SNSでオウンドメディア集客は可能か?第2回:コンテンツ公開後にできること
BtoB向けオウンドメディアの運営について、集客で悩むオウンドメディア担当者がやるべきことについて、考えます。前回はコンテンツ公開前と公開タイミングにフォーカスを当てましたが、今回は、コンテンツ公開後に着目して、対応方法について解説します。
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社外の著名人、業界関係者に協力してもらう
オウンドメディアのコンテンツ制作は社内に閉じる必要はありません。業界の著名人や経営者などに協力を依頼して、記事を執筆してもらったり、インタビュー、対談などに協力してもらったりすることで、コンテンツの幅を広げられます。
その場合、インタビューや記事執筆だけの協力に止まらないことです。コンテンツの公開後には、協力者にSNSでシェアしてもらうことで、その人のフォロワーに情報を届けることができます。そこから新たな読者を獲得したり、メディアの認知度を上げることにもつながります。大きく数字が動かずとも、協力者を通じて、自社メディアと親和性の高いユーザーとの接点づくりになります。
協力者が自発的にSNSでシェアしてくれることもありますが、協力者任せにしないことです。最初からシェアの希望も含めた上で依頼して、「後からは言いづらい」といった懸念やお願い漏れが出てこない工夫も必要です。
自社記事をツイートしている人にはリツイート&「いいね!」
コンテンツ公開後は、SNS上でどのようにシェアされているかを確認し、ポジティブなコメントをつけてツイートしている人がいれば、オウンドメディアの公式アカウントからリツイートや「いいね!」をします。これらを通じて、一般のユーザーによる推薦としてコンテンツを再拡散できます。メディア自らのおすすめよりも、一般のユーザーからのおすすめのほうが、他のユーザーから受け入れられやすい傾向があります。
ツイートする時にコメントをつけている人がいれば、コメントの内容がポジティブ、ネガティブを問わず記録しておきましょう。記録したコメントは、コンテンツのフィードバックとして利用し、今後の企画や書き方の参考にします。
また、コンテンツにコメントを付けている人は、見込客になりえる可能性もあります。フォローしておけば、フォローを返してくれるかもしれません。フォロー返しをしてくれれば、今後のコンテンツ更新のお知らせを届けることができます。
記事がどこで拡散されるかを意識する
オウンドメディアを運用して半年ほど経過すると、どのSNSでシェアされやすいかといった傾向が見えてきます。前述したようなコメントのフィードバックなどのデータから、自社メディアのSNSでの拡散の傾向を分析して、シェアされやすさを意識したコンテンツを企画してみましょう。
BtoBオウンドメディアに関しては、一般的には以下のようなシェアの傾向があります。
▼プラットフォーム別シェアの傾向
投稿直後と時間が経過した後でタイトルを変える
一般的にSNSのシェア、SNS経由のアクセスは、投稿した直後〜1日くらいがもっとも多くなります。それ以降は、検索エンジン経由でのアクセスが大半です。そこで、投稿直後はSNSでシェアしたくなるようなタイトルにしておき、1週間後以降はそのままにせず、検索したときにわかりやすいタイトルへと変更するのも1つの手段です。WordPressのプラグインやCMSの中には、記事タイトル(検索結果で表示される)とSNSのシェア用のタイトルを分けて設定できるCMSもあります。
例:
SNS用:気づいたらシェアしている!SNSのタイトルの作り方・中級編[新着記事]
検索用:SNSでシェアされやすいタイトルの3つのポイント
アクセスが増える過去記事があれば再ツイート
公開したコンテンツの中には、季節、イベント、世間の関心などによって、公開からしばらく経過しても、定期的にアクセスが増える記事があります。
そのような傾向のある記事は、事前にアクセスが増える前から内容を見直しておき、最新情報を入れるなど、コンテンツをアップデートして公開日を更新します。公開日を更新するのは、検索結果に古い日付の記事と新しい記事が並んだ時に、新しい記事のほうがクリックされやすい傾向があるためです。更新した場合は、更新内容もあわせて記載すると親切です。もちろん記事を更新したら、SNSでもシェアしておきましょう。
例:
・算定基礎届の書き方(6〜7月)
・長期休暇の前に機器メンテナンスをしよう(夏季休暇、GW前)
・年末年始の繁忙期の前の人材配置(年末年始前)
イチオシの記事は、広告を配信(Twitter、Facebook)
通常の記事よりも、リソース(人・コスト)をかけて制作した記事で、高い反応が期待されるものがあれば、SNSでの広告を掲載して、アクセスを増やすのがおすすめです。
例えば、著名人のインタビュー/対談記事、インフォグラフィック、マンガコンテンツ、調査データ、チェックリスト、新しいEブック(ダウンロードコンテンツ)などは、SNS広告の有力な対象になるでしょう。
SNS広告では、ターゲットを細かく設定できるので、トピックに関心のある人、ビジネスの対象エリアの人などに限定して広告を配信できます。また、1日数百円という少額から配信できますし、広告の設定、管理、分析まで社内でできるので、試してみやすいのもメリットです。
広告を配信することで、これまで接点を持てなかった見込客にリーチすることもできます。初めてオウンドメディアを訪問する人でも関心高く見てもらえるコンテンツであれば、アクセスだけでなくSNSでのシェアなども期待できます。
地道な積み重ねがSNSでの集客につながる
2回にわたって、SNSでオウンドメディアへの集客のためにできることを紹介しました。1つひとつは小さいことですが、積み重ねていくことで成果が生まれます。現時点でオウンドメディアの集客に悩んでいる場合、ここまで紹介してきた方法の多くをやっていない可能性があります。
地道に1つずつやっていきながら、どういう施策が自社のオウンドメディアでは有効かを確認しましょう。また、定期的に方法を振り返っては、検証を怠らずに進めましょう。
深谷 歩(ふかや あゆみ)
株式会社 深谷歩事務所 代表取締役。ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、オウンドメディア運用支援も行う。
著書に、
『コストゼロでも効果が出る! LINE公式アカウント集客・販促ガイド』(翔泳社)
『たった1日でも効果が出る! Facebook広告集客・販促ガイド』(翔泳社)
『自社のブランド力を上げる! オウンドメディア制作・運用ガイド』(翔泳社)