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Webサイトにおける適切なゴール設定とは?KGIやKPIを設定するコツ【前編】

ビジネス上の目的にどれほど達成できているかを測る指標として、KGI(重要目標達成指標)もしくはKPI(重要業績評価指標)という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。KGIやKPIを適切に設定できれば、ビジネスプロセス上で有効に機能してくれます。ここでは、ゴール達成のために最適にKGIおよびKPIを設定できるための基礎知識を身につけていきましょう。

    田代
    田代 靖和株式会社ジェネシスコミュニケーション シニアプロデューサー
    「マーケの強化書」編集長
目次

KGIやKPIを「最適に」設定する意味

ー対象となるWebサイトに対して、どのようなKGIやKPIの設定が考えられるのか? どのようにKGIやKPIを設定するべきかを考えたいです。本記事で対象とするWebサイトとは、「マーケの強化書」の運営元であるジェネシスコミュニケーションがもっとも手がける機会が多いBtoBのWebサイトを前提に考えてみましょう。

田代:これから出てくる話の多くには、BtoCサイトにも通用する要素も多いはずです。広くKGIやKPIの設定に悩む方々や各種指標の扱いに慣れていないみなさんに、ぜひ参考にしていただきたいです。

ーでは早速、KGIやKPIはどうすれば最適に設定できるのでしょうか?

田代:大事な点が3点あります。まず1点目が、「そのWebサイトが何のためにあるのか」をしっかりと整理すること。例えば、Webサイトを通じてお客様にビジネスに繋がるアクションを起こしてほしいなら、(Webサイトに集客して)、さまざまなコンテンツを通じて問い合わせや申し込みといったコンバージョンに導くことが、「Webサイトに求めたいこと」です。

KPIについて言えば、こうした一連のプロセスが「きちんと機能しているかどうか」(ゴールのためのパフォーマンス)を数字で追える状態にすることが「最適なKPIを設定している」状態です。

ここでBtoBサイトでよくあるプロセスを整理しておきましょう。

田代:Saasなどに代表されるサービスの場合同じWebサイト(BtoBサイト)でも、プロセスには2つの段階が確認できます。

1 初回の申し込み
2 2回目以降の継続利用や退会抑止。アップセル、クロスセル

ここではシンプルに1に絞って解説を進めます。1の理解を深めたみなさんは、次のステップで2を考えるようにしてください。カスタマーサポートをはじめ、さらに着目すべき点が増えていくことに気づくでしょう。

KPI設定前に踏まえるべき大事な3つの観点

ーつまり、一連のプロセスの各要所にKPIを設定できると良さそうですね。

田代:プロセスを整理できたら、大事な点の2つ目「プロセスをアクセスルートで追う視点(順引き)とコンバージョンから遡る視点(逆引き)の両方の見方」を意識しましょう

田代:サイト公開後は、さまざまな指標の、さまざまな数字が出てきます。すべてのデータを見ていたらキリがありません。そこで、順引きと逆引きの両者の視点を持つと、プロセスの要所に何をどう求め、機能させたいかが見えやすくなります。

1 Webサイトの目的は何か? どこまでのプロセスを目標にするか?
2 1のためのプロセスについて、順引きと逆引きの視点を持つこと
3 時系列・シーズナリティを見ておく必要性

もう1点、大事な点の3つ目が、時系列・シーズナリティの要素です。例えば、国内企業ではまだまだ多い年度始めの4月、もしくは年の切り替わりの1月、広告業界なら2月と8月が動きづらいなど、自社が関わる業界やサービス業態のシーズン性を意識できると、動きやすい(もしくは動きづらい)タイミングが予測できます。

まずは、過去に設定してきたKPIを検証する前に、大前提として以下の3点を踏まえましょう。

1 Webサイトの目的は何か? どこまでのプロセスを目標にするか?
2 1のためのプロセスについて、順引きと逆引きの視点を持つこと
3 時系列・シーズナリティを見ておく必要性

「認知・啓発」フェーズで大事な「流入経路」

ーさらに各プロセスをもう少し詳しく見ていくと、どうなるでしょうか?

