押さえておきたい。Eコマースの進化と生活者の行動変化
最近、通販サイトLOCONDOの「急ぎません。便」が話題になりましたが、Eコマース業界では、生活者のライフスタイルの変化にあわせて日々新しいサービスが生まれています。ネットショッピングは生活に身近なこともあり、新しいサービスは気になる部分ではないでしょうか?
そこで、Eコマースに関わっている方はもちろん、Eコマース業界の最新動向をざっくり把握しておきたい!という方へ、生活者の消費行動の変化とデジタル技術を活用した新しい取り組み事例やトレンドワード、業界規模についてご紹介します。
消費者の購買行動の軸はリアルからオンラインへ
あ!これイイかも!とお店で手に取って見ても、緊急で必要ではないものなら買わない。お店で見た商品をスマートフォンなどで安いものを探してネットで購入。みなさん当たり前のようにやっている人もいるかもしれません。この消費行動は、店舗がショールームのように扱われていることから「ショールーミング」と呼ばれます。少し前までは、店舗で買うことがふつうだったはずが、いまや店舗の役割は変わり、「ショールーミング」スタイルが多くなってきています。消費行動の軸がリアルからオンラインへ移りつつあることにより、企業側も新たな取り組みとしてデジタルを活用した取り組みがなされています。とくに現代人になくてはならないスマートフォンのアプリ活用です。
新しいアプリ活用事例3つ
では具体的に、Eコマース業界で、どのような取り組みがなされているのでしょうか? 最新事例を3つご紹介します。
【事例1】
プチプラファッションでおなじみの「GU」、タレントとコミュニケーションを取りながら購入もできる「ライブコマース」を実施。
トレンドアイテムが安く買えるGU。「ライブコマース」というのはざっくり言うと、深夜に放送しているテレビショッピングのWEBバージョンです。インターネットやアプリ上で生放送の動画を配信し、商品を紹介・販売します。最近話題の有名人だったりタレント、SNSのフォロワーを多くもつインフルエンサーだったりと、影響力のある人が配信していることが特徴のひとつです。
「ライブコマース」は、決まった時間にアプリのコンテンツ内で生配信がスタートします。ユーザーはリアルタイムでコメントの書き込みができて、出演者が答えてくれます。紹介された商品はもちろんアプリから購入が可能。
ライブコマースは先行する中国で2016年に流行しはじめ、おしゃべり好きな国民性が相まってか、あるショップではライブコマースの2時間のライブ配信で約3億円の売り上げたという事例も……! 今年はライブコマース元年だとも言われてますので、注目ワードです!
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000011182.html
【事例2】
都心へ進出しているニトリの「手ぶらdeショッピング」
「手ぶらdeショッピング」は、ニトリのアプリ内コンテンツのひとつで、その名の通り手ぶらでお買い物ができる機能。あなたのスマホがお買い物かご代わりになってくれるのです。店頭で欲しい商品のバーコードをアプリから読み込んで、レジで決済(下画像左の画面キャプチャ)すると商品は自宅に届きます。しかも、ニトリアプリには、事前に家でカーテン設置場所を撮影しておけば、画像上に寸法をメモできる『サイズ with メモ』という便利コンテンツまでも!
出典:https://www.nitori-net.jp/store/ja/ec/App
買い物の後に予定を入れても荷物にならないから気にせずお買い物できますし、とくに組立家具や収納ケースなどは大きくて持ち運びに不便ですし、かなり助かりますよね。地方都市や郊外にしかなかったニトリが都内に進出していますが、都内の店舗ではとくに便利なサービスではないでしょうか。このオンラインと店舗の連携強化により通販事業の売上高は右肩上がりだそうです。ショールーミングを味方につけた施策ですね。
【事例3】
アメリカのIKEA、家具のARプレビューアプリ「IKEA Place」をリリース
残念ながら、まだ日本では配信されていないのですが、アメリカでリリースされた「IKEA Place」は、これいいかも!っていう商品を自宅に設置したイメージがAR(拡張現実)技術によってスマートフォンで確認できるんです。このアプリを使うとこんな感じ。
出典:http://mobilemarketingmagazine.com/ikea-place-ar-furniture-app-apple-arkit-ios-11
実際の寸法に限りなく近い家具を表示できるそう。今まで頭の中でイメージしていたものが、ARの技術で見えるように!イケアに行く前に自宅でシミュレーションをしてから、商品は店舗で買う、というショールーミングとは逆の「ウェブルーミング」の流れで消費者を店舗につれてくることができますね。
※追記:2017年10月16日(月)に日本でも「IKEA Place」がリリースされました。リリースはこちら。
以上、3つの事例をご紹介しましたが、扱う商材によって消費者が納得して買いやすい流れや最適な環境を用意しておくことが重要なんですね。
Eコマース売上高ランキングとEC化率から見た今後
ではここ数年のデジタルの取り組みによってEコマースの売上はどのようになっているのでしょうか? 2016年度Eコマース売上高のランキングはこのようになっています。
出典:通販新聞の姉妹誌「月刊ネット販売」による売上高調査「ネット販売白書」の結果
https://netshop.impress.co.jp/node/4751 ※ランキング画像は出典元を参考に作成。
※最新ランキングでは・・・【2019年版】EC売上高ランキングTOP30~1位Amazon、2位ヨドバシ、3位ZOZO
アマゾンが1位。当然みなさまの予想通り、ですね。2位のヨドバシカメラはちょっと意外ではないですか?店舗では家電メインですが、ECショップでは薬や書籍など総合サイトのように日用品も扱うことで売上が上がっているそうです。3位の「ZOZOTOWN」でお馴染みのスタートトゥデイは、「ツケ払い」や「送料自由」といった新たな取り組みを行って話題を集めています。
そして国内BtoCのEC化率※は右肩上がり!
ネットで購入するのは結構浸透していると思っていたら、右肩上がりとはいえ、「5.43%」は思ったより低い…?
経済産業省によると、「米国のEC化率は約7%であり、近年ECの市場規模拡大が著しい中国のEC化率は既に15%を超えている。したがって、我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、伸びしろを残しているものと推測される。」とのこと。
オンラインでの購入が主流になりつつも、日本国内のBtoCにおける約95%はまだリアルでの取引です。それだけさらに成長が見込まれるEコマース。新しいマーケティングテクノロジーやデジタル技術によって進化していく販促施策に今後も注目です。
参考:経済産業省 平成 28 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf
※すべての商取引金額「商取引市場規模」に対するEC市場規模の割合