SNSでオウンドメディア集客は可能か?第1回:コンテンツ公開前と公開タイミングでできること
BtoBマーケティングの一環として、オウンドメディアを始めたものの、なかなかSNSでシェアされず、集客できないという課題を抱えているオウンドメディア担当者は少なくありません。ここではSNSからの集客を強化するためにできることを2回にわけて解説します。
今回はコンテンツ公開前と、公開時に焦点を当てます。
「SNSからの集客の目的」を整理する
まずは、SNSで集客することで何を目指すのか。集客の目的を明確にしてください。PVを増やしたい場合は、なぜPVが必要なのでしょうか? BtoBのビジネスでは、BtoCに比べて見込み客となるターゲットが限定されています。幅広く集客するよりも、ターゲットとなる人をピンポイントで集客したほうが効率的ですが、そのためにSNSは適しているのでしょうか?
また、SNSからの集客を増やすために、ユーザーのシェアを増やすことを考える場合、それがオウンドメディアのゴールに近づくかどうかも考えてみてください。オウンドメディアでリードを獲得したいのならば、SNSのシェアボタンを押すよりも、ホワイトペーパーのダウンロードやお問い合わせなどに誘導したほうが本来の目的に近いでしょう。オウンドメディアに訪問した人は、ほとんどアクションせずにオウンドメディアから離脱します。ごく一部のユーザーがアクションしますが、せいぜい1つのアクションだけだと考えてください。どの行動を促進すべきかを検討した上で、導線設計をしましょう。
その上で、やはり「SNSからの集客を増やす必要がある」と判断した場合、以下のことを実践してみてください。
SNSでシェアされたいなら、積極的に発信すること
まずは、次のようなアカウントを通して自らが発信して、それぞれでSNSのシェアを1つ以上獲得しましょう。
・オウンドメディアのTwitter公式アカウント、Facebookページ
・社員のTwitter、Facebook
・社員がシェアしたツイートを公式アカウントからリツイート
なお、ターゲットに届けるためには、以前からそれぞれのアカウントの発信力を高めておき、フォローされておく(「いいね!」されておく)必要があります。フォロワー0のアカウントの発信は誰にも届かないからです。
そのためには、自社メディアの情報を含め、業界の最新動向やベストプラクティスなど、ターゲットが読みたくて、役立つ情報を発信し、あらかじめフォロワーを獲得しておきます。Twitterなら、ターゲットとなるユーザーを探してフォローするなど、自らアプローチして存在をアピールするのもおすすめです。
また、アカウントを見た時に、フォローや「いいね!」したくなるように、アイコン、カバー画像、プロフィールに、自社のことが伝わるように中身を整えておきましょう。
シェアされる時の見映えを気にする
SNSでコンテンツがシェアされる時に、タイトル、画像、説明などがきちんと表示されるように、オウンドメディア側のOGP(Open Graph Protocol。SNSでシェアした時に表示する情報を設定するタグ)を設定しておいてください。
しかし設定しても、SNSからのオウンドメディアの読み込みのタイミングや読み込み処理によって、意図した表示がされない場合があります。特に画像が読み込まれないことがあります。画像がない状態で多くの人がシェアしても、タイムラインやニュースフィード上で他のユーザーの目を引きづらいため、拡散力が下がってしまいます。
見映え対策では、以下を利用してみてください。
・Facebookでは、「シェアデバッガー」
・Twitterでは、「Card validator」
上記で該当のURLを入れると、その場でどのように表示されるかを確認できます。意図した通りの画像表示になっているかを事前にチェックしておくとよいでしょう。意図通りでなければ、必ずオウンドメディアの設定を見直して、再度確認してください。
シェアされた時の画像
SNSでシェアされた時の画像は、アイキャッチ画像が使われることが多いですが、それで本当にいいでしょうか? SNSでシェアされた時にクリックしたくなる工夫をしておきまでしょう。
例えば、イメージ画像が写真だと、記事内容を伝えきれないことがあるので、タイトル、内容、訴求点がひと目で伝わる画像を作成してみましょう。
できた画像は、OGP(Open Graph Protocol)設定で指定します。しかし、画像のおかげなのか、RT(リツイート)が多いしSNSでも話題になったはずなのに、PVが少なかったという事例があります。これは多くの場合、画像で要点がすべて伝わってしまい、SNSでシェアするだけでユーザーが満足してしまったからです。オウンドメディアまでアクセスしないことが原因で、コンテンツの要点だけがTwitter内で消費されてしまったのです。「シェアだけで満足」「要点だけを消費するユーザー」は必ず出てしまうので、それらは覚悟の上でやる必要もあります。上で示した画像は、画像だけでユーザーのアクションが完結しないように「?」を設けて、誘導を試みているわけです。
たとえ数が少なくとも、新たな顧客接点になることは確かです。地道に取り組むことが重要です。
結果が出ていない場合、ここまで紹介してきた諸々のことをやりきらないまま、悩んでいることも少なくありません。ここまで紹介してきたアプローチは、どれも万能策ではありませんが、これらの試みを通じて、発信のあり方や見られ方を自社で問い直しましょう。自社側の不備や不足に気づく機会として、事態の改善につなげるのです。
次回は・・・
コンテンツを公開した後の対策について、シェアを増やすために取り組むべきことを取り上げます。
深谷 歩(ふかや あゆみ)
株式会社 深谷歩事務所 代表取締役。ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、オウンドメディア運用支援も行う。
著書に、
『コストゼロでも効果が出る! LINE公式アカウント集客・販促ガイド』(翔泳社)
『たった1日でも効果が出る! Facebook広告集客・販促ガイド』(翔泳社)
『自社のブランド力を上げる! オウンドメディア制作・運用ガイド』(翔泳社)