田代:プロセスの最初にあたる「認知・啓発」から見ていきましょう。

田代:ここは、Webサイトへの流入の入口にあたります。ここでもっとも大事な点が「誰がどこから来ているか」を知ることです。Webサイトにどのような経路で誰が来ているかを把握し、まず現状を分析しましょう。

「誰がどこから来ているか」については、以下の4方向を考えるといいでしょう。

1 流入経路
2 広告パフォーマンス
3 自然検索
4 ユーザー(属性など)

1の流入経路は、自然検索や直接流入、広告流入(リスティング広告やディスプレイ広告など)、SNS流入、その他メールマガジンなどからの流入について、それぞれのアクセス数や全体の構成割合を見てください。

ー複数の流入元を見ておく必要があるわけですね。

田代:「マーケの強化書」を一例にすると、「マーケの強化書」はリスティングなどの広告施策を打っていませんので、自然検索からの流入が高いです。打ち手である施策に変化がないのであれば、年単位で流入経路の構成割合は一定になるはずですが、数字に変化があれば要チェックです。変化の原因を追いかけてください。数字の変化が意図したこと=打ち手であったのか、意図しなかったことに起因するのかで再現性が異なります。

知らないところでSNSをまめに更新していたなどの内部要因が理由かもしれませんし、別メディアに「マーケの強化書」が取り上げられて、そのメディア経由での流入が増えたから、という外部要因の可能性もあるでしょう。

ーポイントは、「なぜ数字が変化したか」を説明できることですね。

田代:サイトパフォーマンスは、自然検索以外の流入経路の割合が増えると出やすくなります。特にオウンドメディア型サイトなら、SNS流入などが増えてユーザーがファン化してくれると、自然検索に頼らない運営にもつながります。こうした数字の変化を踏まえ、こうした要所にKPIを設定するかどうかを判断していきます。

「広告パフォーマンス」や「自然検索」を考える

ー先ほどの1「流入経路」でそれぞれの経路を整理したら、2以降の検討ですね。

田代:2の「広告パフォーマンス」は、何かしら広告施策を打っている場合は必須です。広告は細かく見るべき点があり、ここでは詳細の説明は控えますが、広告経由のコンバージョンはちゃんと見てください。「キーワードAのボリュームはどれほどあったのか」「そのAからどれほどの割合でコンバージョンに至っているか」などは、特に確認のしどころです。

ここから、「オウンドメディア運営で流入数が増えたけれど、コンバージョンに至っていない」とわかれば、コンバージョンへと促す導線やコンテンツの不足が明らかになります。このまま放置すれば、人が集まるようになった分、コンバージョン率は低下します。こうした要所にKPIを設定し、目的達成のための施策をセットで講じるべきです。

一般的には、広告経由のアクセスは、それ以外(他サイトや自然検索、SNSなど)のアクセスに比べるとCVに至る数値が悪い傾向があります。どこまで悪ければ自社の許容範囲なのかを確認しておくことも必要です。

ー3の「自然検索」はいかがでしょうか?

自社名やサービス名での検索ボリュームは、認知の高まりを知る動きとして、経年で追跡しておくことをおすすめ

田代:オウンドメディアを運営していなければ、大半のBtoBサイトは自社名とサービス名による検索ボリュームが圧倒的な上位を占めるでしょう。「マーケの強化書」だと、メディア名の「マーケの強化書」か運営会社である「ジェネシスコミュニケーション」が上位に来やすいです。「マーケの教化書」はオウンドメディアですので「マーケティング」というような一般的な用語での流入も多数あります。

自社名やサービス名での検索ボリュームは、認知の高まりを知る動きとして、経年で追跡しておくことをおすすめします。立ち上げ初期のサービスは、公開後しばらくは検索に引っかかりづらかったり、知名度が浸透していなかったりするため、月単位・年単位で検索状況の変化を追いかけ、ボリュームの変化を見ましょう。大体の場合、自社名やサービス名での検索流入からのコンバージョンが一番高いはずです。

「誰に向けた、何のためのWebサイトか」を忘れない

ー最後の4が「ユーザー」とあります。

田代:ユーザー属性は、Google Analyticsだけではあまり計測できないところです。とはいえ、デモグラフィック要素(ユーザーが居住するエリア、年代、性別)は確認できるので、一通りは確認して、自社側で把握しているユーザー像と乖離がないかを見ておきます。

そこに加えて「Webサイトへの行動」についてです。初回来訪が多いのか、再来訪が多いWebサイトなのか。オウンドメディアであれば、再来訪が増えていないとまずいですよね? 

ー改めて「認知・啓発」だけでも、見るべき点が多数ありますね。

データ、数字は際限なく見ていられるので、プロセス上の肝や要所を重点的に確認する

田代データ、数字は際限なく見ていられるので、プロセス上の肝や要所を重点的に確認することが大切です。出発点である「誰に向けた、何のためのWebサイトか」に立ち返りながら、自社の目的達成のために見るべき項目を追いかけていくことが大事です。

次回は・・・

ユーザー行動の各プロセスの詳細について見ていきます。「認知・啓発」に関する注意事項や、興味喚起やコンバージョンに至るまでの見るべき指標、順引きと逆引きの視点に触れながら、最適なKPIやKGIを設定するあり方を探ります。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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