マーケティング心理学 消費者の心を刺激する5選
iPodが壊れて使い始めた「Apple Music」。とりあえず無料期間が終わったら、一回解約しようと思っていましたが、結局なんとなくそのまま利用中です。こんな風に、なんとなく使い続けているサービスが皆さんにも1つはあるのではないでしょうか?
一定の無料期間が設けられていることが多いサブスクリプション型サービスですが、無料期間が過ぎても、そのまま使い続けてしまうこの行動に心理学が関わっているのはご存知でしたでしょうか。詳しくは、この記事の中でご説明しますね!
このような人の心理を汲み取って、商品やサービスを利用しやすくする、購入しやすくする工夫がメルマガの件名だったり、商品やサービスのセールスコピーだったりと、身近にたくさん潜んでいるんです。
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キャンペーン施策やメルマガ企画に盛り込める!使いやすい心理学
例えば、毎月送っているメルマガや定期的に行われるキャンペーン。より多くの人の反応をとりたいと思いつつも、いつものキャンペーンだからと同じようなキャンペーンタイトルや言い回しになりがち。そんなときに取り入れやすい心理学を5つ紹介します!
(1) <シャルパンティエ効果>
シャルパンティエ効果は、イメージによって、大きさや重さの判断が変わってしまうことを言います。大きさや重さの錯覚ともいわれます。
よくたとえられているのは、「2000㎎のビタミンC」と「レモン100個分のビタミンC」。なんとなく「レモン100個分」の方が、いっぱいビタミンCが入っていそうな感じしませんか?
なんか効きそうな気がする…!【シャルパンティエ効果】が発揮されている事例
永谷園の1杯でしじみ70個分のちから(≒オルニチン25mg)
とても有名ですね。「オルニチン25㎎含有」と言われてもピンときませんが、「しじみ70個分」と言われると、お椀1杯にしじみの成分などがいっぱい入っていて、なんだか体にとてもよさそう!という気がしてきます。
伊藤園の1日分の野菜
コンビニやスーパーのドリンクコーナーでよくみるあれです。「野菜350g分」を「1日分の野菜」と強調しています。1日に必要な野菜を、飲むだけで手軽に摂取できるなんて…!と、食べるよりもこっちの方が良さそうと感じとれるコピーです。
(2) <現状維持バイアス>
人が何か行動をするときに、大きな変化を避けて現状を維持してしまう傾向のことです。冒頭でお話したサブスクリプション型サービスを無料期間が過ぎても使い続けてしまうのは、この心理が働いています。もちろんそのサービスがよかった!ということもありますが、とくに可もなく不可もなくなサービスと思いながらも、そのまま使い続けてしまうのです。
分かりやすい例だと、スマートフォンのキャリア乗り換えとかもそうですね。格安スマホが安いとわかりつつも、なんとなく使い続けている状況も、この心理に当てはまります。また現状維持バイアスは、選択肢が増えるにつれて増大するそうです。つまり、いま使っているサービスの代替サービスがたくさんあればあるほど現状維持する傾向があるということです。
(3) <損失回避の法則(プロスペクト理論)>
現状維持バイアスの理由となる心理なのですが、無意識で人は得をすることよりも「損失」を回避したい気持ちが強いのです。損することを恐れ、損をしないために心理が強く働くので、メリットよりも、サービスや商品を利用しなかった場合のデメリットを訴求した方が行動に繋がりやすいのです。ちなみに、この理論は、ノーベル経済学賞を受賞したカーネマン氏の理論です。
損したくない!【損失回避の法則】を活用している事例
東急プラザのポイント失効のお知らせ
このような感じで「保有ポイントがあと30日で失効です!」「有効期限が迫っています!」などといったメルマガやお知らせ。なんとなく焦って早くポイントやクーポンを使わねば!と思いませんか? ポイントのプレゼントよりも「持っているポイントがなくなってしまう、このままでは損してしまう」と思わせて、購買に繋げているのです。
(4) <決定回避の法則>
選択肢が多すぎると人は選べず、決定することを避けるようになってしまいます。どうしても選択肢が多くなってしまう場合は、オススメや特集などをして「決めやすくする工夫が必要」です。さらに近年は情報過多により「決めることに疲れている」人が増加していると言われています。MAなどのマーケティングテクノロジーを活用して各々のお客様にとって決めやすい選択肢を提供していくことも大切になってくるでしょう。
(5) <マッチングリスク意識>
冒頭のApple Musicの件で触れましたが、マッチングリスク意識とはサービスや商品を購入する前、もし自分に合わなかったらどうしよう…という不安な心理状態のことをマッチングリスク意識と言います。
よくあるサブスクリプション型サービスのように無料期間を設けて、購入時の不安感を払拭してあげられるコンテンツやコピーを用意するとよいと思います。
買って合わなかったらどうしよう…【マッチングリスク意識】をくんでいるキャンペーン事例
FREETELの30日間返品返金保証 お試し購入キャンペーン
出典:https://www.freetel.jp/campaign/returned/
※こちらのキャンペーンは終了しています
最近格安スマホのシェアが10%を超えたニュースがありましたが、「通信速度がキャリアより遅いのではないか」「自分の行動範囲で電波は問題ないのか」というマッチングリスク意識を解消させるキャンペーン事例です。
デオナチュレの無料お試しキャンペーン
出典:https://deonatulle.jp/sampling/
※こちらのキャンペーンは終了しています
こういった商品は使ってみないと実際効果があるのかわからないことが多いもの。まずは無料でプレゼントしてマッチングリスクを回避しお客さまに一度は使ってもらう。そして商品認知の獲得と商品の効果を実感してもらおうというキャンペーンです。
コピーの中で目立つように、「売上No.1」とありますが、これも「バンドワゴン効果」という行動心理を利用しています。みんなが使っている・流行っているから、買うことが当たり前という印象を与えています。
比較的健康食品やサプリメント、化粧品など、試してみないと合うかわからない商品に多く使われています。
企画書のタイトルから取り入れてみてはいかがですか?
いくつかの事例を紹介しましたが、キャンペーンでなくても日々の業務の中でも心理学を活かせるシーンはたくさんあります。メールの件名や提案資料のタイトル、バナーのコピーなどなど。取り入れやすいものから使ってみてはいかがでしょうか? ただ最後に1点だけ。心理学の盛り込みすぎは逆効果になるので注意です!!適度に使いましょう!
2018/3/19に公開した記事を再編集してお送りしました。マーケティング心理学これからもまだまだ続きます。