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マーケティング心理学 コンバージョンUPに効く!コミュニケーションシナリオ設計【第2回】

人間の心理や行動についての実験・研究成果に基づく、相手を説得するために効果あるコミュニケーションテクニック「説得の心理学」。前回は、なぜ説得の心理学が必要なのか、説得の心理学とは何なのか?をお伝えしました。
今回は、説得ポイントと相手側の態度についてご説明したいと思います。

2016年9月に公開した記事を再編集してお届けします。
[初公開:2016.09.07]

目次

説得のポイント1:ウォンツニーズを喚起する

前回、「説得」については、こちらの期待する新しい態度を採用してもらうための働きかけを行うことであるとご説明いたしました。

この「説得」において基本的なポイントのひとつとなるのが、「ウォンツニーズ」の喚起を目指すことです。

「ニーズ」とは「必要としている」という状態。一方「ウォンツ」は「欲しい」という状態です。例えば、私たちは体調維持のために水分補給が必要です。ただし、四六時中水分を欲しているわけではありません。炎天下の外出時にのどが渇き「今、水分がほしい」と自販機やコンビニで思わずペットボトルを手に取ってしまう。これが「ウォンツニーズ」の状態です。

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すなわち、あるものが必要であり、かつ欲しいと人が感じる(「ウォンツニーズ」の状態)ときに最も購買行動が起きやすいのです。

したがって、マーケティング・コミュニケーションにおいては、必要性を訴えるだけでなく、「今、欲しい」、という「欲求」を刺激するコミュニケーションが重要になってくるわけです。

説得のポイント2:納得性原理と親和性原理

次に、「納得性原理」「親和性原理」についてお話ししたいと思います。「説得」と聞くと、「なぜなら・・・だからです」と理詰めで相手を納得させるような話法をイメージされる方が多いと思います。しかし、相手から理詰めで説得され、「理屈ではわかるけど、感情的にはどうしても気が進まない」「腹落ちしない」と感じた経験が、どなたにもあるのではないでしょうか?

これは、「納得度」はあったものの「親和度」が不足していた場合の反応です。

説得のコミュニケーションにおいては、ターゲットユーザーに対して「この製品はこのような特徴を備えています。こんなメリットがあります。」といった「論理的な訴求」を行うと同時に、理屈を超えたところで「これいいなあ、信頼できそうだなあ、好きだなあ。」といった好意・信頼を感じさせる「感情的訴求」を行う必要があるのです。

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「納得性原理」とは、論理的なコミュニケーションを展開して相手に「なるほど」と納得してもらうこと。一方、「親和性原理」とは、相手の情緒・感情に訴えるコミュニケーションを展開して「いいなあ」と感じてもらうことです。

「納得性原理」と「親和性原理」の両方を併用することが、説得の効果、すなわちコンバージョンをアップすることにつながりやすいわけです。

態度の3要素

「説得」とは、相手の「態度(見方・考え方)」を変えるための影響を与えるコミュニケーションという説明をさせていただきました。ここからは、相手側の態度についてご説明をしたいと思います。「態度」は大きくは以下の3つの要素で構成されています。

1.評価

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「評価」とは、製品・サービス、ひいてはその機能や品質についての特徴や便益を理解したうえで行われる「良い/良くない」といった理性的な認識を指します。
例えば、エナジードリンクに対し、あなたはどのような評価をお持ちでしょうか?
多くの方は「飲むとシャキッとする成分が入っている(だから冴えないときに飲むものだ)」「疲れを感じたときに飲むと効果がある(だから疲れているときによく飲む)」といった評価をお持ちではないでしょうか。

2 感情

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「感情」とは、わかりやすく言えば、ある製品・サービスに対して「好き/好きではない」「面白い/面白くない」といった、文字通り情緒的な「気持ち」のことです。「好き」あるいは「嫌い」といった感情には、明確な理由がある場合は少なく、様々な理由が複合的に重なり「なんとなく」そう感じるという場合が多かったりします。基本的には、「好きなものは好き」「嫌いなものは嫌い」というのが感情というものです。

3 行動意図

「行動意図」とは、最終的に「その製品・サービスが欲しい/欲しくない」という行動を起こす意識のことです。「欲しい」あるいは「いらない」という行動意図が生まれるためには、当該製品・サービスの「評価」が高く(良いと思っている)、かつ「感情」的に好意的である(「好き」「面白そう」などと感じている)ことが前提となるわけです。「評価」が低く「好き」でもないものを、ふつうは「欲しい」と思いませんよね。

さらに、「そのうち」ではなく「今」「できるだけ早く」欲しいと思ってもらうことができれば、実際の購買行動が起きやすくなるわけです。

以上が態度の「3要素」です。
最後に、態度の3要素を考慮した好ましい説得の切り口を考えてみましょう。

態度の3要素を考慮した好ましい説得の切り口

まず、よりよい「評価」をユーザーにしてもらうためには、自社製品・サービスの特徴や便益を明確にわかりやすく示し、正しく「理解」「納得」していただく必要があります。すなわち「納得性原理」に基づく「理性的訴求」です。
「エナジードリンク」であれば、「疲れに効く!」といったメッセージです。

次に「感情」を刺激し、自社製品・サービスを「好きだな、面白そう、楽しそう」と感じてもらうためには、親和性原理に基づく感情的訴求をしなければなりません。
「某エナジードリンク」では、エクストリームスポーツのアスリート達を支援し、そうしたスポーツ大会を後援することを通じて「クール」という感情創出に成功しています。

そして「行動意図」を生み出すためには、購入を後押しするような「インセンティブ」を提示することが有効です。
「エナジードリンク」では、インセンティブキャンペーンはほとんどやっていませんが、「缶コーヒー」や「ビール」では、各社とも様々な懸賞キャンペーンを展開して「今買いたい」という気持ちを高めています。

次回は・・・

次回は、具体事例を示しながら、コンバージョンをアップするための具体的なテクニックをご紹介します。お楽しみに。

当記事では、2016年8月3日に開催された「コンバージョンが格段にアップ!Webでのカスタマーエクスペリエンス向上【実践講座】」NTTコム オンライン、ジゾン(現ハートコア)との共催セミナーでの講演内容からの抜粋再編集しています。

セミナーレポートはこちら→

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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