買履歴」に基づいてきめ細かなコミュニケーションを行いたい場合、多くの企業では基幹系ITシステム内のCRMシステム、すなわち「顧客データベース」との連携が必要になります。
ここでCRMシステムの「顧客データベース」とは、一人ひとりの顧客の購買履歴が取引ベースで詳細に蓄積されているものです。そして、「取引ベース」とは、1回の買い物でどんなアイテムを何個、いくらで買ったか、その1回のお買い物の合計金額はいくらだったかまでがわかる形ということです。
購買履歴を活用したパーソナライズド・コミュニケーションとしては以下のようなものがあります。
・パソコンを購入するという顧客の購買行動に対応して、周辺機器の外付けハードドライブを推奨する
・プリンタートナーの最新購買日から2か月間購入がなかった顧客に対してトナー購入を促す
・過去1年間の累積購入金額に応じて優良客対象の割引クーポンを送付する
このようなコミュニケーションシナリオを組むためには、CRMシステムの顧客データべース内から所定のデータを抽出し、必要に応じて演算を行い、MAにそのデータを渡すといった一連の処理が必要です。
なお、MAの中にデータベースを作成できる機能を持つツールもあります。ただ、基幹システム内の顧客データベースの中から必要なデータをMAのデータベース内に移管し、各種データの抽出・演算プログラムを組むカスタマイズ開発の工数はどちらにせよ発生します。
MAは究極のOne-to-Oneコミュニケーションが可能なツールというのはあながち誇張ではありませんが、顧客・見込客に関わるデータを統合し、最大限活用しようとする場合、MAを導入するだけではなく、様々な外部システムとの連携のためのカスタマイズ開発が相応に必要になることを忘れてはいけないでしょう。
また、そもそも
どんな顧客・見込客情報を活用してどのようなターゲットリストを作成し、そのターゲットリストに対してどのような適切なコンテンツやオファーを提示するか
という「コミュニケーションシナリオ作成」には一定のノウハウや経験が求められます。
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