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snow peakに学ぶ徹底した顧客体験重視マーケティング

突然ですが、アウトドア派ですか?キャンプ好きですか?
月に一度はキャンプに行かないと落ち着かない、ジェネシスコミュニケーション アウトドア部、会員番号2番のわたしです。こんにちは。
そんなわたしがsnow peakのマーケティングについて愛をもって語ります。語らさせてください。

目次

まず、はじめに

今年はキャンプブームのようで、週末のアウトドア用品店は大混雑。もちろん人気のキャンプ場も大混雑。キャンプ用品ブランドも多種多様で、何を選んだらよいのやらと迷ってしまいます。迷いながらも、我が家ではキャンプ用品の増殖がとまりません…!

そんなキャンプ用品ブランドの中でひときわカッコイイのがsnow peak。キャンプ場に設営されているランドロックの美しいフォルムを見ると、ああやっぱり豪邸はいいなぁ…と憧れ、チタン製のマグやコロダッチを手にとってうっとり、パイルドライバーを見るたびに「今度のキャンプまでに絶対に買う」と心に決め(るがまだ買っていない)、と私の中で常に憧れの存在であるsnow peak様。

そんなこんなで日々キャンプ情報を追っているなか、マーケ方面でsnow peakのお名前を目にし、とても興味深い記事を拝読いたしました。

広告費ゼロのsnow peakに聞く、ブランディングとは。
(リンク先:https://www.advertimes.com/20170619/article252843/

広告費ゼロ!?なのにこれほどの露出!

これだけsnow peakを目にするのに、私はこれまで一度もsnow peakの広告を見たことがなかったのか!と驚きました。振り返ってみれば…確かに、Google検索結果に「広告」の文字はない、バナーに追いかけられることも今までなかったような…とそのときはじめて気づきました。

キャンプ情報を日々追っていると、snow peak製品の姿を目にしないことはありません。でもそれはすべて、広告ではない。Facebookを見ていても、snow peakに「いいね!」してねという広告も出てこない。それなのに、どうしてこんなに多くの記事を目にするのか。snow peakのいちファンとして、解き明かしてみました。

とはいえ、マーケティング活動はおこなっているはず。

広告費ゼロとはいえ、snow peakが何もおこなっていないわけがありません。前述の記事の中で、snow peakの坂東 佑治さん(snow peak USA, General Manager)はこうおっしゃっています。

当然、会社の規模やアプローチにもよるので、広告の必要性は様々ですが、会社の基本的な考え方として、常にユーザーファーストというのがあります。 その最たる例が、日本の本社で、社屋がキャンプフィールドにあるので、常にユーザーと接することができます。

snow peakはユーザーとのコンタクトポイントとして、キャンプ場を持っています。そこでなんと、社長みずからユーザーと共にキャンプしちゃうんですね。もちろん、自社キャンプ場のほかにも、snow peak主催のイベントを年に何度か各地でおこなっています。

アカデミックの世界ではこれをエンゲージと呼ぶかもしれませんが、ユーザーとブランドが直接つながっているので、広告というフィルターを必要としていないんです。

イベントを通じてユーザーと直接関わる。アウトドアブランドだからこそできる活動ですが、「広告というフィルターを必要としていない」と言い切れるところがすごいです。

リアルな顧客体験に集中。効率の良く、そして強くエンゲージメント

しかし、これは違う観点からみると非常に効率の良いマーケティング施策とも言えます。
通常のメーカーであれば「キャンプに行こう」的な啓蒙的な広告から始めて、実際に店舗に来た時に自社ブランドを指名買いしてもらうことを考えるのですが、snow peakはそのようなことはしません。結果、キャンプをしようか検討している潜在顧客の多くは「snow peakのことをなんとなく知っているが深くは知らず」に店舗に向かうことになります。

店舗に来たときにはsnow peakをあまり知らないので、広告を出さないことは不利になるのではないか?と思うかもしれませんがそんなことはありません。snow peakは自社製品を買ってもらえる可能性がある人、つまり店舗に来たことのある人への「顧客体験に集中する」ことでsnow peakの魅力を強く感じてもらうことに成功しているのです。購入する可能性が低い人ではなく、店舗に来た購入の可能性が高い人に絞り込み、かつ施策もリアルな顧客体験に絞り込んだマーケティングを実施することで効率の良くそして強いエンゲージメントを達成していると言えます。他社のように幅広くマーケティング活動をしていると、ブランド名は知っているけど、強い印象を持っていないという状態に陥りやすくなります。

具体的な施策についてお話しますと、snow peakは直営店はもちろん、スポーツ用品店などの中に入っている売り場にも、snow peakスタッフやsnow peakマイスターを常駐させ、いつも上質なサービスと正しい情報を提供してくれています。ユーザーは検討段階から、間違いないプロの目線でアドバイスを受けることができ、snow peak製品にその場で(買うかは別として)惚れ込んでしまうわけです。また、購入後は各地で開催するさまざまなイベントや、新潟の本部で開催される設営講習会をおこない、店頭以外でのコンタクトポイントを設けています。また、購入者にポイントカードを発行して、ロイヤリティプログラムもしっかりあるのです。(たくさん購入すると会員ランクがアップしていきます!)

たとえ、最初の来店時にsnow peak製品を購入してもらえなくても、snow peakへの印象は強く残っているので、今後キャンプ用品を購入しようと考えたときにはsnow peakが候補に挙がることになります。

エンゲージメントとエクスペリエンスの追求

エンゲージメントとは、ブランドとユーザーの関わりや結びつき、ユーザーから得られる共感を意味します。今や「いいね」やフォロワーがお金で買える時代。ユーザーが「好き!」「興味あります!」を簡単に表現できるようになったからこそ、お金を出して買った「潜在顧客」の質は、残念ながら良いものではないかもしれません。坂東さんはこのようにも語っています。

今、その人と人の間に人ではないものがあまりに多すぎる。だからつい目先のものに目が行き、周囲が気になり、俗にいう近視眼的な思考になってしまうのではないかと思います。本当に大切なことは「人」を見てその人の幸せを考えているか、そうでないかではないでしょうか?本気で人を見ている、ユーザーを本気でファミリーだと思っているスノーピークはまさに正しいことをシンプルに真面目にやっているだけなんです。

さきほど、snow peakのマーケティングは非常に効率が良いと言いました。しかし、snow peakは効率性を高めようとして、このマーケティング活動に行き着いたのではないことがポイントです。キャンパーと正面から向き合い、キャンパーをファミリーだと思い、キャンパーを幸せにするために必要なことは何かを突き詰めた結果が、このマーケティング手法であったのです。だから、リターゲティング広告はないし、「いいね」をお願いするようなこともないわけです。このマーケティング手法は、snow peakの真面目さが『結果的に』効率の良いマーケティングへ繋がったと言えるでしょう。

マーケティングは常に「人」を相手にするものです。「人」を見つめ正しいことを徹底してやることで素晴らしいマーケティングは生まれてくる。数字に惑わされず、その「人」のことを徹底的に考えているからこそ、ファンになってくれるのだと思います。マーケティングの観点においても、とても大切なことを教えてくれる企業ですね。

最後に、私が保持している非常に秀逸なsnow peak製品をご紹介します。

最高のペグ、ソリッドステーク!

以上!

(もちろん1本ではありませんが)

snow peakのいろんなものが欲しいんです。テントだってグリルだって…!でも…お財布事情が…ついてこないわけです…ペグは1本300円ちょっとで非常に質が良くコスパが高いので…。

パイルドライバーは近日中に購入したい所存ですが、一度はsnow peak製のテントで野営してみたいものです。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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