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情報通信白書を読んでみよう!!

毎年、総務省は情報通信白書を公開しています。今年の令和5年度版は7月4日に公開されました。楽しみにされているマーケターの方も多いかもしれません。今回はこの情報通信白書の読み方をマーケの強化書なりにお伝えしていこうと思います。

情報通信白書|総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/

目次

情報通信白書、読むべき場所は?

令和5年版の情報通信白書はPDFで全307ページ、構成としては2部5章28節もあります。すべてに目を通しても良いのですが、いかんせんボリュームが多いので白書の目次に目を通し、自分の興味関心の高い所やマーケティングの基礎資料に使えそうな所を探していくことにします。

こうしたボリュームの多い白書ですが、目次や概要で白書全体の雰囲気を確認することで、自分が気になる節や、自身が身近に感じられる話題や資料に使えそうな章を読み進めていくと少しとっつきやすくなるかもしれません。

また、各章も漠然と読み進めるのではなく、独自の課題意識や視点を持つとより一層面白いでしょう。『同年代ではどのように情報収集しているのだろうか?』『20代と60代以上に施策をするとしたらどのような違いを持たせるべきか?』『あえて新聞広告はどうだろうか?』などの自分なりの視点を持つと得られることも多くなりそうです。

マーケティングの基礎資料として興味深かったのは、令和5年版でいうと137ページからの【第2部 情報通信分野の現状と課題 第4章 ICT市場の動向 第11節デジタル活用の動向】の部分が挙げられるのではないでしょうか。

例えば、【第4章 ICT市場の動向 第11節デジタル活用の動向】では、情報通信機器の世帯保有率やインターネットの利用率、主なメディアの平均利用時間も掲載されていますが、今回は具体的に『新聞』について注目してみます。

総務省 令和5年版 情報通信白書より 主なメディアの平均利用時間と行為者率

2022年全体で平日1日の新聞閲読の平均利用時間 6分。行為者率19.2%。
30代では、平日1日の新聞閲読の平均利用時間 1.2分。行為者率4.1%。

この結果はちょっと驚きましたね。なんとなく理解していたものの数字として1.2分のように示されると驚きも倍増です。若かりし頃、通勤電車で新聞を上手に折りたたんで読んでいたサラリーマンを、尊敬の眼差しで眺めていた私には驚きの数値です。「新聞、読んでない!」と。

情報通信白書 × ○○で情報を立体的に

さて今年度の情報通信白書を読むだけでも良いのですが、もっと立体的に情報をつかむための方法をお伝えしていきましょう。ポイントは

・今年度以外の白書のデータもおさえる
・情報通信白書以外のデータも探す

です。

通信白書の【主なメディアの平均利用時間と行為者率】には2018年から2022年までの数値が年代別に載っています。そして表グラフの下部には(出典)総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」との表記があるのです。
5年分の過去データには今年度の白書で分かりますが、推移を知りたい場合は過去の白書の同じデータを使っている場所を探し出すのも良いでしょう。また出典データも調べると知りたいデータの調査の詳細も分かりますので、自社のマーケティング施策の根拠に使う場合に説得力が増してきます。

引き続き『新聞の閲読』を例に情報通信白書から数値を拾ってグラフ化したものが下記になります。

※データ出典:総務省情報通信白書からマーケの強化書編集部 グラフ作成

右肩下がりの下降線で、ここ10年で多くの人が新聞を読まなくなっているのが分かります。さてこの推移データのグラフを作って満足していてはいけません。

情報通信白書以外のデータも積極的に探してみましょう

情報通信白書の『新聞閲読』の行為者率のデータだけではなく、新聞の発行部数や新聞への広告費の推移はどうなっているんだろう?と興味が移ります。
そこで、他の出典から、新聞閲読の行為者率と新聞の広告費、発行部数を並べてみると下記の通りになりました。

※データ出典:発行部数:日本新聞協会、広告費:電通、行為者率:情報通信白書

新聞の発行部数と世帯数の推移|調査データ|日本新聞協会
日本の広告費 – Knowledge & Data(ナレッジ&データ) – 電通ウェブサイト

情報通信白書のデータから「10年前と比べて新聞を読む人が減った」と言えるのですが、それに合わせて、発行部数や新聞広告費の減少まで言及出来ると、よりデータが立体的に見えてくるものです。

知りたいデータを、知りたい時に、ネットで調べ数値を拾ってくるのも良いのですが、自分が必要なデータがどこで手に入るか、そのデータは過去のデータまでさかのぼれるのか、あらかじめアンテナを張り巡らしておく必要はあるでしょう。また、インターネットで公開されていたデータが今後も公開され続ける保証もないので、自分にとって必要なデータは手元にストックをしておくこともおススメします。

参考記事:良質な情報リソース、データを入手する先はコチラの記事

データや情報を集めた後にもう一歩!

情報通信白書を読み、関連するデータも集めてみました。これで満足して終わりでも良いのですが、ここまでは情報収集の作業に過ぎません。
集めたデータを知識や知恵に変えていくためにも、なんでそうなっているのか?なんでそうなったのか?自分なりの考察や考えを育む時間を持ちましょう。もちろんChatGPTのような生成AIはそれっぽい理由も答えてくれますし、インターネットを探せばブログやnote、解説記事には説明があるでしょう。

安易に第三者の意見に耳を傾ける前に、自分のなかで仮説を作り、その仮説がデータで検証出来るか?データと違和感がないか?などを考えてみるのです。数時間、数十分も考察する必要はありません。ほんの数分、データに対して立ち止まり考える癖をつけることにより、データの数値に対する解像度が変わってくるでしょう。データリテラシーを高め、思考力や問題解決能力も鍛えられるのです。

データや情報を目にした時に、仮説検証の時間がない場合には数秒だけでも良いのでデータや情報の出典について意識するようにしましょう。
ネット上にはさまざまな情報が混在しています。発言者の都合の良い情報や限定的なアンケート結果に惑わされないよう、データの信頼性を確認することが重要です。情報通信白書のような公式な発行物は、多くの人によって検証されているため、その信頼性は高まります。しかし、ネット上の情報は玉石混淆であるため、注意が必要です。騙されないためには、データの出典や原典を確認し、客観的な視点を持つことが大切です。

いかがだったでしょうか?300ページを超える総務省の情報通信白書ですが、毎年毎年無料でマーケティングデータが提供されていると考えると、読まずにはいられませんよね。

すべては読まなくて良いので、あなたに必要なデータを見つけてみてください。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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