松山メジャー優勝の鍵はパット貢献率。データから見る松山の課題。
松山優勝できませんでした。全米プロ選手権、惜しかった。
4日間通算72ホールで、63ホール目では単独首位に立ったものの、最終的には5位でした。
こんにちは、ジェネシス代表の杉田です。
このコラムではデジタルの楽しみ方や仕事術などについてお話ししていこうと思っているのですが、今回注目してみたいのは「スタッツ」です。
スタッツ(stats)は、statistics(統計)の略。スポーツで、チームや個人のプレーの成績をまとめたものをいいます。今回は、ゴルフのスタッツを元に、松山選手がメジャーで優勝するための鍵が何かを考えてみたいと思います。
まずは、現在の松山選手の強さランキングをスタッツから見てみましょう。このスタッツは8/14現在のものです。
(出典元:GDOゴルフダイジェストオンライン 松山選手スタッツ)
ゴルフに詳しくない方でも、松山選手の活躍はご存知でしょうが、現在世界ランキング2位。
これは2年間の試合での結果を総合しているランキングで全ツアープロ選手における強さを表しています。賞金ランキング1位。ちなみに石川遼選手は、世界ランク177位です。
松山選手のスタッツで、まず目を引くのは、バーディー率1位、パーブレーク率1位でしょうか。全PGAツアー選手で一番バーディーが期待できる選手ということになります。バーディー率は、1ラウンド当たりのバーディー獲得率。パーブレーク率は、バーディーかそれより良いスコアを獲得する率。
バーディー以上を獲得した総ホール数÷総ホール数で求められます。考え方は、野球の投手・防御率と似ていますね。防御率は、投手が規定イニングでいくつ自責点を取られるかを平均した数値のことです。
さて、こうやって見ていると、松山選手にメジャーが勝つ実力があると言われることにはおおいにうなずけます。両スタッツとも2位のJ.トーマスは全米プロ優勝、3位のJ.スピースは全英優勝、全米優勝、マスターズ優勝ですから。
でも松山選手はまだメジャーで優勝できていません。
注目したいのは、パット貢献度です。「パット貢献度(ストロークス・ゲインド・パッティング)」は、ツアー出場選手平均と比較してグリーン上のパフォーマンスでどれだけスコアを稼いだか、1ラウンドあたりの「パット貢献度」を評価するランキング。短い距離をはずすと貢献度は下がり、長いパットを入れると貢献とは上がります。パット貢献度は、松山147位、トーマス40位、スピース52位。
平均パット数で見ると5位なのに、パット貢献率は147位。つまり、松山は、ショットでピンそばに付けてバーディーを獲得出来るけど、パターが上手くないので、パットをはずしがち。特にツアー上位選手が普通に入れる距離のパットもたまにはずので、パット貢献率が低いということになります。
メジャー大会は、通常の大会よりもグリーンのピンポジションが難しくなると言われています。ピンポジションが難しくなると、バーディーが獲りやすいところにショットが打ちにくいため、カップから離れたところに乗せるしかありません。もし、攻めて過ぎてしまうとバンカーやラフに捕まる確率が高まります。
したがって、松山のメジャー勝利のポイントは、アプローチの精度を高めてロングパットを減らすこと、またショートパットをはずさず決めることだとと考えられます。
松山選手がメジャー優勝したときは、このパット貢献度が上がっているはずです。
ゴルフ以外では、サッカーやラグビーのスタッツも面白いでしょう。チームスポーツですので、例えばどの距離からの得点パターンが多いかを見ることで、チームのフォーメーションが機能しているかどうかがわかります。個別の選手の走った距離や、ラグビーならタックル数と成功数など。よく細かく数えてるなと感心するデータが公開されています。
さて、ビジネスのスタッツは、要するに「重要業績評価指標=KPI」です。自分のビジネスはどのようなKPIを重要視すべきなのか、改めて考えてみるのもいいかもしれません。自社にとって重要なKPIをスタッツのように一覧化したものは「経営ダッシュボード」や「マーケティングダッシュボード」と呼ばれ、最近多くの企業で導入が進んでいます。
<参考>
サッカーのスタッツ例(鹿島) football LAB http://www.football-lab.jp/kasm/
ラグビーのスタッツ例(サンウルブズ) ラグビーHack https://rugbyhack.com/2017/07/16/sunwolves-144/
執筆者:杉田裕一
株式会社ジェネシスコミュニケーション
代表取締役社長/マーケティングコンサルタント