今日からできるマーケティングオートメーション(MA)。ユーザー行動によるマーケティングメールのセグメント分け
マーケティングオートメーション(以下MA)の導入/乗り換えを検討しているクライアントさんにお話を伺うと、「いろいろテストしたいことは分かっている。セグメント別に施策を打てば良いことも分かっているけど、具体的にどうして良いか分からない」といったことをよく耳にします。
頭では理解したつもりの知識を実作業のタスクに落とし込むとなると少しハードルがあるのかもしれません。
今日は、そんな方々のために、実際にマーケの強化書で実践している「行動ベースのセグメント」についてご紹介したいと思います。出来る限りの実際の数値も公開したいと思います。
騙されたと思ってやってみてください。きっと結果がついてくるはずです。
ケース(1) ダウンロードコンテンツ
マーケの強化書でも、いろいろとダウンロードコンテンツを作成し、興味のある方から会社名やメールアドレスを取得しています。
一般的なシナリオでは、ダウンロードコンテンツのフォームに入力されたら、シナリオが発動しダウンロードのURLが付いたメールが送信されるという内容でしょうか。ダウンロード資料の内容によってステップメールまで組み込まれていたら、結構活用している方ではないかと思います。
この蓄積されている過去にコンテンツをダウンロードしてくれた方に対して、セグメント分けを行い、新しいダウンロードコンテンツが出来た際に、メール本文の内容などを変えて送り分けてみるとどうなるでしょう?
過去にダウンロードコンテンツに興味を持って一度はダウンロードしてくれた方です。新しいコンテンツにも興味をもってくれる可能性は高いハズという仮説のもと行いました。
ケース(1) 結果
マーケの強化書での結果です。
過去にダウンロードコンテンツをダウンロードされた方をセグメントし、コンテンツ公開前に先行してご案内メールをお送りしました。その後、残ったリストの方にお知らせメールをお送りしています。当然文面はそれぞれ変えています。
全部を公開するのはあれだったので、読者Aと読者Bの結果はマージしてしまっています。過去にダウンロードされた過去資料DL者と会社名等の情報を取得しているメルマガ読者Aの方は、フォームへの情報入力を省き、直接メールをクリックすることにより資料を見られるように工夫しました。
その結果、マーケの強化書では過去最高の資料ダウンロード、資料の閲覧を記録したのです。
ケース(1) アレンジ
例えば、毎年更新しているコンテンツを提供しているケースを例にとりましょう。去年ダウンロードをしてくれた方というセグメントを用意し、最新の資料のお知らせを送ってみることもできるでしょう。
時間が経てば、興味関心の対象が変わっているかもしれませんが、一度はダウンロードされているわけなので、最新情報を求めている可能性はあります。
いわゆる白書系であるとか自主調査であるとかを定点で更新されている企業さんならすぐに実装できますね。
ケース(1) さらにひと工夫
ダウンロードコンテンツのお知らせをお送りする時にマーケの強化書なりのこだわりポイントがあるとすれば・・・『既に必要な情報(社名・部署名等)を取得している人に、改めて同じ項目を取得する必要はない』という考えです。
良質なダウンロードコンテンツは様々なサイトで見かけます。しかし、多くのサイト来訪者はフォームへの情報入力は面倒で、根堀葉掘り聞かれることを喜ばしいとは思っていません。コンテンツが欲しいなぁと思っても、途中で止めてしまうこともあるでしょう。
・必要以上に入力フォームで情報を取得していないか?
・既に情報を取得している人から不必要な入力を求めていないか?
この視点でもう一度、フォームの見直しを行うことによりダウンロード率が向上していくでしょう。新たなデータ取得が必要なのか?作成したコンテンツを届けたいのか?の見極めが、ダウンロードコンテンツの成果を握っていると思います。
最初の事例で紹介したメルマガ読者A(会社名等の情報がある)とメルマガ読者B(会社名等の情報がない)の設定の違いは、資料URLへの誘導なのか?フォームへの誘導なのか?の差に過ぎません。しかも、メールを読んでいる段階では分かりません。それでも結果には大きな差が生じました。
ケース(2) 記事コンテンツでもやってみた
次にご紹介するのは、コンテンツの既読によるセグメント分けの事例です。ダウンロードコンテンツを作るのは意外と手間ですよね。時間もコストもかかります。コンテンツ=BLOGの記事で似たようなことができないかという実例です。どうせ作成する記事なら多くの方に読んでもらいたいですからね。
現在、マーケの強化書では行動デザインの連載を公開しています。マーケターの方には読んでいただきたいシリーズものなので、該当記事ページには、行動デザインの連載に関して、更新情報が欲しい方のフォームを用意しています。フォームに登録いただくと、公開日にお知らせメールを送り更新したことをご案内する仕組みです。
更新情報が欲しいとメールアドレスを登録された方に更新情報をお届けするのは当たり前ですが、MAで把握できているので、それ以外の方も(内緒で)セグメントしてみたらどうなるか?反応してくれるのか?という仮説でメールを送ってみました。
ケース(2) 結果
結果、更新情報は希望していない既読者が、更新情報を希望した方と同程度のクリック率が得られたのです。
連載への興味が低いと思われるメルマガ読者Aとメルマガ読者Bの開封率やクリック率が低いことは想定内でしたが、既読という行動セグメントが、更新情報を希望してメール登録をした人と同程度の結果は、顧客の行動に注目しマーケティング施策を設計する弊社としても、考え方の裏付けにもなる嬉しい結果でした。
ケース(2) アレンジ
例えばサービスや商品を扱っている企業さんで、「機能」や「事例」「料金」「解約方法」などについて複数のページに分けて紹介している例にとりましょう。ページ毎の閲覧の有無によりセグメントすることも考えられます。
「機能」や「事例」だけではなく「解約方法」のページまで読み込んでいる方はかなりのサービス検討者ではないでしょうか?そんな方に対して普通にメールをお送りするのはもったいない気がしませんか?もう少し踏み込んで「今、乗り換えがお得な理由・・・」「年内の商談なら◯日まで・・・」と言った口説き文句をタイトルにつけて、メールの内容を読み進めやすい工夫を考えてみても良いかもしれません。
最後に、意外に簡単?!
最後に『こんなにメールをセグメント分けして配信すると手間暇がかかって大変なのでは?』『そんな時間が作れない』と言う声もよく耳にします。
しかし、どのMAツールでもメール作成では複製機能や出し分け機能が標準でついています。ケース2でご紹介した行動デザインの連載2回目更新をお知らせするメールは全部で4セグメントに分けたのですが、担当者一人でセグメント設定までに要した時間は2時間弱でした。もちろん4つに分けたことで文面を作成する手間は1種類よりも稼働は増えるのですが、トータルの結果として閲覧や反応が増えるので多少稼働が増えたとしても結果からすればOKとなるはずです。
また、一度行動でセグメントづくり、メール設定まで終わらせておけば、2回目・3回目に同じようなことをする際にベースとして使うことができ、毎回ゼロから作りこむ手間は省けます。
MAを入れたけどなかなか使いこなせないなあという方は、こうした工夫をヒントに設定をいじってみて下さいね。
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