コンサルタントのコラム

お金をあげちゃうキャンペーンについて考えてみた

100億円、総額1億円と景気のよい話題を2018年12月そして、2019年明けに耳にしました。当たった人をうらやましむだけではなく、PayPay『100億円あげちゃうキャンペーン』、ZOZO前澤社長『総額1億円のお年玉』についてマーケッターとしてどう捉えればよいのか?さまざまな角度から少し考えてみたいと思います。

目次

ZOZOとPayPayは別もの。前澤社長のお年玉はキャンペーンではない?!

実施された時期が近かったせいか、この2つの出来事をキャンペーン、バラマキ施策や新しい広告の形態として論じる人もいるようですが、ZOZOとPayPayをまずしっかり区別して考えてみましょう。

ショッピングサイトZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZOの創立者:前澤友作氏
2019年1月5日にTwitter上で『100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼント』をツイート。リツート数は530万を超えた

ZOZO前澤氏のツイートは、Twitterで個人(@yousuck2020)のフォロワーを増やすことに成功しました。しかしながら、これをイコール企業としての施策と同列に並べて考えてみると難しい面があるのではないでしょうか?

今回の件は、パーソナルな部分に関してのフォロワー増加には繋がりましたが、企業としてフォロワー増加のキャンペーンを実施したわけではありません。
まず、前澤氏は自分のお金をプライベートな目的で配ってみた結果、フォロワーが増加したのであって、彼のツイートをいわゆる企業が実施するキャンペーンと同列に評価するのは少しピントがズレている気がします。

それは、マーケティング施策としての再現性が低い点が挙げられます。フォロワー増加策として、1億円の予算が余っていたとしてもオススメすることが出来ません。

なぜオススメしないかというと、ZOZO前澤氏の支払い能力を信じるからこそソーシャルでフォロワーが集まりましたが、同じことを支払い能力への疑いがある人が行ったとしても、あそこまでのフォロワーは集まらないと思われるからです。(現に似たようなことをTwitterで展開した後追いのyoutuberでは前澤氏ほどのフォロー増、話題にはなっていません。)きちんとセルフブランディングをしている有名人がソーシャル上で行うことによって、記録更新するほどのリツイートが発生したとみるべきでしょう。

また、「1億円を現金で配る」ということを上場している有名な企業が実施できるのか?という点も挙げておきたいと思います。一時的なフォロワー増に繋がっとしても、同じくらい、もしくはそれ以上の反発を受けるかもしれません。ブランドや歴史を持っている企業であればあるこそ再現性は低いといえます。

キャンペーンとしてみてしまうと評価は難しいのですが、ソーシャルへの影響力、短期間でより多くのフォロワーが集まったという、ソーシャルメディアというものへの刺激の与え方としてはヒントが垣間見られる好例であったとは思います。

PayPayのキャンペーンで得られたものとは?

一方、Paypayのキャンペーンを見てみましょう。

中国ではスマートフォンを使った手軽な決済手段として、店舗側も初期コストと手数料が安く利用出来るQRコード決済が普及しています。
日本でも経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン(2025年に向けキャッシュレス決済比率40%を目標)」を掲げています。しかし現金主義の国民性とともに、クレジットカードや交通系やキャリア系の電子マネーがすでに普及しはじめている環境で、わざわざQRコード決済を選んで使い始める方は少ないのが現状です。

そんななか2018年12月、PayPayは『100億円あげちゃうキャンペーン』を実施したわけです。

「100億円あげちゃうキャンペーン」を12月4日より開始

「100億円あげちゃうキャンペーン」、開始から10日間で終了!

ZOZO前澤氏と違い、PayPayのキャンペーンは、投資という意味では、PayPayのサービス利用に一定の成果をもたらしたと言えるでしょう。それはアプリのダウンロードのみならず、初期利用の取引を発生させるところまでをキャンペーンにしたことからも伺えます。

キャンペーン実施中にPayPayを使って購入し還元を受けた人達だけではなく、キャンペーンでPayPayに興味を持ち、アプリをダウンロードしチャージした人達も多くいるでしょう。つまり、かなりの初期利用者を獲得しているのです。
2019年3月まで実施予定のキャンペーンが、開始から10日間という短期間で終了したのも成功だったとPayPay社内では判断されたからではないでしょうか。

このキャンペーンの成功の背景を、インサイトで説明すると消費者の『損したくない!』気持ちを刺激したからと言えます。『得したい!』ではありません。もちろん、PayPayのキャンペーンに消費者が参加したのは『全額還元を受けたい、20%戻ってくる=得したい!』という気持ちだったのですが、PayPayがスゴかったのは、『どうせ買うならPayPayで買おう』『あのキャンペーンで買おう』と多くの人が行動していくことにより、また話題を伝え聞いた人達も『自分もこのキャンペーンに参加したい』『乗り遅れたくない』と購買行動が促進され、具体的に次々に消費者を動かした点です。

PayPayの手数料や今回のキャンペーン規模から推測するとPayPayの現状は赤字であり、これからのユーザーの利用により収益を得ていく必要があります。QRコード決済が決済市場で顧客を獲得する初期段階の激化したキャンペーン競争の一環であったと思いますが、やはりこちらも他の会社が簡単には真似できないマーケティングの戦略的な決断があったと思います。

決済サービスはどのような変遷をたどるのか?

今回は、ZOZOとPayPayのキャンペーンを読み解いてきました。
最後に、決済系サービスの今後について少しだけ考えてみましょう。

決済系アプリは、アプリストアからアプリをダウンロードしただけでは実際の利用に繋がりません。ダウンロードしたアプリに自分の口座情報を紐づける必要があるからです。
広告を出してアプリをダウンロードさせることができても、実際に使える状態にあるユーザーにするまでにどうしても取りこぼしが発生してしまいます。
今回PayPayのキャンペーンは、その取りこぼしを『損したくない!』という気持ちで越えさせ、キャンペーンがうまくいきました。

人は使ったことがないものより使ったことがあるもの、また1回使い始めたものを使い続けるものです。また、サービスは寡占していきます。商品や製品は複数持つことが可能ですが、サービスは同時に受けることは難しいものです。たとえば、買い物で1つの商品を購入するその時に、「現金」「クレジットカード」「電子マネー」「QRコード決済」など複数の決済方法があっても、いずれかの決済手段を選ぶことになるでしょう。

ECサイトを運営するマーケッターの皆さんが利用者の利便性を考えて、さまざまな決済手段を用意する一方で、お得を求める消費者は、自分の生活に合わせてポイントの貯まりやすい使い慣れた決済方法に集約していくことも覚えておいてください。

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