スマホアプリを開発する際に検討すべき7つのこと
ここ数年、クライアント企業より「スマホアプリ開発」に関するご相談を受けることが多くなってきています。スマホアプリ開発をしたいと考える理由は、「プッシュ通知機能」の利用意向が高く、プッシュ通知機能を通じてWebサイト来訪頻度や販売促進の活性化を期待できることにあるようです。実際にアプリで提供したいコンテンツや機能をヒアリングしてみると、Webサイトで提供するコンテンツや機能をアプリでも利用できるようにしたいという“お客様接点の拡充”に視点が置かれたお話をいただくことが正直多いような気がします。
企業の貴重なマーケティング予算を割いて開発するスマホアプリのため、単に“お客様接点を増やす”ということだけで活用するのではなく、企業が求める効果を期待できるアプリとしていくにはどうしたらいいか、本日はこれらの点について少し考えてみたいと思います。
スマホの利用実態
モバイルに特化した調査研究機関のMMD研究所が実施した「スマートフォン利用に関する実態調査」によると、スマートフォンでよく利用する機能は「インターネット」が63.9%/「メール」が52.3%/「電話」が49.6%で、インターネットの利用傾向は高い状況にあります。
一方で、よく利用するアプリの種類をみてみると、「SNS・コミュニケーション」「動画」「天気」「ゲーム」など、個人の趣味・娯楽を目的としたアプリを利用していることがわかります。
確かに通勤などの移動時間やスキマ時間で何をしているか周囲を見渡してみると、LINEやInstagramなどを利用している人は多いように思います。
ニュースやEC/オークションなどは30%前後の利用実態であることは、企業担当者からすると寂しく感じるポイントかもしれませんが、経済産業省発表のEC化率(全ての商取引における電子商取引が占める割合)やスマホ経由の商取引の割合は年々増加しており、企業のマーケティング戦略におけるスマホの重要性は非常に高くなってきている状況にあるのではないでしょうか。
スマホアプリ開発において最も重視すべきこととは?
当社がスマホアプリ開発のご提案を行う際は、「恒常的に利用されるアプリ」とするためにお客様にどのような価値を提供していくのか?という点から検討を始めます。お客様がダウンロードして継続的に利用したいアプリとするには、どのようなコンテンツ・機能を提供すべきなのか?(検討点1)という点は根幹となる価値であり、この価値を提供できない限りダウンロードもアプリのお客様利用も見込むことができなくなるため、プッシュ通知以前の問題が生じることになります。
料理のレシピなど楽しめるコンテンツを提供する/イベントやキャンペーンのお知らせを提供する/おすすめの商品を紹介するなど、更新情報を提供することは可能かと思います。ただそれら情報の提供は、お客様のアプリ利用を十分に活性化することができるのか?という視点で深堀りする必要があるのかもしれません。企業のマーケティング活動においてアプリを有効活用していくためには、お客様からの継続的な支持を得て、コミュニケーションアプローチできる基盤を創ることは、何よりも重要なポイントであると考えます。
アプリであること、アプリのかたち
HTML5・Javascript・PHPなどを使うことで、Webサイトで多くのことを実現することができる現在において、アプリでなければならない理由を考えることも重要(検討点2)です。
アプリである一番の理由は、前述のプッシュ通知機能の活用だけでなく、カメラやアルバム、電話帳、位置センサーなどスマホ端末の機能を活用できるようになることにあるかと思います。例えば街中で企業の店舗の近くを歩いている人に対して店舗で開催するセールの情報をプッシュ通知する。あるお客様が企業にお問い合わせを行う際、商品の不具合箇所を写真撮影してその画像をお問い合わせ内容と一緒に送信できるようにすることができれば、お客様により迅速かつ最適な対応を行うことができるようになります。これらはアプリでなければ実現できない機能であり、アプリ開発が必要となる理由となります。
また、開発するアプリはネイティブアプリとするか、Webアプリとするか、それともネイティブとWebの両方の特性を併せ持ったハイブリッドアプリとするか、アプリの形態の検討も重要(検討点3)です。アプリの通信環境(データ取得・動作速度)をどこまで重視するか、アプリストア経由など配布方法はどうするか、コンテンツを都度ダウンロード(通信)させる必要がどこまであるのかなどを考慮した上で、最適な形態を選択すべきと考えます。
データ連携、データ格納先
お客様に提供されるアプリは単体で完結するものは殆どなく、最新情報の提供やお客様に合わせた情報・サービスを提供するために、クライアント企業のサーバとの連携が必要となってきます。どのような場面・タイミングでサーバとのデータ連携(データのPOST/GET)が必要となるのか、どのような仕様でデータ連携を行うことになるのかなどを明確化することも重要(検討点4)です。
また、更新頻度の高い/低いコンテンツやお客様が入力した情報などは端末側で保持するのか、サーバに保持・格納するのかの検討も必要(検討点5)です。
手順書がなくてもアプリを利用できること、画面の視認性や操作性、ページ遷移やお問い合わせなどの情報入力においてお客様の手間を極力減らすようなアプリ画面上の使い勝手(UI/UX)をどこまで追求するか(検討点6)、マーケットシェアに基づいてどの端末・OS・ブラウザまでをターゲット環境するか(検討点7)の検討も重要となります。
もちろん他にも検討すべきことは多くありますが、これら7つのポイントを中心に検討を進めてみてはいかがでしょうか。
スマホは誰もが常に携帯し、頻繁に利用するパーソナル端末のため、お客様に継続利用してもらえるアプリを提供できれば、企業のマーケティングコミュニケーションは格段に豊かなものとなり、お客様との距離感や関係性の近しさや収益を生み出すチャンスは高まるのではないかと考えます。
「お客様にとって利用価値のあるアプリ」の提供について、ぜひ一緒に考えてみませんか?
執筆者:山本 知拓
株式会社ジェネシスコミュニケーション
執行役員