「マーケティングオートメーション」って結局どんなものですか?
今年、日本の2015年は、「マーケティングオートメーション(MA)元年」と呼んでいい年かもしれません。テクノロジー系やマーケティング系のインターネットメディアに毎日のようにMA関連の記事が掲載され、またMAベンダーのWebサイトには導入・活用事例が次々と公開されました。2015年10月14日に開催された「MarkeZineDay 2015 Autumn」では、前24セッションのうち9セッションが「マーケティングオートメーション」に関するもので占められていました。
3-4年ほど前から世界のマーケティングオートメーションの動向を見つめてきた私には、ようやく日本にもブームが到来したか、という印象ではありますが、以前の「CRM」などと同様、テクノロジーからのアプローチが先行し、やや上滑りしている感があるなあ、というのが正直なところです。
では、テクノロジー視点ではなく、マーケターの視点からMAがどのように見えているのか、簡単にお話ししたいと思います。
マーケター、とりわけ「ダイレクトマーケティング」や「データベースマーケティング」を主領域するマーケターにとって、MAは長年の夢がようやく現実のものとなるツールだと言えます。長年の夢とはズバリ「One-to-One Marketing」です。
「One-to-One Marketing」は、およそ20年ほど前に提唱されたマーケティングのコンセプトですね。CRMが提唱された時期とほぼ同じで、主に顧客を主対象と想定し、全体やセグメント単位ではなく、一人ひとりのお客様の属性や、過去の購買履歴や行動履歴に基づいた、個別化された提案やインセンティブ、コミュニケーションを行うべきだ、というのが「One-to-One Marketing」の根底にある考え方でした。
ただ、現実と理想のギャップは大きいものでした。顧客の購買履歴はさておき、Webサイト上などでの行動履歴を捕捉し、個人単位で蓄積、分析する仕組みや、個人単位でWebサイトのコンテンツやメールの内容をカスタマイズして出しわけるといった技術が十分ではなかったのです。
しかし、個人単位でのカスタマイズされたコミュニケーションを実現するためのデータベース、分析機能、コミュニケーション機能等が実装されたMAによって、ようやく「One-to-One Marketing」が現実に実行可能となったのです。
もちろん、現状においては「One-to-One Marketing」が実行できるのは主にネットにつながれた世界=オンラインコミュニケーションになりますが、消費者が24時間肌身離さず持ち歩くスマートフォンの普及、そしてあらゆる機器がネットにつながる「IOT」(Internet of Things)の浸透により、オンライン・オフラインにまたがる「One-to-One Marketing」ができるようになっていきます。
そして、私が心に留めておきたいと思うのは、「One-to-One Marketing」においては、決して「売らんかな」という売り手の立場での発想ではなく、もし自分が買い手だったら、
「いつどんな状況のとき、どんなメディアやツールを通じて、どんなオファーやコミュニケーションをされたらうれしいか」
という意識を常に持っておく、ということです。
ビジネス(商売)の本質は、相手の問題を解決したり、欲求を充足してあげて相手に喜んでもらうことであり、だからこそ対価としてのお金がいただけるものだと思います。とにかく大衆相手に売りさばくといった時代はとうの昔に終わりを告げています。
上記のような基本思想に基づき、MAを活用して「One-to-One Marketing」を実践することは、よりよい社会への貢献につながるものではないでしょうか。
ジェネシスコミュニケーションでは、MAを活用した「One-to-One Marketing」を通じて顧客・見込客に喜んでもらいたいと考えている企業様をお手伝いしていきます。