ジェネシスの仕事の進め方を大解剖!どうやって「コンテンツ」を作るのか?【vol.01】できること、作業範囲を確認する
「マーケの強化書」編集長と編集部員とが対談しながら、「マーケの強化書」を運営するジェネシスコミュニケーション(以下ジェネシス)の業務内容を明らかにする連載「ジェネシスの仕事の進め方を大解剖!」。
今回は、短期間でWebサイトのコンテンツ作りを依頼された場合、ジェネシスがどう動いたのかについて話を進めます。
- 田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
「マーケの強化書」編集長 - 佐藤 直美株式会社ジェネシスコミュニケーション ディレクター
「マーケの強化書」編集スタッフ
常に問われる、スタートラインの立ち方
以前、とある企業の方から、WEBサイトの案件を依頼されたことがありました。依頼当初から、「公開日が決まっていて短期間になるがお願いできないか」という条件付きの案件でした。
「短期間」とのことですが、どれくらいだったのですか?
最初にジェネシスにお声がかかった時点で、「3カ月後には公開したい」というご希望でした。短期間の背景としては、ジェネシスに相談する前にいくつかの会社さんに問い合わせをしたものの、どの相手と話をしても、うまく公開までこぎつけるイメージが沸かなかったようで、手をこまねいた期間があったためです。社内からも「もう待てない」とお尻を叩かれていたそうです。
こうした条件や制約がある場合、動き方が変わってくるものでしょうか。
そうですね。前回のブランドのプロジェクトでも話したように、ジェネシスでは丁寧に打ち合わせをし一度一度の会議体を大事にしています。その中でも特に大事にしているのが、初動です。プロジェクトの初期にクライアントが抱える問題を可能な限り洗い出し、整理し、双方で問題の中身を共有します。なぜなら、相談の時点で問題の全体像がはっきりしていないことが多々あるからです。想像以上に深くて厄介な問題というケースや、思っていたほど難しくないケースもあります。こうした行き違いや認識のズレをスタート段階でつぶします。また、こうしたことはプロジェクトの初期にしておかないと納期はどんどん迫ってくるため、遅れれば遅れるほど軌道修正しづらくなるといったことも経験的にわかっているからです。
「短期間」で「できること」を整理する
この件では、クライアントが希望する期間内で対応できる、となったのですか?
スケジュールは厳しいながら、ある程度までは対応可能だと判断して、正式に依頼を受けました。まずは、クライアントとジェネシスがどういうプロセスを経て、抱える問題の中身を共有したのか? プロジェクトの全体像のつかみ方を説明します。 この時は1週間以内に以下の2点を整理して、お互いがゴールを共有し、作業範囲を定めて正式にプロジェクトをスタートしています。
1. 短期間で実現できることの整理
2. 用意すべきコンテンツの整理
まずは1について、以下の図をご覧ください。
まずは、上記のような図で、コンテンツの提供を通じて、どこまでユーザーを導けばゴールとするのかについて確認しました。言い換えると、サイトでの情報発信、あるテーマのコンテンツを提供することで、サイトを利用するユーザーをどのような状態にしたいのか、ということが最大の整理ポイントです。
この図では「理想的な流れ」として、
(1) 用意する
(2) 周知する
(3) 読まれる
(4) 気づきを与える
(5) 行動に移す
これら1〜5のフェーズが確認できます。
スタート時点で「ゴール」の明確化を徹底
例えば、不特定多数のユーザーに向けて数多くのコンテンツを用意すれば良いのか?特定のユーザーに絞って確実にアクション(申し込みやセミナー受講など)を起こすところまでを求めるのか?
どちらが正しいのかというのではなく、サイトの提供者=発注者が、どこまでをゴールとするかで判断するポイントだということになります。
図の3(読まれる)や4(気づきを与える)までと、5(行動に移す)とでは、かなり仕掛け方が異なります。開発する難易度も違ったものだと言えます。
今回のプロジェクトがどこをゴールにするのかということを最初に明確にしました。 もし、5(行動に移す)までをゴールとされていたのであれば、間に合わない可能性もあったので、受注を見送るか、納期の調整をお願いしたでしょう。
クライアントとパートナーが「スタート段階でゴールを共有すること」や「お互いの目線を揃えること」が大切、ということですね。
はい。3の「読まれる」ことを優先するアプローチと、5の「行動に移す」ことまでを担保したアプローチでは、コンテンツの用意の仕方だけでなく、作業範囲が大きく変わります。範囲が変われば予算も、実現までの制作期間も、成果物への評価のあり方もすべてが変わります。クライアントと外部パートナーが揉めないためにも、とても大事な作業です。
この事例ではいかがだったでしょうか?
5までをゴールとすると、想定した作業範囲が変わることについて共有できたため、このプロジェクトでは、気づきの提供(4)までとすることになりました。気づいてくれた人が行動にまで移してくれたら嬉しいけれど、実際にどうなったかまではKPIを設定しない、と言うことについてクライアントさんと共有をしています。
理想よりベターな選択を取り入れる
1点目が長くなりました。もう1つ整理したものが、「用意すべきコンテンツのジャンル分け」です。このプロジェクトでは、クライアントが用意したいテーマは比較的はっきりしているものの、そのテーマに基づいてどういったコンテンツを作るべきかまではハッキリしない状態でした。そこを根拠や裏づけとともに、はっきりさせていきました。
企画の方向性や深さを出していく作業ですね。
まずは、用意したいテーマについて、一般的なメディアがどのような切り口や企画で取り上げているかについて調査しました。例えば「サイトを利用するユーザーにとっての働き方」というテーマなら、そうしたテーマを取り上げそうなメディアについて5年分くらいを一気に調べました。特に直近2年については、ある媒体に絞ってバックナンバーを購入し、組まれた特集の中身を研究し、整理しました。
こうした作業の狙いは何だったのでしょうか?
もう少し時間があれば、費用をかけて独自調査などを行い、もっとしっかりした形でまとめたいところです。でもこの時は、早く動き出さないといけない案件でした。とはいえ裏づけは担保したいので、定期的に発売する媒体の「特集の立て方」を参考にしたわけです。
理想の進め方に固執しない。直面した条件での最善策が打てるか、ですね。
次回は・・・
どこまでの情報をどれくらいの頻度で届けるべきかについて、議論を進めます。そこで出てくるのが、ジェネシスが現場でも採用している「コンテンツフレームワーク」です。コンテンツマーケティングで悩む企業担当者の参考にしてほしい内容を展開します。Vol.2はこちらから